ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

2007年08月

ブラウンダイヤモンドの稀少性

宝石は取引する場所によってサイズや色の表現が異なります。

ブラウンダイヤモンド








これは、ムンバイで「+11 Brown」(プラスイレブン ブラウン)と呼ばれているロットです。
直径3〜3.5ミリ前後で1粒が0.08〜0.17カラットです。
11とはシーブと言う金属製のふるいの番号です。
+(プラス)は、その番号のふるいで落ちずに残ったという意味です。
反対に−(マイナス)は、その番号のふるいで落ちるという意味です。
000番、00番、0番、1番と続き、その後は0.5刻みで20番までの42枚が基本です。
ムンバイで買い付けをしているプロのバイヤーは、各番号の直径と平均石目方を記憶しています。

ムンバイでは、イエローやブラウンを色を淡いものから濃いものまで以下のようにロット分けされています。
因みにイエローはCape(ケープ)と呼ばれています。

TTLC(Top Top Light Cape)、 TTLB(Top Top Light Brown)
TLC(Top Light Cape)、 TLB(Top Light Brown)
LC(Light Cape)、 LB(Light Brown)
Cape、Brown
これ以上濃いものはファンシーカラーになります。

写真のロットは、一番濃い「Brown」です。
クラリティーは、I1〜I2です。
現在、現地では1カラット当たりUS$60程度で取引されています。
研磨代が1カラット当たりUS$10ぐらいかかりますので、実質的なダイヤ価格は更に低くなります。

以前は、誰も見向きもしなかったロットですが、昨今のブラウンダイヤモンドの流行で今は人気のアイテムです。
ダイヤモンドのカラーの中でブラウンは圧倒的に多く産出されます。
その量は、Cape(イエロー)の10倍以上と言われています。
その比率はファンシーブラウンでも同様です。
ダイヤモンドの中でブラウンダイヤモンドの稀少性は高くありません。
美しいか否かは、意見が分かれますが、流行は流行と割り切って購入する覚悟が必要です。

カシミールサファイア 3カラットサイズ

カシミール サファイア 3カラットサイズ










久しぶりに美しいカシミールサファイアを手に入れました。

3カラットサイズなので、メインストンとしてはギリギリのサイズです。

一目でカシミールと分かる逸品です。

このクラスを見てしまうと、やはりサファイアはカシミール産が一番かと思ってしまいます。

濃さも濃すぎず、淡すぎず。

何と言う優しい色でしょう。

正に矢車草の青です。

ルーペで覗いても目立つ内包物もありません。

厚みも浅く、バルジも少なく、理想的なプロポーションです。

リングに仕立てようと思います。

構想を練るのが楽しみでもあり、苦しみでもあります。

GubelinとGRSのレポートは取れていますが、全宝協さんのレポートも用意するつもりです。

品質と価格の両方が納得できるカシミールは1年に幾つも買えません。





タイ産ルビー

古くからルビーは、ビルマのモゴック鉱山のものが代名詞でしたが、1963年に政変と宝石鉱山の国有化によってモゴック産ルビーが激減したため、1970年代からタイ産のルビーが主役になりました。
私が業界に入った頃は、タイ産がメインでした。
タイ産のルビーの特徴は、全体に黒味がかっていています。
色味はオレンジに近い赤から、パープルまで広く見られます。
その後、1990年代初めにビルマでモンスー鉱山が発見されました。
この鉱山のルビーは、本来黒味(青味)が内包されていてますが、高温加熱することで除去できるために、処理後はタイ産に比べて明るい赤色に仕上がります。
このモンスー産のルビーが市場に出始めると黒味の強いタイ産は敬遠されて、瞬くうちにモンスー産に席巻されてしまいました。
現在、皆さんが目にする殆どがこのモンスー産(加熱)ルビーです。

タイ産のルビーとビルマ産のルビーの大きな違いは、ビルマ産のルビーが紫外線に強く反応するのに対しタイ産はあまり反応しません。
この違いが明度が淡くなるとビルマ産の色味はピンクになっていくのに対し、タイ産は元の色味は殆ど変わらないことに現れています。

