久しぶりのイスラエルのマーケットは大きく変貌していました。
以下に現状をまとめます。


       「イスラエルのダイヤモンド産業の現在」
      −グローバル戦略と大粒化で生き残りにかける−

 ここ十年のイスラエルのダイヤモンド研磨産業は後退を余儀なくされています。数万人も擁した研磨工は1,000人程度にまで減少しました。

低賃金を武器に躍進を続けるインド研磨のダイヤモンドは、種類を広げ、サイズアップをして彼等のシェアを奪ってきました。

更にパレスチナとの紛争による治安の悪化が、バイヤーを遠のけ、状況を悪くしています。

このため一時はイスラエルの人たちも将来を絶望視していました。

しかし今は置かれた状況に対応し逞しく生きています。

現在の業態を以下の4つに分けて報告します。



1.本社機能

鉱山会社のサイト等で原石を購入し、主に中国やアジアの自社工場で研磨後、香港、ニューヨーク、アントワープの現地オフィスに振り分けて販売しています。

特に中国市場を抱える香港の重要性が高くなっています。

そのため原石の輸入は増えています。

また、ジュエリーメーカーやナショナルチェーンとタイアップすることも多く、イスラエルはその際の本社機能を果たしています。

資本が必要なので大手業者が中心です。



2.大粒にシフト

会社の規模を問わず、自然な流れで研磨賃が占める割合が少ない1カラット以上の商品にシフトしています。

機械の進歩により技術力の差は少なくなっていますので、原石の調達力が問われています。

3.特化

例えば、これまでプリンセスカットの2ミリから2カラットまで揃えていたところを、一番と得意なサイズへと絞り込んでいます。

総研磨量は減っていますが、0.2カラット以上のファンシーシェイプの研磨は依然イスラエルが大きなシェアを握っています。

又、ジュエリーや時計の枠に合わせてカスタムメイドで特殊なカットを行うニッチマーケットに特化している業者もいます。

この分野は他の研磨地の追随を許していません。



4.インドから買い付け

低品質なものをインドから買い付けて3〜4%の口銭で販売する業者が増えています。

最も安易な方法なので、同業者からは冷ややかに見られています。



 日本ではイスラエルからの直接の輸入は減少していますが、グローバルに商品の流れを捉えて見ることが大切です。