ジュエリーコンシェルジュ原田信之

諏訪貿易が提供しているジュエリーの相続資産の査定・仲介のサイト「宝石ドットコム」の責任者:原田信之のブログ

2013年12月

合成ダイヤモンド混入の現状と市場に与える影響(下)

合成がNEAR GEMのマーケットを奪う
では合成ダイヤモンドが多く流通することで何が変わるのか。
キーを握るのは低単価ジュエリーになりそうだ。
NEAR GEM QUALITY(低品質)の天然メレーダイヤモンドは主に低単価のジュエリーに使われている。
他の合成宝石が辿って来た様に合成設備の大規模化で生じるコストダウンで合成ダイヤモンドの価格は下がり続けるであろう。
ある段階で輝きの劣るNEAR GEM QUALITYの天然ダイヤモンドが輝きの良い合成ダイヤモンドに取って代わられることは想像に難しくない。
現在、価格帯によってはキュービックジルコニアやクリスタルガラスが使われていることから考えてもハードルは高くない。
 
そうした事態が起こるとNEAR GEM QUALITYの天然ダイヤモンドは行き場を失う。
新たな使い方が見つからなかったら工業用と一緒にされて売られるしかない。
インドに研磨産業が起こったことでそれまで研磨されなかったNEAR GEM QUALITYが大衆ジュエリー向けに研磨されるようになったが、皮肉なことに合成ダイヤモンドの登場で以前の状態に戻ることも考えられる。
ルビー、サファイアの加熱の有無が判断できるようになったことで、無処理のGEM QUALITY(宝石品質)が処理のない時代と同様の評価がされるようになったことの因果関係と無縁でない。

ダイヤモンド鉱山の採掘費用は変わらないのでNEAR GEM QUALITYの価値の低下はGEM QUALITYのダイヤモンド価格を押し上げるか、それが出来なければ閉山せざるを得まい。
合成ダイヤモンドがもたらすのは混乱によるマーケットの崩壊ではなくダイヤモンド価格の変動である。
天然でも美しくないものは価格が下がり美しいものは値上がりする当たり前の状況をもたらすのが合成の登場だとしたら、むしろ歓迎したいと言ったら言い過ぎか。

以上、賛否を承知で個人的な推測を展開したが、これからの議論の一助になれば光栄である。

(リ・ジュエリービジネスレポート10号より)

合成ダイヤモンド混入の現状と市場に与える影響(上)

合成ダイヤモンドに関する警報及びニュース

相次ぐ合成ダイヤモンド混入のニュース
10月17日、RAPAPORTより業界に次のような警報が発せられた。
メレーダイヤモンド、ポインターに合成ダイヤモンドが混ぜられていると言う報告が相次いでいる。
緊急に購入先に天然、無処理であることを保証させ、納品書に一筆入れさせるように。:
10月28日、The World Federation of Diamond Bourses (WFDB) は合成ダイヤモンドの混入増加への対策として、合成であることを伏せて流通させた業者に訴訟を含めた確固たる対応をすると表明:
10月31日、インドで天然ダイヤモンドのメレーに合成ダイヤモンドが半分以上混じっていたパーセルが2つ見つかったと報じられた。合成は合計で30-50カラット。(THE TIMES OF INDIA ):

 このように合成ダイヤモンド混入のニュースとそれに対する警報が今年の後半に続々と寄せられた。
合成ダイヤモンドの鑑別技術はある程度確立しており殆どは見分けることができる一方で、コスト的に鑑別が見合わないメレーダイヤモンドに関しては以前より多くのプロが危惧していた。
いつこうした事態に陥っても不思議ではなかったが実際に顕在化するとやはり身構えてしまう。
*CVD合成ダイヤモンドの登場で急速に進んだコストダウンがこの流れを加速させている。

合成のメレーダイヤモンドに関してはDe Beersの開発したAMSやGIAがWFDB向けに提供する検出機械が来年から機能しだす。
将来は技術の向上で一度に大量のメレーを処理できるようになれば混入の動機すらなくすことが出来るかもしれないが、まだ時間がかかる。

*CVD合成ダイヤモンド:大規模な機械と高額の投資を必要とする従来のHPHT(高温高圧法)に比較して高圧を必要としない新しい合成方法。技術が改良されコストダウンが進んでいる。CVD(Chemical Vapor Deposition: 化学気相蒸着法)
Profile
ギャラリー
  • Christie's Hong Kong
  • Christie's Hong Kong
  • Christie's Hong Kong
  • Christie's Hong Kong
  • Christie's Hong Kong
  • Christie's Hong Kong
  • ライブドアブログ