ジュエリーコンシェルジュ原田信之

諏訪貿易が提供しているジュエリーの相続資産の査定・仲介のサイト「宝石ドットコム」の責任者:原田信之のブログ

2012年11月

Typeb

8ct EM D VVS2 Typeb

12月8日(火)のシンワアートオークションさんにダイヤモンドTypebが出品されます。
Typebと聞くとプロの方はブルーダイヤモンドを連想されると思いますが、現物は無色のDカラーです。
殆どのダイヤモンドは微量の窒素を含んでおり、窒素量が多くなればなるほど黄色味が増します。
中には窒素を殆ど含んでいないものも僅かに存在します。
純粋な炭素の結晶に限りなく近いものです。
窒素を含むものをType儀拭∨悗百泙泙覆い發里Type況燭吠けています。
Type兇魯瀬ぅ筌皀鵐描澗里3パーセント未満と言われているほど稀少です。
更にType況燭廊aとbに分けられています。
bは微量のボロン(ホウ素)を含み青色の要因となります。
いわゆるブルーダイヤモンドです。
bはType況燭量0.01%とも言われるぐらい大変出現率の低い稀少なダイヤモンドです。
一般的にダイヤモンドは絶縁体ですが、不思議なことにTypebだけは半導体です。
Typeb と判定されるにはボロン(ホウ素)が検出されることと導電テストをして半導体であることが必要です。

今回のダイヤモンドの特徴は8カラットと言う大粒で透明度が非常に高いことをです。
窒素が入っていないということで黄色味が無いことに加えて微量のボロンが肉眼で感じない程度のブルー味を与えています。
厚い氷河がブルー味を帯びるとより冷たく感じるように、ほんの僅かなブルー味がダイヤモンドに冷たいほどの透明度を与えています。
一般的なDカラーと並べて比較してみました。
煌きに邪魔されないように横にして透明度を比べます。
Dカラー 比較 Typeb vs Type
左側のラウンドが一般的なDカラー、右がTpyebです。
ポケットカメラでの撮影なので分かりづらいのですが、良く見ると右側が青白く透明度が高いのが分かります。
実際に肉眼で見ると一般的なDカラーが黄色く見えるほど違いがあります。
パソコンのモニターによっては違いが分からない場合があります。
「百聞は一見にしかず」この機会にオークションの下見会で体験されては如何でしょうか。


シンワアートオークション
開催日時:2012年12月 8日(土) 14:00〜
開催場所:シンワアートミュージアム
下見会:シンワアートミュージアム
12月5日(水)〜12月7日(金) 10:00〜18:00
12月8日(土)  10:00〜12:00

○詳細情報アイテム:ダイヤモンドルース
シェイプ:オクタゴンシェイプ
カット:ステップカット
カラット:8.00cts
サイズ:13.05×10.52×7.11mm
カラー:D
クラリティ:VVS2
蛍光:なし
タイプ:Typeb
レポート:AGT
見積価格:¥30,000,000〜¥40,000,000

2カラットのラウンドブリリアントと比較してみました。
大きさを実感してください。8ct EM D VVS2 Typeb 2ct RBとの大きさの比較


AGT Diamond Type Report8ct EM D VVS2 Typeb AGT report



GOLCONDA DIAMOND

ダイヤモンドは2,500〜3.000年前にインドで発見されたと言われています。
ボルネオからの僅かな産出を除いて1725年にブラジルでダイヤモンドが発見されるまでインドが唯一の産地でした。
現在のハイデラバード(Hyderabad)近く、ゴーダヴァリー川とクリシュナ川に挟まれたデカン高原の広大な地域の漂砂鉱床から採掘されました。
周辺にはたくさんの鉱山があり、一番有名な鉱山はクリシュナ川沿いのThe Kollur mineで有名なKohinoor(コイヌール)が採掘されたと言われています。
この地域を治めていたゴルコンダ王国(1518‐1687)は後にムガール帝国に吸収されるまでインドで隆盛を誇った王国でした。
その首都GOLCONDAには周辺の鉱山で産出したダイヤモンドが集まり盛んに取引がされました。
GOLCONDAとは鉱山ではなく集荷地の名前だったのです。

