ジュエリーコンシェルジュ原田信之

諏訪貿易が提供しているジュエリーの相続資産の査定・仲介のサイト「宝石ドットコム」の責任者:原田信之のブログ

2015年03月

香港ショーで見かけた珍しい宝石

ツイッターで出したなぞなその答えです。

その一
ファンシーカラーゾイサイト

答えは、タンザニア産ゾイサイトです。
もともと原石は褐色で加熱を施すととても綺麗なブルーになります。
トレードネームは皆さんご存知の「タンザナイト」で宝石名はブルーゾイサイトです。
原石の中に稀に褐色でないものが存在します。
画像はバイオレット、パープル、イエロー、グリーのタンザナイトです。
加熱処理は施されていません。
恐らく加熱するとタンザナイトになってしまうかも知れないので加熱する勇気のある人はいないと思います。
最近バイオレット、パープルのものを「ピンクタンザナイト」として売り出している業者もいます。
ゾイサイトは硬度6〜7と水晶より軟らかいのでリングには不向きです。
仕事柄私は再流通のタンザナイトのジュエリーを沢山見ますが、表面にダメージがないものは殆どありません。
特に何かに当たることの多いリングは顕著です。


その二
カンボジア産 ブルージルコン

答えはカンボジア産ブルージルコンです。
ジルコンは複屈折(1つの光線を2つに分ける性質)が大きく、右の写真を見ると、宝石を通して見える稜線が二重になっているのがわかります。(ダブリング)
ジルコンはペリドットの約2倍の屈折率を持っており、厚みが増すと二重線の間隔が広がりますが、方向によって異なります。
光を分けない単屈折の宝石と、複屈折の宝石の鑑別は、二重線の有無を拠りどころとします。
また複屈折の宝石間では、拡大検査で稜線が二重に見える程度を目安にすることができます。(諏訪恭一著「宝石2」世界文化社刊より)
この宝石の特徴は鮮やかなブルーでありながら独特の柔らか味を持ち合わせていることです。

カシミール化するモゴックルビー

無処理モゴック産ルビーのシルクインクルージョン

ビルマ産の無処理(加熱の痕跡認めず)のルビーが高騰しています。
ビルマ産と言っても伝統的なモゴック地区の鉱山のものと1980年代後半から開発されたモンスー鉱山と大きく分けて2つあります。
モンスー鉱山のものは殆どが高温加熱処理を必要としますが、モゴック地区の中には高温加熱処理を必要としないものが存在します。
モンスー鉱山でも稀に無処理のものが存在しますが、特徴が異なるのでプロが見れば判断がつきます。
モゴック産の無処理のルビーが高騰した主な理由は以下の3つです。

1つ目は、1990年代後半からデータの集積からラボが高温加熱と無処理が鑑別できるようになったこと。
それまでは高温加熱と無処理が同じ土俵で扱われてきましたが、鑑別ができるようになったことで高温加熱処理以前の稀少性に戻りました。
結果、消費国で無処理のブームが起き値段が上がってきました。

2つ目は、無処理で美しいもの産出が極僅かになっていることです。
伝統のあるモゴック鉱山も産出が細ってきて品質の良いルビーの産出は極僅かです。
代わって出てきたモザンビーク産も十分に美しいのですが、モゴック産独特の色と透明度とは異なります。

3つ目は、もともと自国通貨を信用していないミヤンマーの人はお金が貯まるとルビーに換えておく習慣のありました。
そこに海外で無処理のルビーが高値で売れる情報が入ってきて投機を呼び、現在世界で最も相場の高いのがミヤンマー国内です。
そのためミヤンマーからルビーが輸出されなくなり、ミヤンマーの外で見る数が極端に少なくなりました。
開放政策で外資の投資が盛んになり、土地が高騰しバブル化していますがルビーも同様です。

カシミールサファイアは100年以上前にほぼ枯渇してしまいましたが、モゴック産のルビーは少ないながらも産出は続いていますので本当にカシミール化するにはまだ時間の猶予があります。
また、ミヤンマーのバブルが崩壊して国外にルビーが流失し、相場も下落する可能性もありますが高温加熱処理のものの相場が下支えするので驚くような値下がりは想像できません。

無処理モゴック産高品質ルビーの新たな産出は期待できませんが先進国には過去に購入したものが新産の何倍もありますので、これからの主な供給源が還流市場になることは避けられないでしょう。

画像はモゴック産無処理ルビーの美しいシルクインクルージョンの顕微鏡画像です。

香港ショー

show


 52カ国から4,300の出展社を募るアジア最大の展示会は3月2日から6日の空港近くのAsiaWorld-Expで行われるThe Hong Kong International Diamond, Gem and Pearl Show(ルース) と4日から8日の市中のHong Kong Convention and Exhibition CentreでHong Kong International Jewellery Show (ジュエリー)に分かれて開催されます。

懸念が現実に
 中国経済の減速から落ち込みを覚悟した昨年9月のショーが概ね一昨年並みで終わったことから抱いた出展社の淡い期待は初日の来場者数の少なさに打ち砕かれました。
往来の少なさに増してバイヤーの消極的な購入意欲に殆どの出展社は今年の厳しいビジネスを覚悟しました。

ダイヤモンド
 出展社の中でも多くを占めるダイヤモンドの業者は無力感が漂っています。
高い原石価格と低迷する研磨済み価格に挟まれて元々少ないマージンに需要減が加わり、流通の構造的な問題に成す術がなく不満を超えてぼやくしかありません。
その中でもブランドのブライダルが堅調な高品質ラウンドのポインター(0.30-0.99ct)は一定の需要があります。

カラーストン
 ルビーの主役は完全にビルマ産からモザンビーク産に移っています。
会場には黒光りしたモザンビーク産が溢れています。
ビルマ産はモンスー鉱山産の加熱処理はありますが、無処理(加熱の痕跡認めず)は極僅かしかありません。
見つけても高品質のものは少なく、価格はすでにカシミール産のサファイアのような手の届かないものになっているので探すバイヤーも少なくなっています。
 ルビーほどではありませんが、サファイアもビルマ産は多く見る事ができません。
現在の主役はマダガスカル産です。もちろんスリランカ産もありますが、新産に限ってはマダガスカル産の品質が勝ります。カシミール産はウインドウに並べてあるものは数えるほどしかありません。
 エメラルドはコロンビア産もザンビア産も豊富です。
含侵の程度がInsignificantとかMinerと表示してありますが含侵がオイルなのか樹脂なのかは不明なので、すでに取引のある信頼できるところのものしか見ないバイヤーが多いように見受けられます。
 中国で人気のあるトルマリンルーベライトと米国で人気のモルガナイトは原石不足で供給が限られています。どちらも放射線処理で稀少性は低い石ですが、放射線処理に向く原石が足りません。
宝石としての価値は殆どないので大量に存在するのを前提に計画をしていたところが苦労しています。
やはり天然石なので宝石としての側面があることを再確認しました。
 カラーストン全般に言えるのは良い品質の供給が足りません。
世界経済に不透明感が漂って景気は停滞気味ですが、カラーストンの供給の点では少しスローダウンしたほうが需給が見合います。




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