ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

2009年02月

ダイヤモンド スタッドピアス ペンダント

ダイヤモンド ペンダント+スタッドピアス







オートクチュール(カスタムメイド)のダイヤモンドのスタッドピアスとペンダントです。
ペンダントが1.5カラットサイズ、ピアスが1カラットサイズと言う贅沢なジュエリーです。
もちろんジェムクオリティーです。
注文主に合わせて作りますので、既製のジュエリーとは一線を画します。

どちらも、「肌の上にダイヤモンドだけが留まってるような」と言う構想でつくりました。
余分なものはそぎ落としています。
正に「マキシマムジェム、ミニマムメタル」です。

○ダイヤモンド スタッドピアス
1ct size ダイヤモンド スタッドピアス








ピアスは、お客様の耳の形とその耳がどの方向を向いているか、更に耳に開けた穴の位置も見てベゼルの形状を調整します。
ご注文いただいたお客様の耳は、頭に沿って綺麗に寝ている欧米人が憧れるタイプです。
このような耳の方には、出来るだけダイヤモンドが真っ直ぐ前に向くようにベゼル(石座)を内側に向くように作ります。
また、少し上を向かせることで自重で下を向く分も調整します。

ダイヤモンドスタッドピアス クローズアップ





結果、このように4本の爪の長さが異なるものが出来上がります。
左右で違う向きになるので、アッパーベゼル(石座)とローワーベゼル(耳なじみ)の間に小さな丸い目印をつけて左右が分かるようにしました。
目印がついている方が内側(顔側)です。

ダイヤモンド スタッドペンダント フェイスダウン






ぐるぐると回らないようにする為にポスト(針)は上部につけます。
名前の通りスタッド(鋲)のように見せるためには全体の高さを抑えなくてはなりません。
ギリギリまでダイヤモンドを低く留めるために、ダイヤモンドの先端(キュレット)が地金に当たらないように耳に当たる部分(ローワーベゼル)の真ん中を丸く抜きました。
ベゼル(石座)は安定するように絞込みを抑えています。
爪もごく小さくまとめて上品に仕上げています。


○ダイヤモンド ペンダント

1.5ct size ダイヤモンド ペンダント










ダイヤモンド ペンダント クローズアップ







このようなペンダントを作るときにチェーンを本体に直接つけるか、本体に通して動くようするか悩みます。
本体に通すと、ペンダント本体は真下に安定しやすくなる反面、気がつくとチェーンの金具が前に回ってきてペンダント本体にくっついている状態になることが良く見られます。
本体に直接つけた場合は、時間がたつと鎖骨の上のほうに本体が回ってしまいます。
どちらも一長一短があり、正解はありません。
今回は、本体が比較的大きいので、自重で下に留まりやすいこととお客様の好みを勘案して直接つける方法を選びました。
ひっくり返らないようにベゼル(石座)の絞込みを抑えています。


ダイヤモンドペンダント引き輪+PS環





チェーンは、耐久性を確保しながら、本体を引き立たせる細いケーブルチェーン(小豆)を採用しています。
お客様の体に合わせて、本体が最適な位置に収まるようにチェーンの長さを決めました。
調節環(写真右側の小さい輪)をつけ、地肌にもニットの上からでもバランスよくつけられるようにしました。
金具(写真左側の金具)も持ちやすく、引輪に通りやすいように少し大きめなペアーシェイプ形に作りました。
特性のプレートにはSUWA Pt950の刻印がされています。


自分の体にフィットするオートクチュールならではのジュエリーです。


プロの道具箱

2回目は、ピンセットです。
1回目のルーペは最も使用頻度が高く大事な道具ですが、性能そのものにそれ程こだわりがありませんでした。
しかし、ピンセットは別物です。
拘ったものを用途によって使い分けます。

そもそもピンセット(Pincet)はオランダ語で英語ではありません。
英語では、ツイーザー(tweezer)と言います。
初めてバイヤーとして海外出張するときに間違って使う英語の代表格です。
ピンセットと言っても英語では通用しませんので、ご注意を。
因みにルーペ(Lupe)はドイツ語で英語ではループ(Loupe)です。
これは、少し近いですね。
日本に入ってきたときの国の言葉で定着しているので、外来語は英語であるかどうか確認が必要です。

ピンセット3種



ピンセット3種先端





これが、私が主に使っている3本です。
奥から、大粒宝石用ピンセット、真ん中がチタン製ピンセット、手前がメレー用ピンセットです。
全てスイス製です。


大粒用ピンセット先端





大粒宝石用ピンセットの先端です。
金属はステンレスです。
特徴は、掴むところに溝が掘られて宝石を固定し易くなっています。
私の仕事は大粒が多いので、このピンセットを一番多く使います。
大粒用と言っても直系3ミリぐらいまでの宝石全般に使いますので、ほぼ万能です。
但し、本当に高額で大粒になるとペンセットは使いません。
落とすと大変なので、直接手で持ちます。


