ジュエリーコンシェルジュ原田信之

諏訪貿易が提供しているジュエリーの相続資産の査定・仲介のサイト「宝石ドットコム」の責任者:原田信之のブログ

2009年03月

ダイヤモンドのサイズと価格

ファンシーシェイプのロット(ケース入り)





前回は、メレーダイヤモンドの範囲について書きましたが、今回はダイヤモンドのサイズと価格の区分についてご説明します。

殆どの宝石は、大きくなればなる程価格も高くなります。
全体の価格も高くなりますが、1カラットあたりの単価も原則として高くなります。
その括りは、時代によって変わってきます。

ここでサイズの括りを20年前と現在とで比較してみたいと思います。
各国で括りや呼び名は異なりますが、小さいサイズはムンバイ、中粒以上はアントワープでの取引を基本としています。
記憶違いがありましたら、ご容赦下さい。
右はロットの名称(-6.5等はシーブサイズ)


<20年前>

0.02ct以下   -6.5 or Star size
0.03〜0.06ct  -11 or Melee size
0.07〜0.17ct  1/10-1/6
0.18〜0.27ct  1/5-1/4
0.28〜0.37ct  1/3
0.38〜0.47ct   3/8
0.48〜0.69ct   1/2
0.70〜0.98ct   3/4
0.99〜1.99ct   4/4
以上1カラット刻み


<現在>

0.008ct以下    -2
0.009〜0.02ct   -6.5
0.03〜0.07ct   -11.5
0.08〜0.12ct   1/10
0.13〜0.17ct   1/6
0.18〜0.22ct   1/5
0.23〜0.29ct   1/4
0.30〜0.39ct   1/3
0.40〜0.49ct   3/8
0.50〜0.69ct   1/2
0.70〜0.99ct   3/4
1.00〜1.49ct   4/4
1.50〜1.99ct   6/4
2.00〜2.99ct
以上1カラット刻み

20年前と現在を比較すると区分が細分化しているのが分かります。
本来、1カラット以上にのみ使われていたグレーディングレポート(4C)が小さいサイズにまで使われたことが大きな要因です。

同じサイズ区分のダイヤモンドは単価が一緒です。
察しの良い方はもうお分かりだと思いますが、同じ区分の一番大きなサイズがお買い得と言う事です。
例えば、0.70ctと0.99ctでは同程度の品質の場合、1カラット当たりの単価は変わらないので、0.99ctは1.00ctとほぼ同じ見栄えで1.00ctサイズより単価が安く相当なお買い得と言う事ができます。
残念ながら大粒になればなるほど、サイズ区分の上限のものは少なくなります。
近年、原石段階からコンピューターでかなり正確に研磨上がりがシュミレーション可能になり、研磨業者も出来るだけ上のサイズに研磨するので、なお更出会う機会が少なくなりました。
但し、0.70カラットサイズ未満の場合は、原石の供給量も多いので、サイズ区分の上限のものも多く存在します。

20年前は1.50カラットサイズは1.00カラットサイズに含まれていましたが、人気が定着したため独立して取引されるようになりました。
現在は2.50カラットサイズが人気です。
既に、市場では10%程度のプレミアムがついて取引されています。
人気が続いたら、独立したサイズ区分になるかも知れません。

もともと1.50カラットサイズや2.50カラットサイズのような中間サイズは、その一つ上のサイズの見た目に近くなります。
1.50カラットサイズは1.00サイズではなく2.00カラットサイズに、2.50カラットサイズは2.00カラットサイズではなく3.00カラットサイズに近いと言う具合です。
もし、1.30カラットとか2.70カラット等の中途半端に思えるサイズで美しいものに出会えたら幸運です。
大きく見えるだけでなく、カットやプロポーションが良い可能性が高くなります。
なぜなら、1.00とか2.00カラットのようにサイズ区分の下限のものは、どこか無理をしてギリギリそのサイズに仕上げている可能性が高いからです。
もちろん、下限で良いものも存在します。

今回は、サイズ区分から見た選び方をご紹介しました。
皆さんがご予算の範囲内でより大粒で美しいダイヤモンドを購入されることを願って止みません。









メレーダイヤモンド

メレーダイヤモンド





ジュエリーの説明で「メレーダイヤモンド」と言う言葉がよく登場します。
もともとmelee (メレー)とはフランス語で「大混雑」「雑踏」「ごった返し」と言う意味ですが、英語のdiamond(ダイヤモンド)と合成されて「小粒ダイヤモンド」の意味で使われています。

