ジュエリーコンシェルジュ原田信之

諏訪貿易が提供しているジュエリーの相続資産の査定・仲介のサイト「宝石ドットコム」の責任者:原田信之のブログ

2008年04月

Mac Book Airとジュエリー

macbookair




紙のように薄いノートパソコンが書類封筒から取り出されるテレビCMに皆さんも驚いたのではないでしょうか。

確かに1.94センチの厚さは現在のノートパソコンの中では最も薄い部類に入ります。
では、雑誌の厚みに直すとどうでしょうか。
約2センチの厚みの雑誌とは、かなりボリュームのある月刊の婦人誌に相当します。
決して、紙のように薄いと言う感覚とは程遠くなります。
薄く見える秘密は、その端の処理によるものです。

macbookair side

このように端を尖らせて実際より薄く見せる手法が効果的に使われています。


ジュエリーを作るときにも同様の手法を良く使います。

スリーストン 上から






これは、オーバルのスリーストンリングです。
ダイヤモンドの大きさを強調するためにリングのショルダー(肩)は、細く絞り込まれています。
上から見ると、かなり細く見えます。
ダイヤモンドは強調されますが、頼りなくも見えます。

スリーストン サイド






横から見ると、このようになります。
結構な厚みと高さがあるので強度が確保されているのが分かります。


何故、細く見えるのでしょうか。
それは、絞り込むと同時に上面に向かってエッジ(峰)を立てて、より細く見せているからです。
Mac Book Airと同じです。

もう一つ、同じような視覚効果を狙った加工をご紹介します。

バーセット エッジなし






これは、かまぼこ型の爪でバーセット(板留め)されたものです。
留め方としては、難度が高いものです。

バーセット エッジあり






この爪に峰を立てるとこのようになります。
同じ太さの爪も細く見えてシャープになります。

このように、ジュエリーは、宝石をどのように綺麗に見せるかだけでなく、爪等の見せ方も考えながら作られています。

このような視点でジュエリーをご覧になると、もっと愛着が湧いてくると思います。


LED付きルーペ

Rayner LED Triplet Loupe 表





バーゼルの会場で話題になっていたルーペを購入しまいた。
一見、何の変哲もない宝石用ルーペですが、良く見ると根元にスイッチが付いています。

勘の良い方は、もうお分かりですね。
そうです。
ライトつきのルーペです。
暗いところでも、ライトなしで宝石を拡大出来ます。
ありそうで、無かった商品です。
世の中には、色々考える方がいらっしゃいます。

視野照明のように石の側面から光をあて、宝石の内部を見やすくすることは出来ませんので、限界はありますが、暗いところではありがたいものです。
最も、プロのバイヤーはそんな条件の悪いところで価値を判断することはありませんが。

Rayner LED Triplet Loupe ライトオン 表





ライトをつけるとこのようになります。


Rayner LED Triplet Loupe ライトオン 裏





ひっくり返すとLED(発光ダイオード)で白く光った輪が見えます。

必需品とは思いませんが、持っていると一瞬ですが、人気者になれます。

余談ですが、バーゼルでは売り切れで、これはアントワープで買いました。
因みに値段は34ユーロでした。
宝石用ルーペとしては、普通の値段です。



Basel Show 2008 総括

Basel show 2008 Hall 3




 

 4月3日(木)〜10日(木)の8日間Basel World 2008が行われました。約2,100の出展者に対して昨年比5%増の106,800人の訪問者がありました。

 数年前から増えているロシア、中国のバイヤーに加えて、インドからのバイヤーも見かけるようになりました。
更にチェコやポーランド等の東欧とトルコといった拡大するヨーロッパ圏外側の新興国からの訪問も報告されています。
米国経済の減速による需要減を補えるかどうかが話題になっていますが、反応は業者によって様々です。

 ダイヤモンドは、各研磨地で見ることがめっきり減った3〜50カラットの大粒石が業者の力を誇示するようにショーウインドウに並んでいます。商品のルートが変わりつつあります。
人気のファンシーカラーのダイヤモンドもメレーサイズから10カラットを越えるものまで目立つ位置にディスプレーされています。
かつては天然と処理の判断が難しいため、マーケットに数えられるほど少なかったFancy Greenのダイヤモンドが、鑑別情報の集積と原石からの研磨の過程を公開することにより今ではバーゼルの会場だけでも幾つも見ることができるようになりました。
価格もレッドほどではありませんが、ブルーを凌ぐ価格がつけられているものもあります。彩度の高いものが存在するので、もう少し数が増えるとピンクのように人気が出るかも知れません。