チタン製ピンセット先端





チタン製のピンセットの先端です。
ステンレスのものに比べると軽いのが特徴です。
チタン製はダイヤモンドに使うときは注意が必要です。
ダイヤモンドの稜線に当たると黒くなることがあります。
一度付くと、これが厄介です。
クロスやアルコールでは取れません。
薬品で煮ないと取れません。
私は、これをルビー、サファイア、エメラルドの3ミリ未満の小粒材料石に使っています。
ダイヤモンドに比べると、カラーストンはガードルの形状にバラツキがあって滑りやすく厄介です。
一般のピンセットの先端は格子状の溝が掘られていますが、このピンセットは磨りガラス状です。
カラーストンには、この形状が向いています。
それでも、気を抜くと弾いてしまいます。
1ミリ〜3ミリの宝石を飛ばしてしまうと探すのに時間を取られてしまいますので、出来るだけ気を抜かずに作業に集中します。



メレー用ピンセット先端





メレー用ピンセットの先端です。
ステンレス製です。
これは、私の宝物です。
主に3ミリ未満のダイヤモンドに使っています。
先端が尖っていて1ミリ未満まで掴むことが出来ます。
小粒になればなるほど弾き易くなります。
先端の微妙な凹凸が決め手になります。
この先端は、私がやすりをかけて調整しました。
幾つかのピンセットをやすりで調整しましたが、殆ど満足できませんでした。
これは、奇跡的に上手くいったものです。
もう15年以上使っていますが、代わりがありません。
ピンセットで宝石を掴むコツは、最低の力で掴むことです。
落とす寸前でちょうどです。
力の入れすぎは禁物です。
力を入れすぎると弾きやすいのと、弾いた宝石が何メートルも飛びますので悲劇的です。
新人を訓練する時に「時々真下に落とすぐらいがちょうどいい」と指導します。
端を輪ゴムで巻いているのは、先端部分の開き具合の調整のためです。
ダイヤモンドの大きさに合わせて先端の間隔を開いたり閉じたりします。
大きく開いていると力が入りすぎるため、掴むダイヤモンドより少し余裕がある程度に開いていると余分な力を入れずに掴めます。

買い付けに行くと1日10時間もピンセットを使うことがあります。
作業能率に大きく影響するので、宝石バイヤーにとってピンセットはもっとも大切な道具です。
但し、最近では先端が尖っている金属は飛行機の手荷物に入れることが出来ません。荷物が少ない時でも毎回チェックインしなくてはならない点に閉口しています。


プロの道具箱

プロの道具箱

私が日常使っている道具を何回かに渡ってご紹介します。

まず、毎日必ず使っているルーペをご紹介します。

ルーペ3種







基本的にはこの3つを所有しています。
全て10倍です。

下からRubin社のレンズの直径18ミリのもの。
これは、外出用です。
常にかばんの中に入れておきます。
諏訪貿易の社員の標準ルーペでもあります。

愛用のルーペ





真ん中(上の写真)は、同じくRubin社のレンズの直径21ミリのもの。
もう15年以上使っています。
私は人よりも手が大きいので、このサイズが一番手に馴染みます。
また、一度により広い視野を確保できるのも魅力です。
何度か新しいものもにトライしましたが、毎回このルーペに戻ってしまいます。
ルーペ性能よりも慣れだと思います。
ボロボロですが、世界中一緒に旅した相棒です。
これからも大事に使います。
ルーペの故障は、はと目部分のかしめが外れて壊れることが殆どです。
一般的には、この部分の修理は難しいようです。
メーカーさんの改良を期待します。

一番奥のルーペは、ルーペ界のポルシェTriplet Hawkです。
ポルシェデザインのようなお洒落なフォルムに高性能なレンズを搭載しています。
残念ながら、あまり使っていません。
新しいポルシェより中古のセダンの方があっているようです。
このルーペのことは、以前のブログに詳細を載せていますので、興味のある方はご覧下さい。
ルーペのポルシェ

その他にLED付きルーペ等の変り種もあります。
LED付きルーペ

かつては、20倍のルーペも持っていましたが、焦点距離が短く使い物になりませんでした。
ダイヤモンドのVVSが見えることに拘っている方は、一流レンズメーカーのものなどの高性能なルーペが必要でしょうが、私にとってルーペは手に馴染んだものが一番です。

美しさは一般の方と同じように肉眼で判断します。
ルーペは、プロが肉眼で見えない不完全性が「特徴」なのか「欠点」なのかを見極めるために用います。
その判断だけなら、むしろ10倍も要らないぐらいです。

宝石を見るときは、まず肉眼で美しさを確認してください。
ルーペを使うと専門家らしく見えますが、初めからルーペで覗くのはプロではありません。






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