ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

カシミールサファイア

少し前ですが、4月25日にニューヨークのクリスティーズオークションに出品されたカシミールサファイアが信じられない価格で落札されました。

Kashmir Sapphire 22.66ct from James j. Hill













22.66カラット クッションシェイプ
落札価格 $3,064,000  1ドル120円換算で3億6千7百万円
            1カラットあたり約$135,000 約1千6百万円

サファイアのオークションの価格としては、過去最高の価格です。
同時に1カラットあたりの価格も過去最高でした。

このサファイアは米国のグレート・ノーザン鉄道(GN Great Northern Railway)の建設で有名な鉄道王ジェームス・J・ヒル(James J. Hill 1838−1916)が残した由緒正しい宝石の一つです。

実物を拝見していないので、美しさはお伝えできませんが、落札価格にはショックを受けました。
オークションの常で最後にどうしても落札したい人が二人残ると相場では考えられない価格になることが良くあります。
ただし、宝石は一つ一つが異なり、落札価格が相場になりますので、高い安いは安易に言うことが出来ませんが、これで、カシミールサファイア全体の相場が上がる気配がします。
既にここ2年はビルマ産の無処理ルビーは、相場が跳ね上がっています。
次は、カシミールサファイアかも知れません。

稀少性の高い宝石は、既に過熱状態です。
まだ上がり続けるか否かは分かりませんが、長い目で見れば、価格は上がれば下がります。
もっと長い目で過去を振り返れば、貨幣価値の下落によって上がり続けています。
何れにしても、宝石は投機で買うべきでありません。
あくまでも、身に着けて楽しむことが目的で、楽しんだ後にもある程度の価値が残ると考えると良いでしょう。

このオークションのハイライトはインドのマハラジャが所有していた天然真珠のネックレスのセットでした。
こちらも、オークションにおける天然真珠の価格では過去最高でした。
価格は、何と$7,096,000 約8億5千万円です。
こうなるとコメントのしようがありません。
天然真珠は、ある程度計画的に生産できる養殖真珠と異なり貝が偶然に作り出した稀少性の高いものです。
カシミールサファイアも天然真珠も稀少性が高いことに加えて氏素性が良いことが高値を生みました。


ロジウムメッキ

お問い合わせがありましたので、ロジウムメッキについて少しご説明します。

宝石にはメッキはかかりませんが、真珠やサンゴなどの有機質やトルコ石、オパール、エメラルド、ヒスイは、その工程で宝石にダメージを与える可能性があるのでメッキに向かないとされています。
これらのジュエリーにメッキを施す場合は、予め石留めの段取りをしておいてからメッキをかけます。
その後で石留めをしますので、爪の頭のメッキが剥げることもありますが、綺麗に仕上げますので、目立ちません。
そのほかの宝石の多くは、メッキでダメージを受けませんので、最後にメッキがかけられます。

ロジウムは、プラチナに比べて硬いので、プラチナに施す場合は保護のためと説明される場合がありますが、経験的に保護よりも、より白く仕上げることと、接合部分のロウ材の露出を覆ってしまう方に重点がおかれていると思います。

本来、ホワイトゴールドは黄色味が多少残りますが、最近は、割金の調整でかなり白いホワイトゴールドも開発されています。
加工が難しくなければ、今後はメッキが不要か、剥げても目立たないホワイトゴールドが多くなるかもしれません。

極論ですが、シルバーもホワイトゴールドもプラチナもロジウムメッキをかければ、見ただけでは見分けがつきません。ただし、メッキなので使っているうちに剥げる可能性があります。
特にリングやブレスレットは使っていれば、当たったり、擦れたりして剥げるのは避けられません。



エメラルドの含浸処理の程度

殆どのエメラルドにオイルや樹脂が含侵されていることは、既にご存知だと思います。

日本では一般的でありませんが、含侵の程度は、主な鑑別業者で統一されつつあります。


今日は、産地と処理の鑑別では世界的に有名なスイスのGUBELINとSSEFの表記をご紹介したいと思います。

GUBELIN

1.Indications of insignificant clarity enhancement (僅かな)
2.Indications of minor clarity enhancement (少し)
3.Indications of moderate clarity enhancement (中位な)
4.Indications of prominent clarity enhancement (著しい)

SSEF

1. Minor amount of filler in fissures
2. Moderate amount of filler in fissures
3. Significant amount of filler in fissures
4. Filler in cavties: C1
5. Filler in cavties: C2
6. Filler in cavties: C3

「無処理」と呼ばれている透明度の改良を目的とする含侵が見られないものは、表現の差は多少ありますが、No indications(evidence) of clarity enhancement等の表現が一般的です。
 

以上の2社に米国のGIAと日本の全宝協(全国宝石学協会)も加わっているグループでは、
最も軽度な含侵に関しては、Mionrを使う合意が出来たようです。
ただし、伝統的にInsignificantの表現を使っているGUBELINは、引き続き使用するようです。
考え方としては、他社のMionrの範囲の中で更に軽度のものをInsignificantとしているようです。

エメラルドの結晶の性質から考えると無処理は、殆どありませんので、一流のジュエラーでもMinorまでは取り扱うと言うのが合言葉になりつつあります。
私も美しさを肉眼で見分けた上で、Minorまでは取り扱います。

残念ながら、日本の業界では含侵の程度について言及することに否定的なようです。
技術的には、世界のトップクラスの実力を持っている全宝協さんに期待したいものです。




プラチナ? ホワイトゴールド? ステンレス?