さて、このことから鉱山があった場所を探してみましょう。
まず、ゴーダヴァリー川とクリシュナ川の位置を確認します。
Indiarivers
•Wikipedia英語版:Geography_of_India

ここに1744年に作られたインドの地図があります。(諏訪貿易蔵)
A Map of INDIA 1744

右上にKINGDOM OF GOLCONDAがあります。
上の現在の河川地図を頼りにゴーダヴァリー川(Godavari)とクリシュナ川(Krishna)を探すと、ありました。
まさにKINGDOM OF GOLCONDAとKINGDOM OF KARNATAの国境沿いをクリシュナ川、その北方にゴーダヴァリー川がありベンガル湾に流れています。
この間の地域に鉱山があったのです。
更に目を凝らして見ると、ありました。
A Map of Golconda 1744

クリシュナ川沿いに"DIAMOND MINES OF COULOUR"とあります。
現在の名前との比較は出来ませんが、確かにDIAMOND MINESとあります。(赤の矢印)
複数形なので幾つか存在していたのでしょう。
河川の上流にはダイヤモンドが地中からマグマによって運ばれてきた一次鉱床があったはずです。
古い地図から幻のゴルコンダを辿ってみました。


The Archduke Joseph Diamond

The Archduke Joseph Diamod 76.02cts D IF Typea Golconda

11月13日スイスのジュネーブでChristie'sのオークションが行われました。
結果
総額(手数料込み):SFr80,615,930 ($85,049,810)(約68億円)
落札率:83.9%(ロット数)
ヨーロッパの信用不安は現物資産である宝石には影響が無いばかりか、結果を見ると「買い」に働いているようです。
その中で注目は76カラットのThe Archduke Joseph Diamondでした。
結果はカラーレスダイヤモンドの最高金額、カラーレスゴルコンダダイヤモンドの最高金額、カラーレスダイヤモンドの1カラット当たりの最高金額と3つのオークション記録を残すことになり期待を超えるものとなりました。

Shape: Cushion-shape
Cut: Modified Brilliant-cut
Carat: 76.02cts
Size: 28.59×21.20×15.06mm
Color: D
Clarity: Internally Flawless
Polish: Very Good
Symmetry: Good
Fluorecence: None
Type: Typea
Appendix:
Evoke references to the historic term of "Golconda".(Gubelin)
Associated with diamonds from the legendary region of Golconda in India.(GIA)
見積価格:on Request(要問合せ)
落札価格:Sfr.20,355,000 ($21,474,525)(約17億円)

The Archduke Joseph Diamondは最初の所有者であるハプスブルグ家のプリンスArchduke Joseph August(1872-1962)に因んで命名されました。
その後彼の子息によって欧州の銀行家に売却され第二次大戦中は世に出ませんでした。
1961年6月にロンドンのオークションにかけられ、当時英国のオークションで競られた最も大きく最も品質の良いダイヤモンドとして記録されています。
再び現れたのは1993年11月のChristie's Genevaのオークションでした。
落札価格は$6,487,945で、貨幣価値を無視しすると20年足らずで3.3倍になったことになります。
当時の石目方は78.54ctsだったので2.5カラット程研磨しなおしてリフレッシュされました。

このダイヤモンドはオークションの世界で言うprovenance(由来)がしっかりしているものなのでインドのGoloconda産であることに異論がないとされています。
GIAのAppendixでは明確にGolcondaと記されています。
ラボのレポートでGolocondaと限定するのは大変稀なことです。
ゴルコンダダイヤモンドについては次回のブログで詳しく説明します。

