ジュエリーコンシェルジュ原田信之

諏訪貿易が提供しているジュエリーの相続資産の査定・仲介のサイト「宝石ドットコム」の責任者:原田信之のブログ

2008年09月

5カラット ハートシェイプ ダイヤモンド

5ct ハートシェイプ ダイヤモンド ルース






昨年、お客様より5カラット、ハートシェイプのダイヤモンドをご注文頂きました。
大粒宝石の場合、本当に美しいものは僅かしかなく、出会いが必要です。
今回も満足できるものが見つかったのは今年の7月でした。
ハートシェイプは数あるファンシーシェイプの中で形の良いものが最も少ないので、納得の出来るものに出会うのに時間がかかります。

5カラット ハートシェイプ ダイヤモンド ルース 正面






これが、正面から見たルースの写真です。
縦横の比率が約1対1は、多くの方が好みます。
中には、横広がりの方が良いと言う方もいますが、そのような人にも許容できる範囲です。
縦長のものは、本来ハートシェイプとしては使わずに里芋の葉のような植物を模す時に使います。
左右のカーブは膨らみすぎず、真っ直ぐでもない自然な丸みがポイントです。
上部の切れ込みの度合いが、研磨工にとって最も難関です。
切れ込みが足りないとハートではなく栗の形のような形になり、反対に切れ込みが長いとウサギの耳のようで、どちらも格好が悪くなります。
このハートシェイプは切れ込みの度合いが程よいばかりでなく、ラウンドに近い丸みがあって理想的です。
キュレットの位置もほぼ中心にあり、クラウンとパビリオンのバランスが良いのでファセットが織り成すモザイク模様の濃淡の調和がとれて美しさを発揮しています。透明度も抜群に高く、無色のダイヤモンドを更に際立たせています。

次は、ジュエリーに仕立て上げた姿をご覧頂きます。


続 香港ショー

10ct UP Diamond





サブプラライムローンの破綻を発端とした金融不安と国際的な株式、商品の値下がりが、ここ数年高騰が続いた大粒のダイヤモンド価格に果たして反映されるのか否か、夏季休暇後で最初の国際的な取引の場ということもあり、香港ショーは関係者から注視されていました。
結果は、先行きが不透明なためバイヤーが買いを控えたので、殆ど販売が出来ずに終わりました。
10月前半にユダヤの新年があるので、中旬以降のアントワープ、ニューヨーク等のマーケット価格がどのレベルに落ち着くかを見守りたいと思います。


Tanzanian Ruby UTTanzanian Ruby HS UT







前々回のブログでも触れましたが、年初からマーケットに現れたタンザニア産、無処理のルビーが話題になっています。
若干オレンジ味がありますが、ビルマ産より透明度が高いのが特徴です。
シルクが殆どなく、カーブしたチューブインクルージョンがあるものが多く、産地鑑別は比較的容易です。
ビルマ産の3分の1から半分程度の価格で取引されています。
写真は、3カラットから7カラットサイズのジェムクオリティー、タンザニア産、無処理のルビーです。
クローズアップされたハートシェイプで色味をご確認ください。
写真からも透明度の高さとオレンジ味が感じられます。



香港ショー

Hong Kong show Grand Hall





9月17日(水)より21日(日)まで香港ジュエリー&ウォッチショーが香港コンベンションセンターで行われました。
別会場のアジアワールドエクスポを含めると2,500のブースと世界各国から38,000人以上が来場する、スイスのバーゼルショーに並ぶ宝石と時計の国際的なショーです。
来場者が多いのは、業者だけでなく消費者も入場が出来るからです。
もともとジュエリー好きな香港の人の興味は、ショーに来場することで更に高まります。
山口遼さんも主張しているように、日本のショーでも一般来場者を受け入れることが、消費者のジュエリーへの関心を高める効果をもたらすのではないでしょうか。
バーゼルショーも入場料はかかりますが、一般の方も入場出来ます。

Hong Kong Convention Centre


会場は、7つの大きなホールから構成されて、端から端まで歩くだけで10分程度かかります。
丹念に見ると5日間の会期でも十分ではありません。
Grand Hallと言う特別な会場を除いて、各ホールは大雑把に出展国別のグループに分けられています。
一番上の写真がGrand Hallの入り口です。
出展料が高いので、資金力がある大手の業者が出展の中心になり、高品質の商品が多く見られます。
特にスイスの業者と香港の業者のブースは見ごたえがあります。

Hong Kong show Beads





香港ホールのビーズコーナーです。
何本で幾らと言うより、キロ幾らの世界です。


次回は、香港ショーで気になったことをお伝えします。




キュービックではないの?

