ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

2007年10月

Fancy Vivid Yellow

1.5ct size Fancy Vivid Yellow










また黄色の綺麗なダイヤモンドに出会ってしまいました。
1.5カラットサイズはメインストンとしては小さいのですが、あまりに綺麗なので買ってしまいました。
ブラウン味を全く感じない本当に彩度が高く、全体に色がのっている逸品です。
GIAのカラーグレードは当てにしませんが、これはVividと言えます。

最近のファンシーカラーのブームで色が十分にのっていない素材をカットの技術で濃く見せるようなものが主流ですが、このダイヤモンドは、ノーマルなカットです。
色を濃く見せる一般的な技術は、ガードルの下から垂直に近いファセットを伸ばしてカラーストンのバルジに近い溜めを作って色をのせます。
下の写真で分かるように、このダイヤモンドは全くのノーマルなブリリアントカットです。

1.5ct size Fancy Vivid Yellow pavilion








私は、見せかけか実際に濃いものか見ればわかりますが、一般の方でも分かる方法があります。
これは、サファイアやエメラルドなどの色溜まりを見るときにも用いますが、透明なガラスの容器に水を入れて宝石をフェイスダウン(テーブルを下にして)見ると分かります。
全体に色がのっている素材の良いものは、水に入れても変わりませんが、見せかけのものは本来の薄い色になります。
裸石を持っている方は試してみると面白いと思います。
但し、このペアーシェイプのダイヤモンドのような素材のものは稀なので、あまり期待をしないほうが良いと思います。



BHP ダイヤモンド原石

Antwerp Daiamond Exchange ADC







アントワープにある3つのダイヤモンド取引所の1つが入っているADCビルの入り口です。
沢山のバイヤーがこのドアーをくぐります。
この先は、パスがないとゲートを通ることが出来ません。
パスが無い人は、アポイントの確認が必要です。
プロの世界です。

BHP ROUGH Makable 22,000ctBHP ROUGH Makable close up







本日、運よくカナダのBHP社のEkati鉱山の原石に出会いました。
原石は、通常は入荷から1週間以内には全て完売されます。
入りたての原石に出会うにはタイミングが全てです。
これは、マイナス7 メイカブルです。
インド向けの主にメレー用の原石です。
マイナス7とは、7番の篩いにかけて落ちるサイズと言う意味です。
直径2ミリ未満で、40分の1カラット以下のサイズになります。


重さは、22,000カラットです。
約4.4キログラムです。
砂糖でもこんなに買いませんよね。
万年筆の大きさでお分かりになると思います。
クローズアップでみると様々なのが良く分かります。
原石のプロは、この状態ですと産地が分かるようです。
研磨すると難しくなりますが。

今日は、原石に出会えて幸運でした。



Antwerp アントワープ

Antwerp Daiamond Street













イーダーでの仕事を終えて、ダイヤモンドの買い付けのためにアントワープに移動しました。

写真は、Hoveniersttraat(ホーベーニー通り)です。
アントワープの3つのダイヤモンド取引所とダイヤモンド業者がオフィスを構える殆どのビルがこの100メートル程の通りに面しています。

ここには、ダイヤモンドの原石又は研磨済の売買のために世界中から集まります。

その顔ぶれにその時の世界の経済情勢が現れます。

ここ20年を振り返ってみると、1990年からの数年を除いて米国からのバイヤーは安定しています。
やはり、世界のダイヤモンド需要の半分近くを支えている国は実力が違います。
但し、今年は景気の減速で少なくなっているような気がします。

