ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

ジュエリーアドバイザーの仕事帖

装身具の仕分け前画像

 ジュエリーの整理の相談は様々ですが、一番多いのは相続です。お母様、お婆様が亡くなって残されたジュエリーをどうするかの相談です。通常はご主人又はご兄弟、お子さんが相談に来られます。まずは、ご相談者がどのようにされたいかご要望をお聞きします。売却をご希望でも出来るだけ価値のあるものは受け継いでお使いになった方が良いとお勧めします。相続出来る家族関係をお伺いし、実際に使っていただけそうな方向けのジュエリーを選んだり、価値が同じようになるように分けたりします。
 ご家族で相続を争っているケースは仲に入った弁護士や会計士や税理士の方が相談に来られます。資産家の場合は結構な割合で争っているケースが多く利害関係は複雑ですが私の所に来る時には既に相続の割合の決着がついているので、基本的に殆どを売却して現金化し、それを合意した割合で分けます。出来れば売却よりジュエリーのままで受け継いでもらいたいところですが係争中であれば致し方ありません。大きな相続では争っている双方の弁護団の間に入って査定を行うこともあります。まるで小説やテレビドラマの一場面のような光景に出くわすこともあります。売却方法としては透明性が高くそのときの相場で売却できるオークションが向いています。
 相続以外で多いのは「終活」です。お持ちの方ご本人が着ける機会も少なくなったのでそろそろ整理したいと相談に来られます。娘さんが居られずお嫁さんしかいない方に以前多かったのは「嫁にあげるぐらいなら全部売りたい」と言うそれこそドラマ並みの相談でした。最近は少し変わって、お嫁さんに聞いたが要らないと言われてしまったと言うケースが半分ぐらいを占めます。装身具の簡素化とでも言いましょうか、残念ながら近年、若い方たちは本格的なジュエリーを避ける傾向にあります。終活のご相談の残り半分は差し上げても喜ばれないと思い込んで聞くことすら遠慮されてしまいます。この中には自分の買い物の履歴をお嫁さんに知られたくないと言う気持ちも含まれます。ややこしいのはお嬢さんとお嫁さん両方いるケースで本当はお嬢さんに差し上げたいのに、持っているジュエリーをお嫁さんもよく知っていると言ったケースです。このようなときはお嬢さんとお嫁さんの関係にヒビが入ることを避けて、どちらにも差し上げずに処分すると言う選択をする方も少なくありません。そのようなときでも私はアドバイザーなのでご家族にジュエリーを活用してもらえる解決策をご提案します。それぞれのジュエリーの価値を査定してお嬢さんとお嫁さんに同額ぐらいになるように選んでもらうことが1つです。また形見分けとして同額ぐらいの品を1つずつ選んでいただき残ったものは処分してご本人の老後の資金とする方法もあります。メインとなる宝石自体は価値が高くても、デザインが古くて使いづらい時にはご家族に作り替えも提案します。ただし大粒のアメシストに20万円かけるような作り替え費用が見合わない宝石にはお勧めしておりません。故人を偲んで身につけるセンチメンタルバリューのあるような場合を除いて何が何でも作り替えるのはプロとして失格です。
雑誌Jewel掲載記事

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ペアーシェイプダイヤモンドリング

 5年ほど前に知人の女性が訪ねてきました。実は20数年前に母が購入したダイヤモンドリングを孫の教育資金に当てたいのですがどうしたら良いでしょうかと言うご相談でした。ちょうどその年に孫の教育資金を1500万円まで非課税で贈与できる新制度が始まったばかりで早速それを利用出来ればとお考えになったようです。

 見ると6カラットのペアーシェイプダイヤモンドがシンプルにセットされたリングです。ペアーシェイプは同じ重量のラウンドと比較すると2-3割大きく見えますので、ラウンドの8カラット近い堂々としたサイズです。ダイヤモンドで有名な海外ブランド店から2,000万円で購入されたものだそうです。孫が2人いるので出来れば1,000万円ずつ渡したいとの希望でした。ちょうど大粒ダイヤモンドが数年で3倍ぐらいに値上がりしていた頃でしたので、相場を反映するオークションでの売却をお勧めしました。当時私は上場しているオークション会社の査定人を請け負っており、リザーブ価格の決定権は私にありましたが、オークション相場でも1,800万円が妥当なリザーブでした。そこで不落の可能性もあることを依頼人に伝えて、思い切って2,000万円リザーブで出品しました。結果はブランドの人気も手伝って2,100万円で落札されて胸を撫で下ろしたことを今でもはっきり覚えています。依頼人も会場に見に来ていて落札された後で強く喜びの握手したのは言うまでもありません。
 その頃別の方からも売却依頼がありました。ちょうど前述のダイヤモンドリングと同時期に購入されたイエローゴールドのダイヤモンドネックレスです。パリの有名なブランドの物でお母様から受け継いだ娘さんからの相談です。幅が2〜3センチほどのイエローゴールドにメレーダイヤモンドがびっしりとパヴェセッティングされた大変豪華なネックレスです。まさにバブル真っ盛りの熱狂を感じさせるものでした。購入価格は1千万円程度との事でしたが、残念ながら現在の日本では豪華すぎて人気がなさそうなので、外国人も多く参加するオークションに出品しました。リザーブ価格はブランドプレミアムも考慮して100万円としました。結果はリザーブ価格を少し超えた110万円で落札されました。

