ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

2012年08月

モザンビーク産ルビー(無処理)

Mozanbique Ruby Untreated

先日、モザンビーク産の無処理のルビーを久しぶりに見ました。

2009年 春にモザンビーク産のルビーは市場に現れ、当初より高品質のものもありましたが、殆どが低品質でした。後に、これを鉛ガラス充填処理した大粒のものが安価に出回りました。
現在、5カラットを越えるような大粒で一見品質が良さそうに見えるルビーの十中八九はモザンビーク産の鉛ガラス充填処理ルビーです。
処理の有無はプロならばルーペで簡単に確認出来ますのでご安心ください。
但し、もともと宝石品質ではないため宝石としての価値は殆どありません。ご注意願います。
一般的にルビーは、歩留まりを重視しどちらかと言うと深いものが多いのですが、モザンビーク産は原石の形からフラットなものが多いのが特徴です。
Mozanbique Ruby Rough

モザンビーク産ルビー原石 (photo: GIA Bangkok)

一番上のルビーは1カラットから2カラットサイズのジェムクオリティのモザンビーク産無処理ルビーです。
アフリカの新しい産地としてはタンザニア産ルビーにも無処理がありますが、タンザニア産のようなオレンジ味がなくビルマ産のいわゆるピジョンブラッドに近いものを感じます。
タンザニア産同様に透明度も高く、魅力的です。
さすがに3カラットを超えると出現率が低くなり価格もそれなりですが、まだこのサイズは割安感があります。
産地の格は短期的には上がりませんが、ポテンシャルを感じる産地です。
ダイヤモンドは言うに及ばず、カラーストンも21世紀はアフリカの時代になりそうです。


40年前のカタログ

The Tiffany Blue Book 1972-1973

1972‐1973年のティファニーさんのカタログです。
「ブルーブック」(The Tiffany Blue Book)の名前で有名なカタログで、これは約40年前のものです。
保存状態が悪く表紙はボロボロになっていますが、中は当時のままです。

ティファニーセッティングで有名なダイヤモンドソリテールリング(立爪リング)やメインストンリングに始まりデザイナーのものまで充実した品揃えに驚かされます。
多くがGemstone oriented jewelry(宝石を主体としたジュエリー)で構成されていますので、現在でもそのままで十分通用するものばかりです。

一例としてバンドリングのページをご覧ください。
The Tiffany Blue Book 1972-1973 Band Ring

バンドリングとはバンド(ベルト)のように指にフィットして飛び出した部分がない日常使いに適したスタイルのリングです。
多少時代を感じるのは多分に印刷技術の違いです。
これらを見ると若干の仕様の相違はありますが、今でも販売しているものがたくさんあります。
宝石を並べただけなので流行に左右されません。
小粒の宝石を集めて輝きを連鎖させるスタイルのバンドリングはこれからも存在し続けるでしょう。
古いカタログを見るとジュエリーのあるべき姿が分かります。

カタログには当時の価格が印刷されています。
1972年の為替レートは308円(固定相場)、当時の初任給が約4万7千円、現在は約80円と約20万円です。
大雑把に物価も円の力も現在の4分の1です。
1972年までは宝石には20%の物品税(luxury tax)が課税されていたのを忘れてはなりません。
(1973年からは15%に引き下げられ消費税の導入に伴い廃止された)
現在の商品の価格と比較してみるのも良いでしょう。


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