ジュエリーコンシェルジュ原田信之

諏訪貿易が提供しているジュエリーの相続資産の査定・仲介のサイト「宝石ドットコム」の責任者:原田信之のブログ

2011年08月

続ガラパゴス化

Oval three stones Ring

前回、ソリテールリングのガラパゴス化について書きましたが、思いのほか反応が大きかったので今回は別のガラパゴス化を紹介します。

それはルビー、サファイア、エメラルド等に代表されるプレシャスストンのメインストンリングです。
メインストンリングとは中心に大粒の宝石をセットするスタイルで、宝石店でもお馴染みのリングです。
日本では1カラットサイズのプレシャスストンを中心にセットして回りをテーパーバケットやメレーダイヤモンドで取り巻いて豪華に仕立てたリングがあります。
中には百万円を越える高額なものもあります。

これらのリングを売却をしようと国際的なオークションに査定を依頼した場合、殆どが断られるこになります。
結構な価格で購入したのに査定すらされずに出品を断られるのは大変ショックです。

何故でしょう。
実は欧米でメインストンとして用いられるのは3カラット以上が殆どです。
品質のいかんを問わず1カラットサイズはメインストンとしては小さすぎるのです。
もちろん日本国内には需要がありますので、評価はともかく国内のオークションに出品することは可能です。

では、このサイズの宝石はジュエリーに仕立てられないのでしょうか。

そんなことはありません。
1カラットサイズのプレシャスストンを生かした使い方は、同じか少し小さいサイズの宝石と組み合わせます。
例えばグラデーションしたダイヤモンドを両脇に配したスリーストンリングやファイブストンリングは伝統的なスタイルです。
たくさん連ねてネックレスにすることも出来ます。

それぞれの宝石のサイズに合ったジュエリーのスタイルがあります。
スタイルに合ったジュエリーを選ぶことで国際的に通用するばかりでなく世代を超えて受け継ぐことも可能になります。


THE GRAFF PINK

THE GRAFF PINK RING

このピンクダイヤモンドを見てピンときた方は記憶力の良い方です。

そうです。
昨年の11月16日、ジュネーブで行われたSotheby'sオークションにおいて記録的な金額でLaurence Graff氏が落札したピンクダイヤモンドです。

24.78cts Fancy Intense Pink VVS2 Type2a
落札価格:CHF45,442,500(当時のレートで換算 $46,158,674 約38億円)
1カラット当たり(当時のレートで換算):$1,862,739(で約1億5,500万円)
AUCTION RESULT

落札後、Graff氏は美しさと稀少性向上のため再研磨を施しました。
Pink Polishing

Pink Polishing Close-up

結果は驚きのものでした。
23.88cts Fancy Vivid Pink Internally Flawless

もともと10カラットを越える大粒のTypeaはInternally FlawlessやFlawlessが珍しくありません。
ほぼ純粋な炭素の結晶では大粒で無傷なものの割合が多くなるのは感覚的に理解できます。
このピンクも元々Internally Flawlessで使っているうちに表面ににキズがついてVVS2になったと思われます。
発表によると25箇所のBlemish(表面キズ)を取ったそうです。

再研磨してInternally Flawless になったことに驚いたのではありません。

驚きは、Fancy Intense PinkがFancy Vivid Pinkになったことです。
それも僅か0.9カラット削っただけで成し遂げたことは魔法のようです。
プロはFancy PinkからFancy Intese Pinkのように色が濃く見える研磨を施すことがあります。
素材そのものが濃くなるわけではなく、カラーストンのカットのようにガードルの下にバルジ(溜め)を作ったり、パビリオンに細かいファセットを追加してモザイク模様を細かくして濃さを演出します。
ちょうどプリンセスカットのようなモザイク模様です。

Fancy Intense PinkとFancy Vivid Pinkの濃さは同じです。
違いは彩度です。
文字通りFancy Vivid Pinkは彩度の高いIntense Pinkです。
再研磨により稀に彩度が上がることはありますが、このサイズのピンクでIntenseからVividになるかどうかはギャンブルそのものです。
破格の落札価格から考えるとGRAFF氏は最初からFancy Vivid Pink Internally Flawlessに仕上げることを念頭に落札したとしか思えません。
そして、その勝負に勝ったのです。

このピンクダイヤモンドは出品者の家族が60年前にHarry Winstonから購入したそうです。
“King of Diamond”と称された創業者Harry Winston氏が他界してから30余年が経ちます。
21世紀の“King of Diamond”との呼び声の高いGRAFF氏はこのダイヤモンドを手にすることでその地位を確かなものとしました。

Pink in Graff's hand
GRAFF氏の手中にあるTHE GRAFF PINK

資料、写真:GRAFFITI (GRAFF DIAMOND)

オーバルスリーストンリング

Oval-shape Three stone Ring

宝石ドットコムの逸品シリーズ更新しました。

3つの石の連鎖効果で輝きが倍増する。
こちらは美しい輪郭をしたオーバルシェイプのダイヤモンドを3つ使ったリングです。これは「オーバルスリーストーンリング」といってとてもベーシックなデザインで、世界の名だたるブランドも必ずラインナップに入れる定番です。そのためブランドの特徴を出すのが難しいスタイルとも言えます。
オーバルシェイプダイヤモンドの美しさのカナメは、何といっても輪郭です。横幅が太すぎるともったりしてしまうし、細すぎると貧弱になります。この3つの石は尖端がわずかにとがった美しい輪郭をしています。ダイヤモンドの特性として、連なると輝きを増すというメリットをもっています。たとえば、0.5カラットサイズのラウンドダイヤモンド3つを間隔をあけて並べるよりも、重なるぐらいに詰めて3つ並べると比較にならないほど大きな輝きになります。小粒のメレダイヤの場合はパヴェセッティングに代表されるように更にたくさん敷き詰めて、大きな輝きを出しています。
「オーバルスリーストーンリング」は、3つのダイヤモンドを連ねて、連鎖で大きな輝きを出そうというコンセプトです。わたしもぜひ仕立てたいと永年思っていましたが、実際にイメージが固まったのはアントワープでこのオーバルシェイプダイヤモンドと出会ってから・・・

続きは本編で。
宝石ドットコム「逸品」コーナー



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