C環とO環

イエローゴールドとプラチナのチェーンの拡大写真です。
良くご覧ください。
貴金属の種類や細かな傷み以外に決定的な違いがあります。

業界の方はもうお分かりですね。
そうです。
チェーンとプレートを繋いでいる丸い環が、イエローゴールドの方は一箇所が僅かに間が開いています。
プラチナの方はロウ付けがされて間が塞がっています。

業界では開いているものをアルファベットの“C”のようなので「C環」、塞がっているものを「O環」と呼んでいます。
ジュエリーの多くのチェーンは「C環」タイプです。
なぜわざわざ開けているかと言うと、強い力で引っ張られた時に首を絞めずに外れるようにするためです。
「安全」のためだったのです。

但し、この「安全」の仕組みは危険な状態でなくても外れることが多く修理に持ち込まれます。
場合によっては、知らない間に外れてチェーンのみならずペンダントヘッドもなくなる悲劇的な結末をもたらすこともあります。

私のところでは、そのような事故が起きないように全てのチェーンの環をロウ付けしています。
もっとも、線径が0.28ミリの細いチェーンを基本的に使用し、ある程度の力が加わればチェーン自体が切れることを前提としたうえで、外れない「安心」を優先しています。
もちろん強い力が加わっても切れないような太さのチェーンの場合は「安全」を優先します。
状況に応じて判断します。