 同時期に購入された高額のジュエリーですが、一方は20数年楽しんで当時2,000万円のリングがほぼ同額の2,100万円で落札さ、方や1,000万円が約10分の1の110万円となってしまいました。これは何故でしょうか。

 まずは大粒ダイヤモンドが数年で3倍になったと言う幸運がありました。そして基本的に宝石は1粒が大きければ大きいほど資産性が高くなり、逆に小粒になればなるほど資産性よりファッション性が高くなります。流行しているスタイルは人気がある間は高くなりますが、流行が終わると殆ど評価されません。ジュエリーにある程度の資産性を求めるなら、この事例のように人気のある宝石で出来るだけ大きなサイズを求めることをお勧めします。


マリリンモンローの「バローロの月」再び!

The Moon of Baroda Marilyn Monroe

クリスティーズは11月27日(火)に香港のオークションでペアーシィエプ 24.04ct Fancy Yellow VS2「The Moon of Baroda」を出品すると発表しました。
「The Moon of Baroda」(バローダの月)はマリリン・モンローが彼女の1953年の映画「紳士は金髪がお好き」で身につけ“Diamonds Are a Girl's Best Friend.” と歌ったことは有名です。
Moon of Baroda

このダイヤモンドは興味深いprovenance (来歴)があります。
15世紀の書物にはインドのバローダ藩王(マハラジャ)が所有していたとされています。後にオーストリアの女帝マリア・テレジアが所有していたとも言われています。数世紀行方が分からず1926年にRamachandra王子が米国に持ち込み売却しました。その後1950年に米国のMeyer Jewelry Companyの社長Meyer Rosenbaumが購入してマリリンモンローの映画に貸し出しました。1990年、Christieはニューヨークのオークションでダイヤモンドを$ 297,000で売却した記録が残っています。また一時日本の平和堂貿易さんが所有され2000年には、テレビドラマ『億万長者と結婚する方法』で藤原紀香が身に着けたり、東京の国立科学博物館で開催された「ダイヤモンド展」に展示されたりもしましたので覚えている方も多いと思います。
またGIAは最近このダイヤモンドはホープダイヤモンド等で有名なインドのゴルコンダ産と判断しました。
この「The Moon of Baroda」が再びChristie'sでオークションにかかります。見積価格は$500,000-$750,000なので順調にいけば約28年間で倍以上の価格になったと言えます。

クリスティーズのページ(動画あり)

11月28日 追記:
落札金額は見積を大きく超えてHK$10,300,000 US$1,322,207(約1億4,000万円)となりました。
マリリンモンローのプレミアムは約倍以上です。
ハリウッドスター強いですね。
落札者はアジアの個人客です。
サイン入の写真も出品されていてHK$ 275,000(約400万円)で落札です。



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オークションカタログ

 オークションで購入をするにはオークション会社に登録をしてカタログを購入することから始まる。カタログと言えばブランドやメーカーの販売促進のためのものが一般的だが、オークションのカタログは情報を正確に伝えることを主眼としている。

 まずは日程を確認する。オークション当日はもちろんのこと下見会の場所、日時は重要だ。下見会ではカタログで目星をつけたものの実物を手に取って見ることが出来る。通常、オークションの2、3日前からオークション当日の午前中まで行われる。遠方の方は当日の午前中に下見してオークションに臨むのが効率的だ。

 現実的に大事な情報として手数料のチェックは不可欠だ。オークションでは高額になればなるほど手数料が低くなる。例えば、国際的なオークションでは25万ドル迄は落札価格の25%、25万ドルから38万ドルまでは20%、38万ドル以上は12.5%と言う具合になる。分かりづらいので下記に50万ドルで落札価格した場合の手数料を説明する。
オークション手数料

 高額落札ほど手数料%は低くなる。また国内のローカルオークションは国際オークションよりも手数料は低くなるのが一般的なので同じようなスペックのものはローカルオークションが割安になる。

 本編の個別ロットのページでは画像とデータを確認することが出来る。画像は基本的に実物大に近いものが載っている。心配ならデータにジュエリーのサイズやメインストンのサイズが記載されているので確認すると良い。大事なのはこのメインストンの寸法だ。親切なカタログは縦×横×深さが記載されている。記載されていなくてもオークション会社に問い合わせれば教えてくれる。重量(カラット)ももちろん記載されているが見た目の大きさの寸法の方が大切だ。特にカラーストンは深い物が多いので重量よりも見た目が小さくなる。一概には言えないが、目安は短辺に対する深さの割合が70%を超えると気をつけた方が良い。カラーストンは深さだけでなくパビリオン側の膨らみ(バルジ)も重量に大きく影響するので余計難しい。浅くて綺麗な石の場合はお買い得な事が多いことも覚えていた方が良い。

