ジュエリーコンシェルジュ原田信之

諏訪貿易が提供しているジュエリーの相続資産の査定・仲介のサイト「宝石ドットコム」の責任者:原田信之のブログ

2008年03月

ヒストリックリング

ピラミッドダイヤモンドのポージーリング








世界的なリングのコレクターである橋本さんのヒストリックコレクションを手に取る機会に恵まれました。

コレクションの一つをご紹介します。
上の写真のリングは、ダイヤモンドの原石と金で15世紀に作られたものです。
ピラミッドダイヤモンドのposy ring(ポージーリング)では現存する2個のうちの1つです。

写真で拝見したときは、普通のリングサイズを想像していましたが、実際はサイズ2番というピンキーリング程度です。

私の小指には爪の部分までしか入らないほど小さなものです。
ピラミッドダイヤモンドのポージーリング サイズ






Posy Ringとは歌やメッセージを刻んだ指輪のことです。
このリングのメッセージは、ノルマンフランス語で“QUA(ND) VOUS NE ME VOER DE MOY PENSER”「一緒でないときには、私のことを思ってください」と何ともロマンティックであります。
ポージー










サイズとメッセージから男性から女性に贈られたと考えるのが一般的ですが、別な意見もあります。
その当時、女性から贈られた指輪を帽子につけることが流行したそうです。
その装飾用の指輪ではないかと言うものです。
実際に沢山の指輪がついた帽子をかぶった男性の肖像画が残っています。
但し、何れも定かではありません。
でも、想像するのは楽しいものです。

ピラミッドダイヤモンドのポージーリング先端








原石がそのまま使われているのは、ダイヤモンドの研磨技術が確立していなかったことに加えて、ダイヤモンドの原石を傷つけると石の持っている力(パワー)が無くなると信じられていたこともあるようです。

幽閉された時にダイヤモンド原石の尖った部分でガラスや塀ににメッセージを彫って想いを伝えたとも聞いています。

見て分かるように、ダイヤモンドの裏側は地金で塞がれています。
橋本さんによると現在のように地金の裏側を開けて光が入るようにしたオープンセットが出てきたのは19世紀初めとの事です。
それまでは、このリングのように宝石は埋め込んで留めるだけだったそうです。
意外に知らないことですね。


橋本さんのコレクションはHistoric Rings: Four Thousand Years of Craftsmanship に収録されています。
私も持っていますが、世界的なアンティークジュエリーの研究者であるダイアナ・スカリスブリックさんの解説も魅力的です。
但し、英文のみです。





ドル安とダイヤモンド価格

10ct size Diamond Rough






前回のブログで今回のドル安ではドル安分だけ相場が上がるので、ダイヤモンドの価格は安くならないと書きましたが、思ったより早くマーケットは反応しました。
ブログがアップされて、まもなくニューヨークの会社が発行しているダイヤモンド価格指標が上がりました。
正確には、ラウンドシェイプの1カラット、ファンシーシェイプの3カラット以上のVSクラス以上のものが満遍なく1割程度上がりました。
ここ数年続いている大粒ダイヤモンドの値上がりも最近は、2カラット以下のサイズは収束ぎみで、3カラット以上の高品質に集約される傾向でした。
今回は1〜2カラットサイズまで含めて、一律的に相場が上がったことから「ドル安」分の調整であることが分かります。
需要の強いアイテムから調整が始まり、人気がないところを除いてこの傾向は全体に及ぶことでしょう。

米国以外の国では今回のダイヤモンド価格の上昇をドル安で相殺出来ますが、米国人にとっては純粋に値上がりです。
当たり前ですが、通貨が弱くなると輸入品は高くなり、インフレの要因になります。
他の国を同情するほど余裕はありませんが、良い時期が長かったので辛いときです。
日本には円高を嫌う風潮がありますが、急激なものでなければ国力が評価された結果なので、デメリットを克服してメリットを享受したいものです。

ダイヤモンド価格指標は、バイヤーが交渉のベースにしているものです。
そのまま、一般の方が使えるものではありません。
宝石は、一つ一つが異なります。
同じものは2つとありません。
4Cが同じでも美しさはそれぞれです。
同じグレードでも玉石混交です。
プロのバイヤーは、美しさを見極めて一つ一つのプレミアムを考えて価格交渉します。
同じグレードでも一つ一つ価格は異なります。
透明度が高く私が美しいと思えるダイヤモンドは、たとえVSクラス以上の稀少性の高いクラスでも1割もないのが現実です。
良いものをお探しでしたら、信頼できるプロにお願いするのが早道です。
くれぐれも「ババ」を引かないようにご注意ください。


写真は、10カラットサイズのダイヤモンド原石です。



ドル安とダイヤモンド価格

Diamond Rough






昨日から一時的にUS$1が100円を切り、12年ぶりのドル安で市場は大騒ぎです。
為替では一喜一憂しないことにしている私も無関心ではいられなくなってきます。

為替が動くとダイヤモンドの価格にどのように影響するのでしょうか。

宝石の取引は、米ドルで行われます。
ドル建てで決済されている他の輸入品と同じく、円高になるとダイヤモンドも安くなると考えるのが一般的です。
しかし、今回は新聞でも報道しているように、ドルの独歩安です。
という事は、米国以外の国はその国の通貨に換算すると受け取る金額が少なくなってしまいますので、ドル安分値上げする動きが出てきます。
時間差は多少ありますが、いずれ追いついてきますのでドル安ですぐに日本でのダイヤモンドが安くなることはありません。
特に小売店頭価格は、短期の値動きでは変わりません。
傾向が定着することと商圏の競争を見極めて、在庫の簿価と相談して価格変更しますので緩やかです。
ダイヤモンド以外の宝石の場合は、取引の頻度がより少ないので更に穏やかな動きです。
但し、ドル安は米国での買い物にはメリットがあります。
今度のゴールデンウイークをハワイで過ごすのも良いですね。