マーキスダイヤモンドペンダント




先日、小粒のマーキスシェイプのダイヤモンド10個を菊の花のようにセットしたプラチナのペンダントヘッドを査定でお預かりしました。
いつものように肉眼で美しさをチェックして、ルーペで詳細を確認したところ、ダイヤモンドのファセットエッジ(稜線)が満遍なく磨耗していました。

「何だ、キュービックジルコニアか」

ダイヤモンドは、非常に硬いため一部が磨耗したり欠けたりすることはあっても、このように全体が磨耗することは殆どありません。
輝きが似ている場合は、大抵が硬度が低いキュービックジルコニアです。

しかし、いつもなら拡大しなくても肉眼で見たときに輝きの違いで見当がつくはずなので、念のため更に細かくルーペで観察しました。

「インクルージョン(内包物)がある。」

しかも、ダイヤモンド特有のインクルージョンです。
ここから頭の中は「何故?」「何故?」「何故?」のオンパレードです。
もちろん、硬いとは言えダイヤモンドでもこのように磨耗することはあります。
しかし、このように重ねあっているセッティングで満遍なく磨り減ることは経験上ありえません。
特にぶつかる事が少ないペンダントは、尚更です。
この時点では、まだ納得がいかず、顕微鏡で更に拡大してみたり、普段は殆ど使わないダイヤモンドテスターにかけたりしました。
何れの結果もダイヤモンドの特徴を示していました。

「もしかしたら、ペンダントのメーカーのダイヤモンドの保管が悪く、たくさんのマーキスを一つの袋に入れて長いこと擦れ合っていた傷んだものを初めから使ったのかも知れない。」
「そうだ、それしかない!」
と思ったものの、やはり合点がいきません。
その日は、もやもやした気持ちのまま、ダイヤモンドのペンダントとして査定を終わらせました。

数日後、査定の結果を所有者にお知らせしたときに、思い切って尋ねてみました。

「このダイヤモンドのペンダントですが、・・・。」
「ダイヤモンドが少し傷んでいるようですが、お心当たりはありませんか」
と恐る恐る聴きました。


「ああ、そのペンダントは、もともとブレスレットで使っていたものをペンダントに作り替えたの。」
「使っているときにぶつかったのかもしれないわね。」
「いつも、もう1本のダイヤモンドのブレスレットと一緒につけていたわ。」

「えっ、一緒におつけになっていたのは、どんなダイヤモンドのブレスレットでしょうか。」

「テニスブレスよ。」

これで、全ての疑問が解決しました。
全周をダイヤモンドが取り巻いているダイヤモンド ライン ブレスレット(テニスブレス)のダイヤモンドとマーキスのダイヤモンドが擦れ合って、磨耗したことが分かりました。
恐らくペンダントのようにマーキスのブレスレットが動いたので、満遍なく当たったのでしょう。
リングの重ね付けでは、石同士がぶつかって、磨耗したり欠けたりすることは良くありますが、ブレスレットの重ねづけとは思いもしませんでした。
更にペンダントに作り替えられては、お手上げです。
正に推理小説の世界です。

皆さんも宝石同士がぶつかる様な重ねづけは避けるようにしましょう。

いつもながら、現場は勉強になります。






宝石の産地による格

Ruby UT 2ct size







宝石は、発見されて「流行」が起こって「習慣」になり「伝統」が出来ます。
「伝統」が出来るまでには、需要に見合ったある程度の産出が続くことが必要です。
毎年のように新しい産地の宝石が発見されますが、伝統になるような宝石になるまでは長い年月がかかります。

タンザニアで新しく発見されたルビーが話題になっていますが、価値が定まるまでには時間がかかります。
無処理で大粒のジェムクオリティの産出も報告されています。
全国宝石学協会さんやGRSの報告によるとインクルージョンやデータで産地の同定は可能なようなので、伝統あるビルマ産の無処理のルビーの価格に影響を与えることは当分の間無いでしょう。

このことは、マダガスカル産のサファイアの事例を考えれば分かりやすいと思います。
マダガスカル産サファイアは1980年代後半には産出が報告され1990年代から市場に出始めました。
驚くことにこの鉱山はビルマ産やカシミール産の特徴をもつ2つのタイプのサファイアを産出します。
中には、無処理のジェムクオリティのものも出回って、ビルマ産、カシミール産との鑑別が出来ず、当初業界は混乱しました。
しかしその後の研究によりほぼ産地を同定できるようになり、市場は静けさを取り戻しました。
現在、オークション等の還流市場では、無処理でジェムクオリティのサファイアの産地としては、カシミール、ビルマ、スリランカの順に人気があり、マダガスカルはまだ後塵を拝しています。
マダガスカル産のサファイアの中には、上位の産地に劣らない美しさをもったものもありますが、価格は届きません。
これが、産地の格です。

タンザニア産のルビーもマダガスカル産のサファイアと同じような位置づけでスタートすることと思います。




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