ジュエリーコンシェルジュ原田信之

諏訪貿易が提供しているジュエリーの相続資産の査定・仲介のサイト「宝石ドットコム」の責任者:原田信之のブログ

2007年11月

D-Screen

D-Screen本体








今年の6月13日のブログでHPHT処理(高温高圧処理)が発見されたと報告しました。
結果、今日までに同様の処理のダイヤモンドが更に一つ発見されています。
半年で2つとは少ないようですが、以前には1つも出ていなかったので深刻に受け止めています。

カラーレスのダイヤモンドの場合は、Type兇離瀬ぅ筌皀鵐匹HPHT処理(高温高圧処理)して、ブラウン味を抜いてより無色に近づけるような色の改善を行います。
殆どのダイヤモンドは微量の窒素を含むType気任垢、窒素を殆ど含まないType兇離瀬ぅ筌皀鵐匹篭呂です。
諸説ありますが、実感では3〜10%未満です。
幅があるのは、美しさを見極めて買い付けされたダイヤモンドを調べているので、オリジナル状態ではないことと、Type気鉢兇龍界はデジタルではなく、帯状のアナログ的なものであるためです。

諏訪貿易では原石の出所から研磨業者までTraceability(追跡可能性)が取れているもの以外のダイヤモンドの鑑別をラボにお願いしています。
そこで、鑑別代金の節約に、自社でType気鉢兇鯤けられないかと思っていたところに、アントワープのHRDでD-Screenと言う機械を販売していましたので、早速買って試してみました。

一番上の写真がD-Screenです。
ステプラー(ホチキス)のような姿かたちです。

D-Screen 本体







機械を開けところです。

D-Screen 本体オープン クローズアップ







的状になっている中心に対象のダイヤモンドを置きます。
マニュアルには0.20ct〜10.00ctでカラーがD〜Jのダイヤモンドのタイプの判別が可能とあります。


D-Screen シグナルD-Screen シグナル オン







側面に緑、赤、黄色のシグナルがあります。
スイッチを入れるとシグナルが断続的に点灯し、点灯が終わったら判別可能です。
緑色は、Type気撚色はtype兇任后
赤色は、機器の故障です。

D-Screen Type誼屬D-Screen Type吉縦







試しに所有の4カラットサイズのエメラルド(D VVS1)を載せると、緑色のシグナルが点灯しました。
これは、Type気任靴拭

D-Screen Type驚屬







次はブログの表紙にもある「ゴルコンダ ダイヤモンド」を試してみました。
「ゴルコンダ ダイヤモンド」は、典型的なType兇箸靴突名です。


D-Screen Type業縦







結果は、黄色のシグナルが点灯しました。
看板に偽りはありませんでした。

因みにラボでType兇犯獣任気譴燭發里盪邯海靴泙靴燭、結果は同じでした。
見た目は、シンプルな機械ですが、実力はなかなかです。




D-Screen ケースD-Screen 収納状態








ヨーロッパの商品らしく、このようにケースに収納されています。
充電池が内蔵されていますので、電源が無いところでも暫くは使用可能です。
但し、アダプターはヨーロッパ仕様なので、電源には変圧器が必要です。
価格は、2,475ユーロ(約40万円)です。
「安心」が買えるなら、決して高くはありません。

D-Screen



84.37ct D Flawless

84.37ct D FL








11月14日にジュネーブで行われたSotheby'sのオークションで、また記録が更新されました。
84.37ct D Flawless EX EX EX

84.37ct D FL Grading Report










落札価格(手数料込み)は、SFR 18,193,000、約US$16,200,000、日本円で約17億8千200万円です。
1カラット当たりは約US$192,000、日本円で約2千100万円です。
これは、カラーレスのダイヤモンドの1カラット当たりの価格の記録です。

買い手は、Guess Jeansの創設者の Georges Marciano氏です。
彼は、直ちに "Chloe Diamond"と命名しました。

84.37ct D FL Rough








このダイヤモンドは、350カラット以上の原石(写真上)から2年をかけて研磨されたそうです。
同様のグレードで120〜130カラットのアッシャーカット(スクエアーエメラルド)が研磨されるところをブリリアンシーが強い84カラットのラウンドブリリアントカットに仕上げたそうです。
外野が出る幕ではありませんが、私でしたら厚みのあるラウンドブリリアントにせずに迷わずアッシャーカットします。
出品者は20年来の知人なので、次に会った時に聞いてみます。

大粒ダイヤモンドの高騰はいつまで続くのでしょうか。




1日後の15日に行われたChristiesのジュネーブのオークションでもレッドダイヤモンドの記録が更新されました。

2.26ct Emerald cut Fncy Purplish Red SI2
落札価格(手数料込み)$2,667,567 (約2億8千6百万円)、1カラット当たり$1,180,340(約1億3千万円)
買い手は、またLaurence Graff氏です。

ファンシーカラーも高値が続いています。



ピジョンブラッドと蛍光性

3カラットサイズ ルビー ピジョンブラッド









ルビーはサファイアと同じコランダムと言う鉱物です。
主成分は、アルミニウムと酸素です。(酸化アルミニウム)
純粋なコランダムは無色ですが、クロムを含んで赤くなったものがルビーです。
クロムの量は、1%程度がルビーとしては最適とされています。
増えすぎるとグレーになり、宝石にはなりません。
一方、サファイアの青は鉄とチタンによってもたらされます。
正に、奇跡のような偶然が宝石を生みます。