一定して増え続けているのがインドからの業者です。
今では、金額も人もユダヤ人を凌いで、アントワープの中枢を占めています。

1990年前後は日本人が溢れていました。
この通りを歩いていると、必ず知り合いに出会いました。
今では、殆ど会うことはありません。
寂しい限りです。

日本のバブルが弾けて、本格的な不況に入った頃に韓国人が増えた時期がありました。
韓国の経済危機によって、蜘蛛の子が散るように姿が見えなくなりました。

最近、増えているのは中国を中心としたアジア系の人たちです。
日本人と思って声を掛けると、中華系のアジアの方ということが多くなりました。

ロシアの人たちも見かけますが、需要に比較すると少なく思います。
産出国なので、自給自足で十分なのかも知れません。

まだ、回顧して懐かしんでいる歳ではありませんが、変遷を顧みて未来を考えることも重要です。


Idar-Oberstein イーダー・オーバーシュタイン

イーダーの街並みと古城(山頂に2つ)





イダーは、ドイツの田舎町です。
夜に車を走らせると、狐や鹿が良く顔を出すようなのどかなところです。
上の写真はイーダーの観光ガイドに欠かせないシンボル的な光景です。
ライン川の支流のNahe川沿いに建つ民家と山腹には岩の中に建てられたFelsenkirche(岩壁教会)があり、尾根にはドイツらしい古城が2つ見えます。

the Nahe valley のブドウ畑





宝石の街で有名なイーダーですが、地元の自慢はワインです。
リースリングが有名ですが、他にも色々な種類の葡萄からワインを作っています。
上の写真は、Naheのブドウ畑です。

the Nahe valley のワイナリー







小さなワイナリーが沢山あって、とても手軽な値段で色々な種類を楽しむことが出来ます。
しかし、私のようなドイツワイン初心者には理解するのに時間がかかりそうです。



パライバ トルマリン

パライバタイプトルマリン(加熱)







久しぶりにドイツのIdar-Oberstein(イーダー・オーバーシュタイン)に来ています。
ご存知の通り、こちらは伝統あるカラーストンの研磨地です。
地理的な理由でアフリカ産の原石が集まりやすいのが特徴です。
もちろん、ブラジルの原石も集まります。

ネオンカラーが綺麗なブラジル産のパライバトルマリンも当初からイーダーのドイツ人が手がけていました。
初めに発見されたパライバ州の隣の州から同様のトルマリンの鉱山が見つかり、2年前ぐらいまでは少ないながらも供給が続いていました。
その後、その鉱山も底を着き始めたところにアフリカのモザンビークから少し淡めなパライバカラーのトルマリンが発見されて、現在ではその手のトルマリンの主流を占めています。

ブルーやブルーグリーンのネオンカラーのパライバタイプのトルマリンの殆どが加熱処理によって美しい色が引き出されています。
もちろん、加熱といってもルビー、サファイアの現在主流の1,800度に達するような高温ではありません。
1,000度未満の古典的な加熱処理です。

以前にもご紹介しましたが、美しいブルーやブルーグリーンに加熱して変化するのはバイオレット(青紫)のものです。
下の写真の左側が一番上の写真のようになります。
右のパープル(赤紫)のものは、加熱しても色が抜ける程度です。

無処理パライバタイプトルマリン








パライバ原石







こちらの原石のバイオレット(青紫)の部分が加熱によって下のような結晶の色に変化します。

パライバ原石 (加熱後)












パライバの価格は、その美しい色の魅力と少ない産出量によって引き続き上昇傾向です。
10カラットを超える大きなサイズの本当に美しいものは、5年前の倍以上の価格がついています。
その価格は、無処理のルビーの同サイズのジェムクオリティーを除けば、カラーストンの値段としては最も高い値段です。
長い時間をかけて価格が形成されたダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルド等の伝統ある宝石の価格を凌ぐことには疑問を持ちます。
新しい宝石は、当初の「流行」から、引き続き人気が続いて「習慣」となり、更に歴史を積み上げて「伝統」になっていきます。
習慣になるには、ある程度の産出量が必要です。
産出が極端に少なくなるとデマントイドガーネットようなコレクターズアイテムになり、価格もそれほど上がりません。
更に硬度や耐久性が十分でないと人気がなくなり「習慣」になりません。

私は、上記の点から極端に高いパライバタイプのトルマリンは10年以上前から積極的に扱っていません。



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