ビルマ産(加熱)のクオリティスケールタイ産(加熱)のクオリティスケールを比較すると良く分かります。

ここでよく見るとクオリティスケールの「6」の明度を比較するとビルマ産もタイ産も違いが分からなくなっています。
ビルマ産の一番美しい「6S」は、無処理でしたら「ピジョンブラッド」と呼ばれているものです。
では、タイ産の「6S」とどのように見分けたらよいのでしょうか。
答えは、自然光で見ることです。
部屋の中の明かりでは、同じように見えますが、自然光が入る窓辺で比較すると一目瞭然です。
ビルマ産は、内側から燃えるような美しい赤が湧き上がってきます。
タイ産は、殆ど変わりません。

これが、モゴック産の無処理の「6S」でしたら、更に透明度も高くなり、色に優しさも加わります。
これが、正に「ピジョンブラッド」です。
残念ながら、モゴック産(無処理)のクオリティースケールの写真がよくないので、美しさがお伝えできません。

モゴック産(無処理)の濃くて美しいものを「ピジョンブラッド」、タイ産(加熱)の濃いものを「オックスブラッド」と表現するのは、やはり欧米人は肉食だからでしょうか。
日本人が価値観を作っていたら、「生きている鯵の血」や「死んだ鯨の血」なんて表現になっていたかも知れませんね。





バンコク買い付け ルビー、サファイアマーケット状況

不景気にも拘わらず、依然として良質のルビー、サファイアは不足しています。
新興国で底辺の需要を支えていた中国やロシアもここに来て、より良質なものを求めてき始めているので、一層状況は悪くなっています。

加熱処理ルビーは、相変わらずモンスー鉱山産(ミヤンマー)が主流ですが、直近の現地の原石オークションでは、リザーブプライスが高すぎるために殆どが落札されずにいます。

加熱処理サファイアの既存の産地の供給減を補っているのが、アフリカ産です。
最近はパイリン(カンボジア)産が枯渇して殆ど供給がないのを近い色合いのナイジェリアのMabira産の良質のものが補っています。
同じMabira産でも低品質のものはオーストラリアのロットに混ぜられて販売されています。

マダガスカルは当初、スリランカ産に混ぜられて販売されていましたが、既に産地として確立して販売されています。

 加熱を施さない無処理のルビー、サファイアの需要は世界的に増加していますが、本来の宝石品質は限られているので、価格は上昇の一途です。
以前はルビーの最高品質で10カラットを越えるとダイヤモンドを凌ぐと言われていましたが、今は既に5カラットサイズで逆転しています。
今後は更に小さなサイズも高騰が予想されます。

続 バンコク買い付け

バンコクでは、無処理のルビー、サファイアを買い付けます。

主にビルマ(ミヤンマー)モゴック鉱山の無処理を買い付けます。
殆どが加熱を施すことで宝石として流通している同じくビルマのモンスー鉱山産の中にも無処理のルビーはありますが、透明度と色味が異なるので、私は買いません。
最近、ビルマ産無処理のルビーとしてGRSのレポートがついて出回っているものの多くがモンスー鉱山産です。
サファイアはスリランカ産やマダガスカル産のサファイアの無処理で美しいものがもありますが、モゴック鉱山の良いものがあれば、優先します。


モゴック産無処理Top lot and 2nd lot face down







これは、モゴック産処理のルビーのロットです。
どちらもトップロットです。
左が少し淡い赤で、右が濃い赤です。
右が「ピジョンブラッド」と言われているものが含まれているロットです。
サイズは1カラットから3カラットサイズです。
実際に選んだのは、右のロットから2つ程度です。
一つ一つが異なるので、トップロットと言えども満足できるものは僅かです。

モゴック産無処理Top lot and 2nd lot face up







フェイスアップで比較すると更に良く分かります。


今回、買ったものの中からルビーを一つご紹介します。

モゴック産無処理3カラットサイズMQ仮枠







サイズが分かり易いように、鉄の仮枠に留めて私の小指に載せました。
因みにサイズは11番です。
素人の写真では、色味の再現に限界がありますが、透明度が高いのが十分に分かると思います。
我々が「ピジョンブラッド」と表現しているルビーです。
3カラットサイズで、しかもより大きく見えるマーキスなので、濃くても内側からモザイク模様が湧き出てきます。
無色のファンシーシェイプのダイヤモンドと組み合わせて魅力的なリングにしたてようと思います。


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