それに引き換え私のビジネスは国際相場に合わせてドル建てで値段をつけています。
決済はその日の為替レートですので、ここ1ヶ月で在庫の価値が1割ほど目減りしました。
反対のケースもありますので気にしないことにしていますが、実際は気分穏やかではないのが修行が足りないところです。

写真は、1カラットサイズのロシア産のダイヤモンドの原石です。
クリスタル(八面体)と呼ばれる綺麗な形の結晶です。
形状からプリンセスカットに向いています。

注目のLMHC

Ruby UT 5ct size







一見LVMH(ルイヴィトン モエ ヘネシー)の様なアルファベットが並んでいますが、ブランドのグループではありません。
Laboratory Manual Harmonization Committeeの略です。
日本語に訳すと「ラボ・マニュアル調整委員会」になります。
2000年に世界を代表する7つの宝石ラボがレポートの用語統一のために組織しました。

7つのラボは以下の通りです。
日本:GAAJ-Laboratory(全国宝石学協会)
スイス:Gubelin Gem Lab
スイス:SSEF(Swiss Gemmological Institute)
米国:GIA Gem Trade Laboratory
米国:AGTA-Gem Testing Center
イタリア:CISGEM
タイ国:GIT-Gem Testing Laboratory

特にコランダムの加熱やエメラルドのオイル含浸の程度に使われる用語の統一がなされたことが大きな成果です。
さらに鑑別技術の交流や諸問題の討議も行われています。
研究の積み重ねという意味では、ダイヤモンドはGIA、カラーストーンの処理と産地はグベリン博士を起源にもつスイス勢に一日の長がありますが、最新の機械を使った分析では、日本の全国宝石学協会さんが世界をリードしています。
全国宝石学協会さんの科学的な手法にスイスの伝統的な鑑別技術が加わると、産地の同定や処理の有無がより明確になると期待されています。
但し、全国宝石学協会さんの場合、LMHC基準のレポートは英文だけなので、稀少性の高い宝石のレポートは英文レポートを指定する必要があります。

こうした無処理のルビー、サファイア、含侵の少ないエメラルドや天然真珠等の稀少性の高い宝石は国際商品であり、LMHCグループのレポート基準が世界の標準です。
LMHCの活動にこれからも目が離せません。

LMHCの詳細は下記のページでご覧になれます。(英文のみ)
LMHC INFORMATION SHEETS

写真は、5カラットサイズのビルマ(ミヤンマー)モゴック鉱山の無処理のルビー(Gem Quality)です。


25th Diamond Personality Award

鈴木 京香さん受賞シーン









DTC(De Beers)が主催しているダイヤモンド・パーソナリティ賞の授賞式に行ってきました。

今年の受賞者は鈴木京香さんです。
至近距離で見る鈴木京香さんは、圧倒的に美しかった。
日本女性らしい優しい美しさの中にも凛とした背筋が伸びたものを感じます。
写真の通り、贈られたネックレスは中心が2カラットのラウンドブリリアントで合計20.11カラットの大変立派なジュエリーです。
もしこれが、より大粒のマーキスシェイプやペアシェイプを100カラット程度使ったもっと豪華なネックレスだったとしても、鈴木さんでしたら素敵に着けこなせると思います。

25年前の第1回の受賞者は絵本作家の赤松末吉さんと横笛奏者の赤尾三千子さんでしたした。
その後も射撃手、建築家、バレリーナ、作家に加えて野球、サッカー、ゴルフ、柔道の選手が続いています。
中でも第4回の本田宗一郎さんの受賞はユニークです。
この賞が始まった1983年は、これからバブル経済に突入する前で日本の宝飾市場が拡大する直前でした。
当時De Beers(DTC)はダイヤモンド原石を8割方独占しており、これから成長するであろう日本市場に先行投資していました。
期待に応えて、日本の宝飾市場もバブルのピークには3兆8千億の規模を誇りました。
受賞者の人選には、市場をゆっくり育てようというDe Beers(DTC)の余裕が感じられました。

ここ10年を見てみると黒木瞳さん、林真理子さん、江角マキ子さん、松嶋菜々子さん、吉永小百合さん、宮沢りえさん、森光子さん、高橋尚子さん、伊藤美咲さんと10人中8人が女優です。
日本の市場規模は1兆円程度と身の丈ほどになり、人選にも費用対効果が重視されているのでしょうか。
ちなみにお一方だけ2度受賞されています。
吉永小百合さんです。
困ったときの吉永小百合さんなのですね。

個人的には、ダイヤモンドを贈りたくなるような背景を伝えていた過去の宣伝の方が印象に残っています。

異業種ですがサントリーさんのCMは、普段ウイスキーを飲まない私でさえ、たまには飲んでみようかなという気にさせる物語性を持っていて、宣伝の上手さを感じます。
「ランランリラン シュビラレ・・・」




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