宝飾業界の方や弊社の社員からもよく「メレーダイヤモンド」の大きさの範囲について質問を受けますので、簡単にご説明します。

メレーダイヤモンドは、広義では0.3カラットサイズ未満、但し多くのプロが感覚的に使っているのは0.08カラットサイズ未満となります。

0.3カラット未満というのは、0.3カラット以上1カラット未満を「ポインター」と呼び、別に扱っているからです。
かつて0.3カラットサイズのロットは0.28カラット以上であったために0.27カラット以下と定義している方もいますが、現在、ロットは0.3カラット以上です。

では、裸石を扱っているプロも0.3カラット未満をすべてをメレーダイヤモンドと呼んでいるのでしょうか。
答えは、「No」です。
実際は、何分の一と言うサイズで表現します。

1/100 (0.01ct)
1/70 (0.015ct)
1/50 (0.02ct)
1/40 (0.025ct)
1/30 (0.03ct)
1/25 (0.04ct)
1/20 (0.05ct)
1/10 (0.10ct)
1/6 (0.15ct)
1/5 (0.02ct)
1/4 (0.025ct)

代表的なものは以上のような表現になります。
カッコの中は平均石目方です。

プロの間で「メレー」という言葉が全く使われないのかと言うと、そうでもありません。
業界の習慣では多くの方がメレーと表現するのは、0.08カラット(直径2.8ミリ)未満のものです。
これは、インドの取引でこのサイズを「メレーサイズ」と呼んでいることから来ています。
例えば、「メレーの1/30」とか「メレーの1/20」と言うように使います。
更にインドに買い付けに行っているバイヤーは、1/50(0.02ct)以下は「スターサイズ Star size」と分けて使います。
何れにしても大きなサイズ区分なので、「メレーサイズ」「スターサイズ」と言う表現を単独で使うのは、プロ同士の相場での会話に限定されます。
ムンバイ、アントワープ、テルアビブ等の取引では、業界の使っている篩い(ふるい:Sieveシーブと呼ばれている)の番号で表現されます。

シーブセット





これが、シーブです。
金属の輪に異なった大きさの穴が開いたプレートをセットし、ダイヤモンドを入れて篩います。
プレートに番号がついていて、以下のような表現で取引されます。
+7-8(プラス7、マイナス8)8番のプレートで落ちて7番のプレートで残ると言う意味。
一人前のバイヤーは、プレートの番号とその穴のサイズ、平均石目方は殆ど記憶しています。






100年前の階段

ドイツのホテルの階段





これは、ドイツ フランクフルト郊外にあるホテルの階段です。
このあたりには、第2次大戦の戦火を免れて100年以上の古い建物がたくさん残っています。
このホテルもその一つです。
よく見ると、手前にはかなり以前に補修された跡があり、真ん中にも最近補修された箇所があります。
十分な厚みのある木材で作られた階段も、100年の間には傷みます。

ドイツのホテルの階段逆アングル





逆の角度から見ると、小さな節が落ちたところも丸く補修されているのが分かります。
器用に接ぎを当てるものです。
日本の場合は、丸ごと交換するか作り替えてしまうのではないでしょうか。
継ぎはぎで見栄えは良くありませんが、物を大切に使い続けるヨーロッパの堅実さを感じます。
建物は設計がしっかりしていると長く使うことが出来ます。
同様に、ジュエリーも構想が良いと、100年経っても十分に使うことが出来ます。

昨今、ジュエリー業界では作り替えビジネスが盛んです。
しかし、良い構想のもとで作られたジュエリーは、時代を超えて愛されるものです。

私がプロデュースしたジュエリーを100年後の誰かが身に着けている・・・そんな未来を目標に、これからも宝石の装身具を作り続けていきたいと思います。



ダイヤモンドの相場と小売価格

10ct size MQ







世界同時不況の最中、ダイヤモンドのマーケットも他の産業と同様に在庫調整が続いています。
最大の消費国である米国からの需要がピタッと止まったことから、昨年の11月からマーケットは機能停止状態に陥っています。

インドでは例年、ディワリ(インド暦の正月。)の時期に、1週間から2週間、工場の操業を停止します。
昨年は11月に休暇に入りましたが、年が明けても生産を再開しないところが多く、現在も工場の稼働は限られたものとなっています。

