ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

2007年06月

「特徴」と「欠点」

前回のブログにコメントをいただきましたの、この場でお答えします。

ダイヤモンドの不完全性で「欠点」になるものを以下に挙げます。
これは、私のダイヤモンドの仕入れのチェックポイントでもあります。
この項目以外にプロポーションやモザイク模様(パターン)のバランス、ポリッシュ、シンメトリーとファンシーシェイプの場合は形があり、全てを包括して判断します。

‘眼でImperfection(亀裂、内包物)が見える。
 一部のSI2とI1以下になります。
 美しくありません。
 従って、原則SI1以上が仕入れの対象です。

白系以外の内包物がある
 多くは黒色ですが、茶色やガーネットなどの赤系も含まれます。
 肉眼で見えなくても、心地よくありません。
 反対に小さなIncluded Cristal(内包結晶)などは、
 天然の特徴となり、好んで買います。

5砧がある。
 特にガードルから伸びている劈開面に沿っているもの。
 外からの衝撃で伸びる可能性があります。

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 クラリティーグレードに影響するほど曇っているものは言うの及ばず、
 少しでも透明度が悪いものは、仕入れません。
 これは、一般の方に最も分かりづらいポイントです。
 経験とサンプルとの付け合せで判断します。
 同じカラー、クラリティーでも透明度は各々異なります。
 窒素の入っていないタイプ兇鮟秧茲覇明度が高いと信じている方もいますが、
 中には曇っているものはあります。
 やはり、レポートの鵜呑みは厳禁です。

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 無色は、別ですが、ファンシーカラーを含めて、
 色の着いたダイヤモンドは多くが、ブラウンやグレーを含んでいます。
 赤みの強いファンシーブラン等は例外ですが、
 ブラウンやグレーを含むと彩度(鮮やかさ)が低くなり、くすんだ印象になります。
 但し、ファンシーブルーのような稀なダイヤモンドは、
 全くグレー味がないものは、殆どありませんので、
 若干の譲歩は必要です。
 特に気をつけなければならないのは、イエローです。
 イエローにグレーやブラウンが入ると美しくありません。
 殆どのイエローに多寡はありますが、グレーやブラウン味が入っています。
 俗にケープと言われているZカラーまでのイエローの大粒を買うことがありますが、
 100個に1個もグレー味やブラウン味のない美しいイエローはありません。
 また、Fancy Vivid Yellowの中にもブラウン味が入っているものが多くあります。
 逆にIntense Yellowに彩度の高いものもありますので、鵜呑みは禁物です。

ζ段未剖い蛍光性のもの
 蛍光性については、プロも過敏になりすぎています。
 肉眼で分からないレベルは気にしません。
 また、同じラボでも表記にばらつきがありますので、必ず自分でも確かめます。
 

以上は多くの宝石にも当てはまりますが、カシミール産サファイアやコロンビア産エメラルド等は、僅かに透明度が低いことが柔らか味を与えて、産地の特徴になっていますので、単純ではありません。



InclusionとImperfection

Flawlessの話の続きとしてInclusionとImperfectionについて触れておきたいと思います。
ダイヤモンドのクラリティグレードにはFlawlessとInternally Flawlessを除いてアルファベットの“I”が入っています。
VVSは、Very Very Slightly Inclusion(大変、大変僅かな内包物)
VSは、Very Slightly Inclusion(大変僅かな内包物)
SIは、Slightly Inclusion(僅かな内包物)
Iは、Inclusion(内包物)
Iクラスは3段階、それ以外は2段階に更に分かれています。

私が、23年前にGIAの勉強をした際は、“I”はImperfection(不完全性)でした。
いつのころからか、“I”はInclusionになっていました。
恐らく、業界からの依頼にGIAが譲歩したのだと思います。

