ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

2007年10月

天然真珠

昨日のニューヨークのクリスティーズのオークションで落札された天然真珠をご紹介します。

NATURAL PEARL










約29.50×14.23mmのドロップシェイプ(露型)は、朝露が葉から落ちていく瞬間を捉えたような見事な形です。
自然に真珠が出来る確率は、気の遠くなるようなものです。
その中で、美しいことは言うもでもありませんが、この大きさと計算尽くされたような形の真珠があること自体、奇跡です。
落札価格は、US$289,000(手数料込み)、日本円で約3千4百万円にもなります。

現在宝石店の店頭の真珠の殆どは「養殖真珠」です。
ご存知のように、御木本幸吉氏によって発明されて世界に広まりました。
それまでの天然真珠は、非常に高価でダイヤモンドを凌ぐほどと言われています。
最近では、稀少性が見直され、養殖真珠の出現する前のような価格に戻っています。
これは、ルビーやサファイアの無処理と加熱処理の価格差がますます開いていくのと同じ流れです。
本来の稀少性が戻ってきました。
20世紀の後半は、人間の手によって作り出されたものと自然が作ったものの稀少性の区別が曖昧でしたが、21世紀は、その差がはっきりして、本来の稀少性が評価される時代です。

私は、今まで真珠は扱っていませんでしたが、「美しい天然真珠」に出会えたら、取り扱いたいと思っています。

昨日のオークションの目玉は、5.07ctのFancy Intense Blue VS2のリングでした。
結果は、US$2,885,800(手数料込み)1カラット当たりUS$113,000、日本円で約3億3千8百万円 1カラット当たり約1千3百万円です。
実際に拝見していないので分かりませんが、写真で見る限り魅力に欠けるように思えます。
引き続き、強い相場が続いています。

5.07ct FANCY INTENSE BLUE VS2


ダイヤモンドの年輪

パリの高級宝飾店「ハリー・ウィンストン」に強盗、17億円相当のジュエリー盗む

【10月8日 AFP】高級ジュエリーブランド、ハリー・ウィンストン(Harry Winston)のパリ(Paris)支店に強盗が押し入り、約1000万ユーロ(約17億円)相当のジュエリーなどを奪って逃走した。

 警察によると、事件が起きたのは6日午前10時ごろ。シャンゼリゼ(Champs-Elysees)通りから少し入ったところにある同店に、覆面をした3、4人の集団が押し入り、店員を脅して金庫を開けさせ、宝石やジュエリー、高級腕時計などを盗み出した。店員はショック状態にあるが、けがなどはないという。警察は計画的な犯行とみて調べている。AFP

先週、上記のような盗難のニュースがありました。

ニュースの最後にプロのコメントが以下のようにありました。

「しかしAFPが取材した専門家の話では、盗んだジュエリーを売る場合は盗品であることを隠さなければならず、額面通りの金額で売り渡すことはまず不可能。ダイヤモンドも闇市場では実勢価格よりはるかに低い値段でしか売買できないという。」

このようにコメントするのは、犯罪を未然に防ぐ意味で、プロとして正しい姿でしょう。

でも、実際は少しリカットすれば、石目方が変わるので特定するのは困難です。

かつて、私が扱ったダイヤモンドで石目方が違ったのに履歴を特定できたものが1点だけありました。
何故、出来たかと言うと、100カラットを超える大きさで、10年以上前のオークションのカタログに大写しの写真が掲載されていて、特徴のある形のインクルージョンが同じ位置にあったからです。
このようなケースは稀です。
VVSやIFのようなクラリティーグレードでしたら、不可能でした。
断っておきますが、これは盗品ではありません。


では、盗難にあって、後から石目方が少し異なる疑わしいダイヤモンドが出てきた場合に証明することは出来ないのでしょうか。

実は、あります。

あまり、紹介されていませんが、日本には一つ一つのダイヤモンドが持つ特徴を記すレポートのサービスがあります。
このサービスは、全国宝石学協会さんがカソードルミネッセンス写真を用いて提供している「ダイヤモンド・フィンガープリント (Diamond Fingerprint)」です。
サービスの名前通り、「ダイヤモンドの指紋」の採取です。
石目方を少し変えるだけのリカットをしても、このレポートを取っておけば同一性の証明は可能です。

盗難に備えるということではなく、私はこのサービスに、以前から注目していました。
合成ダイヤモンドは、一定の条件で成長しますので、フィンガープリントも構造的になりますが、天然のものは不規則で同じものがありません。
まさに不完全性です。
ダイヤモンドも他の宝石と同様に同じものは2つとなく不完全性であることが良く分かります。
ダイヤモンドの成長の履歴を見ることが出来ますので、指紋ではなく「ダイヤモンドの年輪」と言うのが正しいかも知れません。

盗難に遭わないことに越したことはないので、皆さんはまずは盗まれないように大切な宝石は貸金庫等に保管することが肝心です。



ジュエリーの金具の改良

リング以外の装身具には、体につけたり、衣服につけるために色々な金具が使われています。

ユニバーサルデザインのように大きな金具を作れば、使いやすくなりますが、スマートではありません。
装身具としてのイメージを壊さないように作ると小さくなり、使いづらくなります。

メーカーは、相容れない2つの条件を勘案して金具を選びます。
満足できない場合は、オリジナルを作らなくてはなりませんが、パーツにはジュエリー本体とは異なる堅さやバネ性に加えて大量生産が求められるため、専業のメーカーの作ったものを使っているのが現状です。

