ジュエリーコンシェルジュ原田信之

諏訪貿易が提供しているジュエリーの相続資産の査定・仲介のサイト「宝石ドットコム」の責任者:原田信之のブログ

2013年03月

合成ダイヤモンド (1)

以前ある時期を境にブラックダイヤのメレーが大量に出てきました。
天然のブラックの稀少性を見てきたので、これは処理石だと言うことが直感的に分かりました。
当時は処理であることが伏せられて販売されていましたが後に新たな処理であることが判明しました。
また、パパラチア サファイアが大量に出てきたときも同様でした。
プロならば新たな産地の発見が無い限り、自然の出現率を超えて出てきたものは直感的に分からなくてはなりません。
処理や合成に対して鑑別は常に後追いです。

最近、宝石の見本市でファンシーカラーのメレーダイヤモンドをよく目にします。
イエローを中心にピンク、ブルー、ピンクと色とりどりです。
人気なアイテムなので露出が多くなるのは分かりますが、量の多さが気になります。
実際に天然に合成が混ぜられてジュエリーに使われた例も出てきています。

先月アントワープに出張した際に合成ダイヤモンドを扱っている業者を訪ねて現状を見てきました。
以下の画像はロシア製のファンシーカラー合成ダイヤモンドです。
現状の価格は天然の3分の1から5分の1で売られています。
合成宝石の常で価格は限りなく加工賃に近くなるまで下がっていくでしょうが、鑑別はどうなっているのか気になります。
合成ダイヤモンドの現状を2月4日にGIA Japanで行われたDr. Wuyi Wangの講演を元に次回から数回に渡って連載します。
専門的になるので分かり辛いと思いますが、ご了承ください。
合成イエローダイヤモンド
合成ブルーダイヤモンド
合成カラーダイヤモンド


101.73cts D FLAWLESS Typeaオークションに現る

101.73cts D FLAWLESS Typea

5月15日に行われるクリスティーズ ジュネーブのオークションに101.73cts D FLAWLESS Typeaのペアーシェイプダイヤモンドが出品されます。
クリスティーズの発表によるとカラーレスダイヤモンドとしてオークション史上世界最大のダイヤモンドとの事です。
画像から分かるように縦横比が約1.60:1とDrop-shapeとしてバランスが良く、輪郭の膨らみも自然で多くの人に好まれる姿かたちです。

101.73cts D FLAWLESS Typea rough to polish

原石はボツワナのJWANENG鉱山から産出し重量が236カラットで、研磨に21ヶ月要したそうです。
JWANENG鉱山はデビアスとボツワナ政府の合弁会社Debswana所有のデビアスにとって最も重要な鉱山の一つです。
JWANENG鉱山はツワナ語"a place of small stones"(小さな石の場所)と言う意味ですが、名前と実際は異なるようです。

クリスティーズのサイトに用意された全体像が分かる動画を見るとガードルが均一でないことから100カラットを切らないよう職人が苦労して研磨したのが分かります。

落札の見積価格は問い合わせのみに応じるようですが、クリスティーズの過去の実績表を見ると20億円を上回るかもしれません。
何れにしても落札されればオークションレコードの更新になるでしょう。

Top 5 Colorless Diamond sold at Christie's Auction



4Cの使い方

Pear-shaped Diamond Necklace

アントワープの友人はさるブランドから受けたダイヤモンドの注文に追われていた。
0.3〜5カラットサイズのペアーシェイプをグラデーションさせる豪華なネックレスのダイヤモンド集めている。
注文は全てDカラーInternally Flawlessで同じプロポーションでそろえることが条件だ。
その後にE VVS1だけ、更にF VVS2だけで揃える注文も入っている。

ファンシーシェイプは縦横のサイズと輪郭が一つ一つ異なる。
ネックレスは左右が対になっているのでほぼ同じ輪郭のものをグラデーションさせながら複数揃えなくてはならない。
気の遠くなるような作業である。
そこにカラーとクラリティーを揃える条件が加わる。
最低限の条件をクリアして、そのほかの条件はある程度無視しなければ納品ができない。

ブランドも以前はこのような注文はしなかった。
Eカラー以上、VSクラス以上、ダークインクルーン(黒いインクルージョン)無し、輪郭と輝きを揃える事という程度の条件だった。
この「輪郭と輝きを揃える」と言うことは「美しさを揃える」と言うことだ。
業者はマーケットから条件のダイヤモンドを集め、その中からファセットが織りなす立体的なモザイク模様の強弱をあわせる作業に集中する。
結果としてDもあればEカラーもある。
VVSもあればVSもある。
決してDカラーInternally Flawlessだけとはならない。

ブランドの仕入れ担当者は4Cで美しさが決まると信じているのだろうか。
それともカタログの表示が揃っていれば価格政策上分かりやすいというだけの理由だろうか。
何れにしても美しさは二の次になるであろう。

聞くところによれば、人材の流動性の高い欧米では取り扱う商品が異なってもブランドを渡り歩くことが多いらしい。
昨日までバッグを扱っていた人が今日からはジュエリーを担当することもあると聞く。
以前のような専門家の登場が待たれている。


*画像は2008年4月のSotheby's Hong Kongに出品されたダイヤモンドネックレス

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