ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

2013年09月

どれもFancy Intense Purplish Pink!?

Argyle Fancy Intense Purplish Pink

ブログで常にダイヤモンドの美しさは4Cでは分からないので自分の目で確かめましょうと伝えています。
特にファンシーカラーは美しさの違いが顕著です。
同じグレードのファンシーカラーを数十個並べてみると美しさの違いに驚きます。
実際に皆さんが体験するのは難しいので伝えるのに無理だと思いましたが、良いサンプル画像がありました。
これは今年のアーガイルのピンクダイヤモンドの入札のカタログです。
入札用なので他の印刷物より実際の色に近くすることに力を注いだものなので比較に最適です。
全部で58個のピンクダイヤモンドのうち一番多いFancy Intense Purplish Pinkだけを抜粋しました。
画像をクリックして大きくしてご覧ください。(2度クリックするとより大きくなります)
一つ一つが異なることが良く分かります。
色味、濃淡、モザイク模様が微妙にことなります。

アーガイルはGIAのグレーディングを補うために自社の基準も併記しています。
GIAのグレーディングより誤差は少なくなりますが、やはりグレーディングだけでは分かりません。
もちろん更に細かく分類すれば、より差は少なくなりますがかえって混乱するだけです。
あくまでも目安なので分類するのならば私は大雑把で良いと考えています。
何れにしても美しさと価値の判断はラボの仕事ではなく我々の仕事です。

<アーガイルのファンシーカラーチャート>
Argyle Pink color chart

CVD合成ダイヤモンド

CVD合成ダイヤモンド

合成ダイヤモンドの記事で触れたCVD合成ダイヤモンドを入手しました。
この画像を見てCVD合成ダイヤモンドと分かる方は殆どいないと思います。
まるでプラスチックの破片のようです。
研磨済みは合成ダイヤモンドの販売サイトで購入できますが、研磨前の素材はなかなか手に入りません。
そこでメーカーにサンプルを注文しました。
出来上がったのがこれです。
サイズは縦横4.5ミリ、高さ2.5ミリ、重さ約1カラットの単結晶です。
頼んだメーカーが半導体基盤や工具向けだったので最大の厚みが2.5ミリまでなので、予算から逆算して4.5ミリ四方になりました。
ご参考までに価格は10万円です。
色は黒みがかった茶色で透明です。
うろこ模様の上面が成長面です。
底面は種結晶についていた面で真平らのつるつるです。
このメーカーは種結晶と成長した合成ダイヤモンドを綺麗に剥がす技術を確立していて種結晶自体は何度でも再利用が可能とのことです。
側面はレーザーで4.5ミリ角に切り落とされています。
向かって右の側面に縦の筋が確認できるのがレーザーで切った跡です。
残念ながら側面に関しては成長したままの姿は分かりません。
向かって左の側面には横縞の模様に見えます。
これは、CVDダイヤモンドが層状(パイ生地状)に成長した跡です。
この装置での成長は1時間当たり10ミクロンと聞いていますので、この厚みになるには250時間程度かかったと推測されます。
CVDダイヤモンドは真空状態で成長させるので窒素が殆ど入っていないTypeaになりますが、極微量の窒素を入れることによって成長が早くなります。
成長速度が速いためダイヤモンド構造になりきれなかった炭素により色が濃くなります。
因みにこの原石から研磨しても0.25カラットサイズのラウンドブリリアントカットしか出来ませんので宝石用としては採算は取れません。
海外では、宝石用に厚みのある合成ダイヤモンドも作られていて、最大2カラットサイズの研磨済みが確認されています。
恐らく、何年後かには現在の価格が信じられないほどの安値で作られていると思います。
HPHT合成ダイヤモンド

この画像は高温高圧法で作られた合成ダイヤモンドです。
窒素が入っているType気涼罎任眞眩任単独で存在してる原始的なタイプにのTypebになりますので、鮮やかな黄色が特徴です。
八面体と六面体が合わさった結晶で出来上がりますので、CVD合成ダイヤモンドより自然界の結晶に近く思えますがほぼ同じ形状で出来上がりますので人工製造物であることが分かります。
自然界の結晶は下記の画像のように一つ一つが異なりますので一目で分かります。
Diamond Rough

天然ダイヤモンド、高温高圧合成ダイヤモンド、CVD合成ダイヤモンドを並べてみました。
参考のためにスケールもつけました。
見比べてみてください。
天然のダイヤモンドが愛おしく感じられると思います。
原石サイズ比較


Hong Kong Show

Hong Kong Show

9月11日に始まったアジアで最大の宝飾関連のトレードショーであるHong Kong Jewellery & Gem Fairが9月16日に幕を閉じました。
最近は規模が大きくなりすぎてルースは空港近くのAsiaWorld Expo Hong Kongに、ジュエリーは香港島にあるHong Kong Convention and Exhibition Centreと二つに分けられています。
今ではバーゼル、ラスベガスと共に世界三大ジュエリートレードショーになっています。
中でも目覚しいアジア経済成長を反映して香港は最も勢いのあるショーになっています。
ショーの雰囲気をご覧になりたい方は主催者の動画をご覧ください。
Hong Kong Show Movie

