英国のダイヤモンド鉱山会社のPetra Diamonds(ペトラ・ダイヤモンズ)が今月の21日にDe Beers(デビアス)から南アフリカで2番目に大きいダイヤモンド鉱山 Finsch を取得したと発表しました。
2007年にも同じくDe Beersから歴史的に有名な南アフリカの鉱山Cullinan(カリナン)を得ています。
相次ぐ鉱山の売却。
De Beersに何が起きているのでしょう。
De Beersと聞いてダイヤモンドの原石の独占企業をイメージする方は情報を更新しなくてはなりません。
1990年代にDe Beersを取り巻く環境は大きく変わりました。
1.他の資源メジャーとの競合
Argyle鉱山や後のカナダのDiavic鉱山を抱えるRio Tintoのカルテルからの脱退と競合。
BHPの所有するカナダのEkati鉱山の本格稼動。
2.傘下を離れた国(政府)
表面的には長い間大量の原石をDe Beersに供給していたロシアの本格的な離脱。
アンゴラ産原石の獲得失敗。
3.アフリカ諸国のナショナリズム
産出国に主導権を奪われる。
4.独禁法
欧州や米国の独禁法によって活動に制限が加わった。
上記のような変化がDe Beersのビジネスモデルを大きく変えました。
原石価格の制御の放棄、それに伴う調節用の在庫を無くしました。
ボツワナ、南アフリカ、ナミビア、カナダの自社の管理下の鉱山から産出する原石だけを扱う鉱山会社の一つになりました。
結果、かつて原石供給の8割近くを誇っていた占有率も4割前後まで下がりました。
広告、販促も自社の原石から作られたジュエリー限定になり、かつてのようなダイヤモンド産業全体に益するものは姿を消しました。
また、財務体質の強化から寿命の迫った鉱山の売却を行うことにしました。
その結果が、Petra Diamondsに売却したCullinanとFinschです。
歴史的なダイヤモンド原石の高値から売却されたCullinanは現在利益を上げていますが、ピークを過ぎた鉱山の今後の採算は不透明です。
De Beersの親会社のAnglo AmericaはDe Beersの40%の株を持つ創業家Oppenheimerより買取を提案していますが売却の意思は無いようすです。
独占から寡占へ、プレイヤーが多くなりましたが最大の占有率を維持しているDe Beersは大きな存在であることに変わりはありません。