Inclusion(内包物)には、「含まれているもの」と言うポジティブなニュアンスがあります。
それに対してImperfection(不完全性)にはポジティブかネガティブかが判断できませんが、何かしら不完全なものがあり、それを判断しなくてはならない響きがあります。
不完全性が「欠点」になっている場合と「特徴」となっている場合があります。 
それを見極めるのがプロです。
この点から、クラリティグレードの“I”オリジナルのImperfection(不完全性)が相応しいと思います。

自然が作るものは、全て不完全です。
宝石も不完全です。
「不可全性」を楽しむのが宝石です。
不完全でない完璧な宝石が欲しいのなら合成石になります。

今までは、上記のように考えていましたが、先日、弊社のオーナーがダイヤの原石バイヤーとこの話をしたら、バイヤーは、「研磨済みは、Imperfectionだが、原石はInclusionだ。」と主張したそうです。
言われてみれば、原石の段階では、それが「欠点」になるか「特徴」になるかはその後の研磨次第です。
この段階ではImperfection(不完全性)よりもInclusion(内包物)が的確な表現ではないでしょうか。

どちらでも良いではないかと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、私は言葉を大切にしたいと思います。

皆様は如何お考えでしょうか。



フローレスは買わない

ダイヤモンドのクラリティーでFlawless(フローレス)やInternally Flawless(インターナリー・フローレス)と言う等級があります。
両者の違いは、簡単に言うと10倍の拡大でInternally Flawlessが内部のキズが見えないのに対して、Flawlessは外部のキズも見えないというものです。
これらは一般的に「無傷」とも言われています。

私は、在庫としてはどちらも仕入れません。
リカット(再研磨)をした結果、不意になってしまったものは別にして、元からFlawlessやInternally Flawlessのダイヤモンドは仕入れません。

美しさはカラー・クラリティーに拘わらず、実際に見なければ分かりませんのでその理由ではありません。
問題は価格のプレミアムにあります。
VVS1とInternally Flawlessの価格差は平均すると約1割程度ですが、Dカラーにおいては、その差は3割から4割に達しています。
この弊害で研磨業者はDカラーのFlawlessやInternally Flawlessでなければ儲からないので、可能性があれば、多少小さくなっても必死に挑戦します。

GIAの元学長の故リディコート氏は、FlawlessやInternally Flawlessのダイヤモンドは1週間身に着けるとVVSになると言っていました。
ダイヤモンドは、世の中で一番硬いと言われていますが、リング等に仕立てて身に着けていれば、ぶつかったりして若干のキズがつきます。
私は、オークションや相続の査定で様々なダイヤモンドと日々向き合っています。
実際に多くのFlawlessやInternally FlawlessのダイヤモンドがVVSやVSクラスになっているのを目の当たりにします。
もちろん、これらのキズは、殆ど場合美しさに影響はありません。
また、多くは簡単な再研磨で元のFlawlessやInternally Flawlessに戻りますが、現実的でありません。
どうしてもFlawlessやInternally Flawlessを保つには、身に着けずにコレクションとして楽しむのが賢明です。
装身具としては、無用なプレミアムと言うわけです。

多くの専門家は、この事実を知っているので、親兄弟、身内には勧めません。
更に自腹の場合はVSクラスかSI1を目指します。
なぜなら、こららのクラスで欠点のない美しいものはFlawless〜VVSクラスに比べて大幅に割安だからです。

本来、ダイヤモンド以外の宝石における品質の分類はもっと大雑把です。
VSクラスから上は同じランクに入っていて殆どプレミアムはつきません。
ダイヤモンドだけが、細分化されすぎているのです。
むしろ、ルビーやサファイアでは、欠点にならない内包物は天然の証で、形状によっては高温の加熱処理が施されていない手がかりにもなる貴重なものです。