ジュエリーの素材として白い地金の場合は、一般的にはプラチナかホワイトゴールドが使われます。
最近は、アクセサリーとの垣根が低くなり、ダイヤモンド等の宝石を留める場合でも、シルバーやステンレスが使われています。
それらの特徴は以下の通りです。

プラチナは、変色が殆どありませんが、少し黒味がかった白色です。
ホワイトゴールドは、もとがイエローゴールドなので、どうしても黄色味が残るので通常はロジウムメッキが施されます。
シルバーは、優しく美しい白色ですが、そのままでは変色します。また軟らかいので使用による磨耗も避けられません。
ステンレスは、シャープな白色で変色も少ないのですが、堅いため加工が難しい金属です。

では、宝石の装身具としては、どの素材が適当でしょうか。
色々な考え方がありますが、トレンドではなく長く使う宝石の装身具としては、修理が可能かどうかは大きなポイントと私は考えています。
シルバーの変色は、薬品等で取ることが出来ますが、リングやブレスレットのように物と当たる可能性の高い装身具の場合は磨り減ってしまいますので、高価な宝石には避けたい素材です。
ステンレスは、磨耗は少ないのですが、石取れ等の問題があった場合に爪を起こして再度倒すと硬過ぎて折れてしまうことがあります。
プラチナとホワイトゴールドは、粘りがあり、殆どの場合修理は可能です。やはり伝統的な貴金属に軍配が上がるようです。
では、プラチナとホワイトゴールド何れが良いのでしょうか。
プラチナは、ゴールドよりも比重が重いので、軽さを必要としている大きなブローチやイヤリングには不利ですが、本来メッキを必要としないので、リングのように磨耗が心配な装身具には最適です。
メッキが施されたホワイトゴールドのリングは、長く使用していると手のひら側からだんだんとメッキが剥がれて、やや黄色いホワイトゴールド本来の色が露呈します。
正しいか否かは別にして、何れ剥げると分かっているものにメッキをすると言う行為が私は、好きになれません。
一方、メッキをすると白いダイヤがいっそう白くなると言う効果がありますが、全体にかけるのはどうかと思います。
いつの日か、ダイヤの白さを引き出すために、剥げる心配のないダイヤの周りだけにメッキをかけたジュエリー作りに挑戦したいと思います。
以上の点から、大きなブローチやイヤリングを除いては、プラチナが良いと思います。
宝石が主体の装身具は、費用に占める貴金属価格の割合は大きくないので、是非プラチナを使ってもらいたいものです。
しかし、より白く又はロウ付けの跡を隠す目的でプラチナ製品の殆どにもロジウムメッキが施されています。
程度の差はあれ、メッキなので、何れは剥げてしまうのでホワイトゴールドと同じ問題を抱えています。
因みに私がプラチナのジュエリーのディレクションをするときは、メッキをかけないようにしています。

高台寺 和久傳

京都では「高台寺 和久傳」さんの個室で夕飯をいただきました。
近くの「菊の井」さんとはまた違った表現で京料理を堪能いたしました。
何れにしても、京都は和食のルーツであり、最高峰です。
次回は、冬に名物の蟹をいただきに来たいと思います。
ご馳走様でした。

品書きがありませんので、覚えている限りいただいた作品を記します。

○先付:稚鮎と浜防風のゼリー寄せ(煮こごり?)
 とても上品で繊細、このサイズの稚鮎はまったく苦味がありません。

○椀:豆腐、わかめ、蛤のお吸い物
 蛤の味よりダシを強調、豆腐はあまり豆乳臭くなくあっさり。

○向付:大トロの炙り
 炙り過ぎず、まるでステーキのよう。

○大徳寺麩と山葵の花の胡麻和え
 まるで肉のような麩は正に精進料理。
 山葵の花は言われないと分からない微妙な風味。

○焼き物:姫路のアナゴ、朝採れの筍、鯛の白子
 何れも厳選素材ですが、特大サイズの切り身を骨切りして、
 皮を香ばしく焼き上げたアナゴは、絶妙に火が通り中 
 がふっくらして、今回最高の逸品です。
 部屋に炭を持ち込んで、目の前で焼き上げるサービスは、
 ミシュランの三ツ星レストランも遥かに及びません。

○山椒の花とともに頂く牛のしゃぶしゃぶ
 たっぷりの山椒の花が一呼吸置いて舌を刺激します。

○ご飯:白魚の卵とじご飯、香の物
 4種類から好きなだけ選ぶことができますが、私は白魚を選びました。
 三つ葉を千切りに散りばめてあり、卵が生過ぎず、火が通り過ぎず、
 ホッとするご飯です。

○果物:チェリモア ドリアンから臭みを取ったような濃厚なフルーツ

○蕨もちと薄茶
 きな粉が香ばしい一品。濃茶ではなく薄茶が合います。

世界が注目する「自然」を表現する料理から学んで装身具作りに少しでも生かしたいと思います。

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