 価値に大きく影響するダイヤモンドのグレードやカラーストンの産地、処理の意見が記されたレポートの主な内容もチェックポイントだ。国際オークションの場合はダイヤモンドのレポートはGIAに限られている。ローカルオークションも大粒ダイヤモンドは殆どがGIAだ。カラーストンはどのラボがどのような意見を述べているかをプロは見ている。伝統のあるスイス勢のSSEFやGUBELINと米国のAGLは国際的に評価が高くプロが好む。最近では資本力のあるGIAのレポートも台頭してきている。ラボの間でも意見が異なることも珍しくないので高額な宝石には複数のラボの意見が添えられている。レポートの内容がカタログに掲載されていなくてもオークション会社に問い合わせればコピーをファクスかメールで送ってくれるので気になるものは確認が必要だ。とは言ってもいかなるラボの意見も鵜呑みは禁物で、まずは自分自身の目で美しさを判断することが大前提だ。

ブランドジュエリー2018SUMMER-AUTUMNより

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ジュエリーアドバイザーの仕事帖

ジュエリーアドバイザーの仕事帖

春から雑誌JEWELの連載をしています。
タイトルは「ジュエリーアドバイザーの仕事帖」です。

ジュエリーアドバイザーの仕事帖

「ジュエリーアドバイザー」と聞くとジュエリー販売店で接客している方をイメージするのが一般的です。お店にある商品についてお客様へアドバイスするのがメインの仕事です。私も「ジュエリーアドバイザー」を名乗っていますが仕事の内容は大きく異なります。一言で言うとプレオウンドジュエリー(Pre-owned Jewelry:所有されていたジュエリー)に関する要望や悩み事の依頼に解決策を提案する仕事です。
 依頼は大きく分けて「売却」と「購入」に分かれます。一言に「売却」と言っても事情は様々です。自分で購入した場合と親族から受け継いだ場合でジュエリーに関しての思い入れは天と地ほどの差があります。何れの場合も持ち主が愛着を持っていたジュエリーに想いを馳せて接することが私の主義です。ニュートラルな立場でアドバイスするので弁護士さん、会計士さん、税理士さんからも依頼があります。
 具体的な作業としては、依頼されたジュエリーを「宝石の装身具」「ゴールド、プラチナの装身具」「その他の装身具」に仕分けをします。
 1つ目の「宝石の装身具」とは文字通り宝石がメインで宝石の美しさを引き出したもので原則としてゴールドかプラチナで出来ています。私の仕事はこの「宝石の装身具」に対して依頼者にアドバイスすることです。
 2つ目の「ゴールド、プラチナの装身具」は小粒の宝石がアクセント的に使われていてもゴールドとプラチナの価値が殆どを占めるもので、受け継ぐ人がない場合は貴金属専門店で地金として売却を勧めます。
 3つ目の「その他の装身具」はゴールドやプラチナ以外の素材価値の高くない素材で作られたものです。シルバーはアンティークジュエリー等の例外はありますが、1グラム数十円とまとまった金額にならないのでこちらに分類されます。真鍮、プラスティック、木材、模造真珠などに加えお土産品の琥珀、珊瑚、象牙、石英類等もこの範疇に入ります。装身具としては優秀で使用頻度の高い養殖真珠のネックレスやブローチも金具にゴールドやプラチナが使われているものや特別な品質のものを除き、同等の扱いとなります。「その他の装身具」の処分は依頼主に委ねることになります。
 仕分けした後「宝石の装身具」については詳細に品質を判定し、簡易査定します。依頼者ご本人又はご家族で身につけて楽しむことが出来るかを判断いただきます。作り替えれば使えるものや娘さんが年頃になれば使えるものがないかも一緒に検討します。売却がご希望でも少しでも身につけて楽しめる可能性があるものは後回しにして本当に可能性の低い物から売却するように順番をつけることもあります。基本は売りづらいものから処分して売りやすいものは急がなくても良いとご説明します。時にはゴールドやプラチナの売却についても経済的に余裕があるのならば経済の大変動に備えて売らない選択もあると言ったお話もします。
 私は「買い取りをしない」ので依頼主と同じ船に乗って売却方法をアドバイスすることが出来ます。多少時間はかかっても出来るだけ有利に売却したい方に向きます。
 「購入」に関しては売却依頼者からお預かりしたプレオウンドジュエリーを仲介します。楽しみながら資産価値の部分も大切にしたい方にお勧めのサービスです。お預かりしたジュエリーの中から独自の基準で格付された上位約2%の厳選されたジュエリーを安心してお選びいただけます。ご要望のジュエリーがない場合もお急ぎでなければ該当のジュエリーをお預かりした時点で優先的にご連絡します。宝石の美しさがどのように引き出されているか、産地や処理についても詳しくご説明します。
 次回からはエピソードを含めてジュエリーアドバイザーの仕事を具体的に皆さんにお伝えします。

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代表取締役 原田信之

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