何れ世界が気がついて、FlawlessやInternally Flawlessが納得できるプレミアムに収束する日が来ると信じています。

コロンビア産 エメラルド

Colombian Emerald 10ct Gem Quality







少し、重たい話が続きましたので、今日はビジュアルを入れました。
これは、10カラットサイズのコロンビア産エメラルドです。
私が扱ったエメラルドの中で最高の品質です。
単純にジェムクオリティと言う説明では終わらせない逸品です。
残念ながら最近、私の手を放れました。
今頃、新しいオーナーの許で愛されていることと思います。

このエメラルドは、十分な濃さと高い透明度が特徴ですが、優しさも兼ね備えています。
トータルデプスが50%程度と理想的です。
深さで色を溜めて濃く見せているものと異なり、素材そのものがしっかりしています。
恐らく、ムゾー産と思われます。
このランクのエメラルドはオークションでも1カラット当たり3万6千ドルから4万ドルで落札されます。
小売価格はいくらになるのでしょうか。
因みにGUBELINの含侵の程度はMINORです。

写真では美しさの10分の1も伝えられません。
特にエメラルドのグリーンは素人では上手く撮れません。
これだけのエメラルドを扱うことは、二度とないかも知れません。
商売なので、売ることが目的ですが、販売すると毎度の事ながら寂しさも残ります。
コレクターの方が羨ましく思える時です。
また、稀少な品質に出会えるよう仕事に励みたいと思います。



キンバリー プロセス

 米国の俳優レオナルド・デカプリオ主演の映画「ブラッド・ダイヤモンド」をご覧になった方も多いと思いいます。この映画で広く知られるようになった紛争の資金源になっているダイヤモンドの不正取引を阻止する制度として、ダイヤモンド原石の国際認証制度「キンバリープロセス」があります。
日本ももちろん参加しています。

 実は、2週間前に原石をアントワープで購入して、写真撮影のために原石を輸入し、研磨のために再びアントワープに輸出する作業を行いました。
今までも原石を輸入することは多々ありましたが、輸出したのは初めてでした。
結果から申し上げますと、「キンバリープロセス」がこんなに厳格に行われていることを知らず、その煩雑さに驚きました。

 Kimbery Process Certificate(キンバリー・プロセス証明書)とは、原産地がどこの原石が誰が誰にいくらで取引するか明記したものです。
原産地から始まり、輸出の際に発行した証明書を輸入先の管轄の機関がその証明書の発行元に確認して通関します。
証明書は、輸出の度に新たなものが作成されます。

 今回は、アントワープから原石を輸入した際にEuropean CommunityのKimbery Process Certificate(キンバリー・プロセス証明書)が添付されていました。
輸入時の通関は、専門の業者が行っていますので、この制度がどのように行われているか深く認識していませんでした。
否が応でも認識したのは、輸出時でした。
専門の業者が手続きを行うのは変わりありませんが、準備と時間は全くの想定外でした。

 まず、輸入時の証明書と通関書類一式と写真を3枚用意します。
写真仝鏡个亮命
写真△修慮鏡个鮑包する箱に入れた状態の写真(箱は開けておきます)
写真梱包して封をした写真
これを用意して、業者が経済産業省に証明書の作成を依頼します。
経済産業省では、輸入時の証明書の発行元であるFederal Public Service Economy Belgiumに原石の同一性を確認して、新たに日本の証明書を作ります。
証明書が出来るまで約1週間から10日もかかります。
それから通常の輸出の手続きです。

 ここでは、この制度の実効性云々には触れませんが、参加している国はこのように厳密に行っていることを知らせるのが経験したものの務めだと思いご紹介しました。

 映画では、ダイヤモンドの購入を控えるように訴えていますが、ダイヤモンドは紀元前より人々を魅了してきた伝統ある宝石であることと、映画に出てきたような大粒で稀少性の高いダイヤモンドの殆どは過去に採れて還流しているものであることも忘れてはなりません。

 どんな制度も完璧ではありません。
武器や特定の物の取引を制限しても貧困がある限り流血は止まりません。
人間は悲しい性(さが)の持ち主なのでしょうか。
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