私は主にルースを見ています。
プレシャスストン(Ruby, Sapphire)を見るときにたくさんの出展者を全て見ることは時間的に不可能なんで目安にしていることがあります。
展示しているルビー、サファイアに産地、処理を問わずCornflower、 Kashmir-Blue、Pigeon's blood、Royal blue等の表記をしているところは見ないことにしています。
本来ならこれらのTrade Colorは伝統的な産地に典型的な色として業界が概念的に使っているのもでラボの表記で価値が決まるものではありません。
このような表記を産地、処理問わず表示していると会社の姿勢は信頼できません。
何度も繰り返しますが、「宝石は幾らで買うかより誰から買うか」が大切です。
とは言っても産地と処理の有無程度は表示してもらったほうが分かりやすいのも事実です。
また、取っておきの商品は展示していないことがよくあります。
バイヤーの実力や本気度を確認して出してきますのでどこでも真剣な態度で臨むことが大切です。
昨年同様にルビーはモザンビーク産(加熱、無処理)が多く出回っています。
価格は2年前と比較すると既に2〜3割高くなっています。
特に無処理の2カラット以上の値上がりが著しくなっています。

ブラジルのコーナーに行くとモルガナイト、トルマリンルーベライト(以下ルーベライト)、ブルートパーズで溢れています。
放射線処理トリオです。
業者はモルガナイト、ブルートパーズは100%照射でルーベライトは50%程度天然としていますが、見分けがつけられないので市場では照射扱いです。
それでもルーベライトは中国でブームなのでバイヤーが群がっています。
ロードライトガーネットを展示しているところにもルーベライトと間違えて押し寄せている有様です。
もちろんブラジルでも照射していない宝石を扱っているところもたくさんありますが、ルーベライトは売れ筋なので外せません。
パライバは相変わらず人気ですが、ジュエリーに向かないような低品質のものにも高値がつけられているのは納得がいきません。
発見当時のような鮮やかなものは殆どないので本当に綺麗なものを欲しい方は還流品の方がチャンスがあるかも知れません。

以上。

歴史的なメレーダイヤモンドの価格高騰収まる (下)

DTC Rough Prices Index

ここにDTC(De Beers)のサイトにおける原石価格の推移表がある。
5つのカテゴリーの原石に関して2009年5月を100とした場合に2013年6月までの増減を示したものだ。
DTCは2001年以降、原石価格を公表しない方針を取っているが、この表はあるDTCの*ブローカーが独自に分析したもので信頼性が高い。
事実私が買い付けている研磨済みの価格も若干のタイムラグがあるがこの表に連動している。

この表の一番右のSawables-7+2に注目して欲しい。
この原石からは主に最高品質のメレーダイヤモンドが研磨される。
2009年から2010年は微増だが2011年に入ると経験したことの無い高騰が始まった。
指数は年末にかけて280を突破した。
2011年の1年だけでも2.3倍と言うとてつもない値上がりである。
この高騰をもたらしたのは欧米のブランドジュエリーとスイスの高級腕時計だ。
どちらも最高品質のメレーダイヤモンドのメインユーザーである。
それが2011年から2012年にかけて中国市場で爆発的に売れて需要に供給が追いつかない状況が続いた。
結果、彼らがダイヤモンドを確保すべく奔走し、原石の投機を生み加速度的に値上がりした。
冒頭の経済記事のように中国経済の減速でこの歴史的な高騰も今年に入って収束し始めた。
研磨済み価格は原石価格ほど収まっていないが、ピークから3割ほど値下がりしている。
但し、日本市場価格においては円安のため相殺されて大きく値下がりしていない。


*DTC(De Beers)のブローカー…サイトホルダーとDCTとの間を取り持つ業者。サイトホルダーは数社あるブローカーから選んでブローカーを通して原石を買わなくてはならない。サイトホルダーは取引金額の1%程度の手数料をブローカーに支払っている。

リ・ジュエリービジネス・レポート No. 08  2013年9月1日発行より

歴史的なメレーダイヤモンドの価格高騰収まる (上)

ダイヤモンド原石

昨年11月30日の日経新聞に『香港の宝飾品販売、軒並み業績悪化』と言うタイトルで『宝石や貴金属を扱う香港の宝飾品販売会社の業績が悪化している。
中国景気の減速で高額品の消費が鈍っているうえ、不動産高騰による店舗の賃料上昇なども悪影響を及ぼしている。と言う記事が掲載された。
続いて
今年7月30日にも『香港宝飾大手、前期「反腐敗」で減益−中国本土の景気減速に加え、習近平国家主席が打ち出した「反腐敗」による高額贈答品需要の落ち込みが影を落としているようだ。』と続報を掲載した。

他の産業同様ここ数年宝飾業界を牽引してきたのは中国市場だ。
2008年以降リーマンショックを挟んで現在に至るまでにダイヤモンドの3カラット以上の大粒稀少品質は2倍以上の値上がりをしたが、この高騰も中国市場の影響が大きい。
大粒ダイヤモンドの値上がりも歴史的なものだが、大粒よりも更に値上がりしたアイテムがあった。それは高品質のメレーダイヤモンドである。

続く。
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