ビルマ産のルビーは紫外線を当てると強い蛍光を発します。
これは、ルビーに含まれているクロムによります。
同じルビーでもタイ産のものは、蛍光性が少ないのは、鉄分のためです。
鉄分が多いと蛍光性を減少させます。

ルビーのピジョンブラッドとは、我々は以下のように定義しています。
‥租的な概念なので、ビルマのモゴック鉱山産のもの
¬欺萢で透明度が高いこと
G擦だ屬任△襪海
ぅ瓮ぅ鵐好肇鵐汽ぅ困梁舂海任△襪海

○何故ビルマ産なのでしょう。
□それは、伝統的であると言うこととに加えて強い蛍光を発することも理由の一つだと思います。
タイ産にも同じような濃い赤が存在します。
しかし、同じように見える2つの産地のルビーを部屋の中から昼間の窓辺に移動しながら見ますと、ビルマ産のルビーは見る見る内側からメラメラとした炎のような赤が湧き上がってきます。
一方、タイ産のものには変化が見られません。

○何故無処理なのでしょうか。
□稀少性は比べようが無いのは、当たり前ですが、高品質な無処理のルビーの透明度は加熱のもののを遥かに凌ぎます。
また優しさも加わるのが不思議です。
ビルマのモゴック鉱山のルビーの一部には加熱をしなくても美しいものがあります。
タイ産や同じビルマでもモンスー鉱山のものの殆どは加熱をしないと宝石になりません。
このことからもモゴック産であることが分かります。

○何故大粒なのでしょうか
□ピジョンブラッドは、想像以上に濃い赤です。
1カラット以下のような小さいサイズで濃い赤の場合は、真っ黒になり美しくありません。
このサイズでは、むしろ明るめな明度のルビーをお勧めします。
同じ濃い赤でも3カラットサイズ以上の場合は、光を多く取り込むので内側からモザイク模様が浮かび上がってきます。
これは、欧米でメインストン(主石)には3カラットサイズ以上が好まれることに関係があるように思います。
存在感が出て、見栄えがするサイズがこのくらいからなのでしょう。
メインストンサイズのルビーで赤が美しく見えたのが、ピジョンブラッドの概念だと思います。
それより小さいサイズは対象でなかったのだと思います。
因みに3カラットサイズとは、3カラットの宝石として十分な大きさ(場面)があることを差します。
深さが浅い場合は、2カラットでも3カラットサイズと言えます。


BHPビリトン、リオ・ティントに買収提案

ダイヤモンドの原石








大きなニュースが入ってきました。
本日の日経新聞に「BHPビリトン、リオ・ティントに買収提案」の記事が載りました。

以下、日経新聞原文

 英豪資源最大手BHPビリトンは8日、英豪資源大手リオ・ティントに対し、買収を提案したことを明らかにした。実現すれば鉄鉱石や銅、ウランなど資源・エネルギー分野で群を抜いた世界的な巨大企業が誕生する。リオは同日、申し入れを拒否すると発表した。

 両社によると、今回の提案にはリオ株式1株をBHP株式3株に交換する内容が含まれているという。豪メディアは買収総額は1200億ドル(約13兆6000億円)を超えると報じた。

 BHPはリオに対して申し入れ内容の協議を求めているが、リオはTOB(株式公開買い付け)手続き中のカナダのアルミ大手アルキャンの買収作業を優先したいとしている。



両者は、一つ前のブログで説明しましたが、ダイヤモンド鉱山の大手でもあります。
もしこれが実現するとDTC(De Beers)、ロシアについで大きな勢力になります。
アンゴラを加えれば、世界は4つのグループがダイヤモンドの原石供給の殆どを押さえるということになります。
DTC(De Beers)の独占が崩壊して、6〜7のグループが形成されて、また集約に向かっています。
世界は以前のようなカルテルの出現を許さないので、より力の拮抗している勢力間の競争が本来の稀少性を更に炙りだすでしょう。
これからは更に品質の高いものと低いものとの価格差が広がっていくと思います。
品質の大きな要素は、美しさとサイズです。



アントワープ市況 

DTCのサイトのあり方が変わってきています。ナショナリズムの興隆によりアフリカ各国の政府が資源の主導権を握り始めました。
既に南アフリカ16社、ボツワナ16社、ナミビア11社のサイトホルダーを政府と一緒に決めています。
ヨーロピアンコミッティの裁定により2009年よりはロシア産の原石も入手が不可能なので、ロンドンのサイトも何れアフリカ3カ国に集約されるのではないかとの憶測もあります。
DTCはそのほかにカナダにSnap LakeとVictorの鉱山を持っています。
合計すると世界の原石の金額で40%〜45%を占めていると思われています。

続くロシアは約25%、オーストラリアのArgyle鉱山とカナダのDiavic鉱山の他、ジンバブエにも鉱山を持っている「Rio Tinto Zinc」は約15%、カナダのEkati鉱山の「BHP Billiton」は約8%を占めていると考えられています。

鉱山会社の管理下になく、金額で約15%を占めるアンゴラは重要です。
以前は、「Lev Leviev」氏率いるグループが優勢でしたが、かつての勢いはありません。
原石をめぐって各業者は公式、非公式に激しい競争をしています。

 独占から寡占、サイトから入札、鉱山会社から国家管理と原石をめぐる環境は変わっていますが、美しさを楽しむというジュエリーの本質を忘れないようにしようと思います。




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