弊社では、定期的に金具を見直して、最良なものを採用したり製作しています。
場合によっては、専業メーカーに協力していただいてオリジナルバーツも作ります。

今日は、現在行っているネックレスの金具の改良の経過をおしらせします。

旧プレート







これは、一般的に使われているネックレスの金具です。
左が「引き輪」、右が「プレート」と呼ばれています。

「引き輪」は古くからほぼ同じ形で使われ続けられているので、完成された形の一つだと思います。
「引き輪」が登場してから、色々な金具が考案されてきたはずですが、淘汰されずに何十年も残ったと言うことは替えがたい魅力があるのでしょう。

問題は、「プレート」です。
アンティークなどには、プレートは使われていません。
丸線を楕円にした物などが使われています。
恐らく、プレートは刻印のために登場したのではないかと思います。
特に大蔵省(財務省)造幣局の地金純度の検定刻印を入れるスペースが必要だったのではないでしょうか。
薄い貴金属の平板を打ち抜いただけの何とも高級感に欠けます。
地金の純度が販売促進になっていた時代の名残です。

このプレートを使いやすく、高級感のあるものに出来ないかと考えて下のような金具を作りました。

新プレート







新プレート+引き輪







アンティークを復活させただけの楕円では、芸が無いので、卵形にして線の強弱もつけてみました。
チェーンを繋げる丸環を卵型の線に対して十字に繋がずに平たく繋いで、指に当たる違和感をなくしました。
打刻スペースがなくなったので高級感のある少し厚みのある楕円のプレートにつけたところ、期せずして、引き輪を持つときに持ちやすくなりました。

何人にも試してもらいましたが、評判はまずまずです。
試作品としては、合格点です。
更に改良して良いものを作っていきます。

ご意見や体験談がありましたら、ご協力ください。



Fancy Vivid Blue

6.04ct EM Fancy Vivid Blue IF6.04ct EM Fancy Vivid Blue IF on Piano











昨日の香港のSotheby'sのオークションでブルーダイヤモンドが高額で落札されました。

6.04カラット
Fancy Vivid Blue
Internally Flawless

落札価格は、HK$61,927,500(手数料込み)になります。
約US$8,000,000で日本円では約9億2千500万円になります。
1カラット当たり約US$1,325,000、日本円で約1億5千3百万円になります。

凄い価格ですね。
大粒の宝石が過熱と言われてから、暫くたちますが、本当に稀少性の高い商品の勢いまだ止まらないようです。
残念ながら、実物は拝見していないので、美しさについてはコメントできません。
但し、Vividとついているので、最低限の彩度は持ち合わせていると想像されます。


その他では、
18.60カラットのカシミール産サファイア(無処理)
TIFFANY社せいのブローチ兼ペンダントがHK$7,831,500(手数料込み)で落札されました。
約US$2,400,000で日本円で約2億8千万円になります。
1カラット当たり約US$130,000、日本円で約1千500万円になります。
大粒のカシミールサファイアは本当に高くなりました。
18.60ct Kashmir by Tiffany & Co.









ホワイトの大粒ダイヤモンドは、相変わらずです。
ラウンドの10.51カラットと10.56カラット
2つともDカラー、Flawless、EX、EX、しかもTypeaは
HK$19,143,500(手数料込み)で落札されました。
約US$2,500,000で日本円で約2億8千600万円になります。
1カラット当たり約US$118,000、日本円は約1千300万円になります。
このロットは、2つセットなので、プレミアムがつきますが、ラウンド10カラットサイズのホワイトの最高額は10万ドル/ctが定着しています。

相場が上がっているときは、いつまでも続くような気がしますが、急激に上がれば、やがて調整されます。
但し、この相場の背景には、「ドル安」があることを忘れてはなりません。
宝石は、ドルで取引されます。
他の通貨、特にユーロで見れば、上がり方は穏やかになります。






Loose Biz (ルーズビス)

今日から10月です。
郵政民営化がスタートし、福田総理大臣の所信表明と節目の日です。
いつも見慣れた東京の通勤風景も心なしか改まったように見えました。

いや、何かが違う。

良く見ると先週までと比較して、ネクタイを着用している人が一気に増えています。
そうです、クールビズがようやく終了したようです。
一部の人は、引き続きノーネクタイのままですが。

クールビズでネクタイを外した人たちは、そもそもスーツが必要だったのでしょうか。
欧米と比較しても、日本のスーツ姿のビジネスマンの多さは異常です。
作業が必要な仕事でもスーツ姿です。

例えば、コピー機の点検の仕事は、トナーで汚れるのは当たり前ですが、スーツ姿です。
疑問に思って、本社の方に伺ったら、作業着では社員の応募が少なくなるとの事でした。
本末転倒も甚だしい限りです。

熱帯のバンコクやムンバイでは、銀行などの職業以外は、めったにスーツを着ません。
ポロシャツや開襟シャツ又は、Tシャツです。

スーツに拘らずに、職業にあった身なりで良いではないでしょうか。
作業には、作業着が向いています。

もともとスーツ姿は、肌の露出を抑えて、改まった印象を与えるためのものです。
スーツ姿は馬子にも衣装の例えどおりに、どんな人もそれなりに見せてくれます。
スーツ姿からネクタイを外しただけでは、単にだらしなく見えるだけです。

Cool(涼しい)Bizならぬ、Loose (だらしない)Bizです。
仕事の質まで怪しくなります。

作業着をしっかりと着ている工事や建設現場に働く人たちの方が、隙がなくきちんとしています。

子供達に「身なりの乱れは生活の乱れ」と言っていますが、我々自身にも当てはまるのではないでしょうか。

私はスーツを着ている限り、クールビズはいたしません。

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