 今年、多くのメーカーが使っていた素材の一つがフラットダイヤモンドです。素材としては2,3年前からありましたが、ジュエリーとして一斉に登場したのは今年からです。ダイヤモンドの原石をスライスしただけのものですが、比較的場面が大きいのでデザイナージュエリー風にネックレスに沢山留められたものが多く出ています。
宝石に向かない低品質な原石を加工したものが殆どで、アイデアとしてはトルマリンの原石をスライスしたものと変わりません。
研磨技術の進歩と柔軟な発想がつくった素材といえます。輪切りのトルマリン同様にメジャーな素材とはなりえませんが、暫く目にする機会も出てくると思います。

 ルビー、サファイア、エメラルドは原産地と処理の有無(程度)の表示が定着しています。特にビルマ産ルビーで3カラット以上の最高品質は同じ重量のダイヤモンドのD IFの価格を凌ぐものも珍しくありません。
無処理と処理とでは価格に大きな差がついていますが、無処理でも美しいものは僅かなので、鑑別結果の鵜呑みは禁物です。

 モザンビーク産と思われるパライバタイプのトルマリンが小粒から20カラットを超えるような大粒までたくさんディスプレーされています。
塊でみるとブラジル産との違いが分かりますが、個別には近いものが存在するので産地の限定は難しくなります。
アフリカ産のレッドスピネルも話題になっていました。
 
 ジュエリーのトレンドは相変わらず2ミリ前後の小粒メレーダイヤモンドをパヴェセッティングしたものです。地金価格の高騰からプラチナは少なくなりホワイトゴールドが主役です。
貴金属でメーカー独自のフォルムを作ってメレーダイヤの多寡で価格差をつけたものが殆どです。
どのジュエリーもコストダウンによりメレーが小粒になった結果、輝きが少ないのが残念です。

Basel Show 2008

ファンシー ヴィヴィット グリーン
Basel show 2008 1カラットサイズ Fancy Vivid Green







とんでもなく綺麗なグリーンのダイヤモンドを見ることが出来ました。
10年前に天然のレポートがついたグリーンのダイヤモンドと言えば、どちらかと言うと彩度の低い魅力のないものばかりでした。
それも、世界中で幾つも存在しない極稀なコレクターズアイテムでした。
最近、GIAのデータの集積が進んだことと、研磨業者が原石から研磨の過程をGIAに明らかにすることで、天然のグリーンのダイヤモンドがバーゼルショーのようなところでは珍しくなくなってきていました。
その中で、ひと際美しいグリーンがこの1カラットサイズのラディアントカットです。
新緑の森のような鮮やかなグリーンは、通りがかる人々の足を釘付けにします。
約6ミリ角の決して大きいとは言えないサイズを忘れる程のオーラを発しています。
因みにGIAのカラーグレードは、Fancy Vivid Greenです。
価格は、5カラットサイズのラウンドのD IFが買えるぐらいです。
皆さんでしたら、どちらを選びますか。
因みに私は同じ価格でしたら、8カラットサイズのD-Eカラー、VSクラスのエメラルドカットを選びます。





Basel Show 2008

ファンシーピンク ダイヤモンド
Basel show 2008 1.5カラットサイズ HS Fancy Intense P. Pink







素晴らしいファンシーピンクのダイヤモンドに出会いました。
1.5カラットサイズと大きくありませんが、何とも愛らしいピンクに一目ぼれです。
恐らく、タイプaで南アフリカかブラジル産のピンクと思われます。
彩度が高く、色むらもなく、何と言っても深さが浅いことが素材の良さを表しています。
殆どのファンシーカラーダイヤモンドは深さで色を濃く見せています。
このピンクダイヤモンドは約8×8ミリの場面に僅か約3.5ミリの深さしかありません。
エレガントなジュエリーに仕立てられることが約束されている姿かたちです。

GIAのカラーグレードはFancy Intense Purplish Pinkですが、私はこのグレードを当てにしません。
Intenseであろうが、Vividであろうが、一つ一つが異なる宝石では目安になる程度です。
Basel show 2008 Fancy Intense P. Pink 比較





事実、同じFancy Intense Purplish Pinkを二つ並べて見ると良く分かります。
小さいペアーシェイプはアーガイル鉱山産です。
少しブラウン味を感じます。
ブラウンの鉱山であるアーガイルの特徴です。
私は、間違いなくハートシェイプの方を選びます。
但し、大抵の場合は、ハートシェイプのピンクの方が価格も高いので同じ価格で買えるようなうまい話はありません。


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