Christie'sがダイヤモンドについてと実際のオークションの動画をアップしているのでご覧ください。(英語)
とくに実際の競りでSfr8,000,000(約7億円)から始まっているのは、なかなか見ることが出来ません。
一声でSfr100,000(約900万円)も上がる場面はビットしている人の鼓動が聞こえるようです。

Gallery Talk: The Archduke Joseph Diamond

In The Saleroom: The Archduke Joseph Diamond




The World Of GRAFF

GRAFA Star of America 110cts

11月7日より13日まで、GRAFFさんの伊勢丹新宿本店サロンオープン記念として普段お目にかかれないハイジュエリーが伊勢丹新宿本店1階ザ・ステージにて展示されました。
ショーピースは世界最大(100.57cts)のDカラー、フローレスでオクタゴンシェイプのStara Of Americaです。
その迫力は見た者が暫し見とれて立ちすくむ程です。
吸い込まれそうになりそうな透明度と七色の分散光が素晴らしく携帯電話の画像でも見て取れます。
しかし何といってもそのサイズでしょう。
長さは約3センチで女性の指の節は隠れてしまいます。
ちょうどデジタルカメラ等で使うSDカードを少し幅広にした大きさです。
少し縦長な八角形のような輪郭は安定感があり多くの方に好まれるでしょう。
深さは透けない程度に浅く理想的です。
ペンダントに仕立てても収まりが良いので、いつの日かオスカー女優の胸元を飾るのを見てみたい衝動に駆られます。

この他にもハイケース毎にルビー、サファイア、エメラルド、ファンシーイエローダイヤモンドの逸品が多数展示されていました。
世界最大のダイヤモンドを見た後は存在が少々霞みますが、それぞれのケースも数千万円から億を超えるものまで、通常でしたらどれか一つでも息を呑むような品々です。
4階の常設売り場にも見ごたえがあるものがたくさんあります。
豪華なティアラと無処理のコロンビア産のエメラルドが特に印象に残りました。

100億円とは言わないまでも数十億円の宝石を百貨店のフロアーで気軽に見ることが出来るのは世界広しと言えども日本だけです。
ガラスケースに鼻がくっつくほどの近さで見ることが出来ました。
治安の良さと秩序のある行動は日本人の誇りです。
この伝統を守り、いつまでもこの様な展示ができる社会であってほしいものです。

Photo by Mr. J.Shimano

プロを困らせる質問

30cts size Burma Sapphire Untreated .on finger

果たして何が好きなのだろうか。
優しい青のカシミールサファイア?
燃えるような赤のモゴック産ルビー?
いや、透明度抜群のゴルコンダダイヤモンド?
考えれば考えるほど様々な宝石が浮かび上がる。
『どの宝石が好きですか』と言う質問ぐらい困るものはない。
宝石は一つ一つが異なるので、それぞれの宝石の中でかつて出会ったものを記憶の中から呼び起こす。
どれもが美しく結局優劣は付けられない。

しかし、本当に好みはないのだろうかと再び自問してみる。
すると頭に浮かんだものはどれも大粒。
装身具うんぬんを抜きにしてルースとしては大粒で美しいものが好みであることが分かった。

もちろん装身具には様々なサイズの宝石が必要であり、それぞれのサイズに合った使い方をして魅力的な装身具が仕立て上がる。
だが、宝石単体としては大粒になればなるほど魅力を感じるものである。

『どの宝石が好きですか』と言う質問は、『どんな宝石が好きですか』と言う質問に代えていただけると有難い。

人の場合も『誰が好きですか』と聞かれるより『どんな人が好きですか』と尋ねられたほうが答えやすい。

宝石も人も自然が創り出したと言う点で同じである。



写真は30カラットサイズのビルマ モゴック鉱山産の無処理のサファイアです。
ロイヤルブルーの名に相応しい力強い青が特徴で、大粒になればなるほど魅力を発揮します。
30カラットサイズで平均的なプロポーションのオーバルシェイプの場合、長さは50円玉の直径と同じぐらいです。
30cts size Burma Sapphire Untreated




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