量では圧倒的な生産規模を誇っているインドの研磨産業がこの有様ですので、中国、バンコク、アントワープ、イスラエル等の他の研磨地も推して知るべしです。
ダイヤモンド原石は投機もあって、研磨済みの価格以上に上がったため、他の商品相場同様に年末までには急落しました。
特に大粒のダイヤモンド原石の中にはピークの半値になったものもあります。

では、大粒研磨済み価格は同様に下がったのでしょうか。
答えは、“Yes”であり“No”でもあります。
資金繰りに困窮した業者の中には、投売りをするところが出ています。
しかし、多くの業者は依然強い価格を維持しています。
バイヤーにとっては、欲しいものを探すと決して安く買えないが、必要でないものに限って極端に安い商品があると言うアンバランスな状態です。
特に素材、姿かたちが良いファンシーシェイプは商品自体が少なく、探すのが困難です。
何れ研磨済み価格は、需給の見合うところに収斂していきます。
大粒の研磨済みもある程度の値下がりは避けられません。
これは、ドル建ての国際相場の話です。

では、日本での大粒ダイヤモンドの小売価格はどうなっているのでしょうか。
値下がっているかと言えば“No”です。
では、世界的に割高かと言えば、それも“No”です。
日本では、不況が続いていたために相場が急騰した過去2、3年の間も仕入れを控えていたお店が殆どで、店頭在庫も値上がり前の値段から改定していないお店が少なくないからです。
そのため、ここ数年は日本から海外に大粒ダイヤが流失しました。
品質はお店によって様々ですが、世界的に見ると大粒ダイヤモンドの値段は日本の方が安かった時期だったと言えます。
これからは世界の相場が下がることで日本との価格差が少なくなる局面になるでしょう。

相場に加えて小売価格の重要な要素は為替です。
昨秋からの円高は、ドル建てで相場が立つダイヤモンドの仕入れには有利です。
但し、流通のどの段階でも過去の在庫がありますので、本来は急激な価格調整はできません。
一定期間後に段階的に調整するのが一般的です。
消費者の方が円高を享受するには、ドル圏(ペッグ制も含む)で買い物するのが一番の早道です。
日本のティファニーさんが昨年から合計で15%も値下げを行ったのも、本国との為替による内外価格差を是正するためです。
但し、海外で買い物をして円高は享受できても、商品が価値に見合った価格かどうかは別の話です。





Historic Ring

スカラベリング







「宝石3」にも掲載されていて、以前より見たいと思っていた橋本コレクションのスカラベリングを、先日、手にとって見ることが出来ました。
このリングはおよそ3,800年前に作られ、副葬品としてピラミッドの棺に納められていました。
scarabée(スカラベ)とは、コガネムシ(フンコロガシ)のことです。「生まれ出てくる」「創られる」等の意味に解釈され、「再生」のシンボルとしてミイラの指につけられたと考えられています。

リングを見て最初の一言は、「大きい!」。
想像していたよりも、かなり大きいことに驚きました。
皆さんに分かりやすいように、実際に私の手に着けてみました。
手につけたスカラベリング






私の中指は19番なのですが、まだかなり余裕があります。
橋本さんによるとこのリングは23番とのこと。楕円なのでもう少し大きいかも知れません。
そばで見ていた方から「ミイラの呪いがある」と脅かされましたが、時既に遅く、指にはめた後でした。思わず「仏教徒だから大丈夫」と訳の分からぬ反応をしてしまいました。



スカラベリングクローズアップスカラベリング上からクローズアップ





クローズアップすると表面が磨耗しているのが分かります。
これは使われて傷んだのではなく、気の遠くなるような長い間に、埃に含まれている石英粉が作用した結果と考えられます。

それにしても、何と美しいのアメジストでしょう。
グレー味がない明るい紫に昔の人もさぞかし感動したことでしょう。


スカラベリング横からスカラベリング裏側







スカラベリングサイド


角度を変えると色むらがあるのも自然の証です。
装身具として作られたものではないのですが、不思議な事に指に着けると色むらはなくなります。








スカラベリング裏側クローズアップ





拡大してみると、内部に穴を開けて金線を通しているのが分かります。
中心の部分で若干すれ違っている部分があることから、左右それぞれから開けていったと思われます。
その当時はダイヤモンドパウダーなど存在しないので、作業は砂とキリを使って少しずつ何ヶ月も要したはずです。

何千年も昔のジュエリーを、この手にとって見ることが出来た幸運な瞬間でした。





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