これが、今回の出張で買い付けしたダイヤモンドの一つです。
とても美しい5カラットサイズのエメラルドカットです。
前回、チェックポイントの項目を書きましたが、
写真を見ながら説明します。
まず、正面を見てください。
縦横の比率は、GIAの教本では1:1.5〜1.75とありますが、流行も好みもあります。
現在の主流は、アッシャーカットの流行もあり短めです。
因みにこれは1:1.22です。私は、このぐらいが綺麗だと思います。
次にコーナーの大きさも重要です。小さすぎるとエメラルドカットの良さが出ません。大きすぎると8角形のようになります。大きすぎず小さすぎないバランスが大切です。たいていの場合、このコーナーに爪をかけますので、爪の形状によってはコーナーを強調しますので、大きさは重要です。
ファセットのシンメトリー(対称性)は、ガラスの箱に入れたほうが、正確に判断できます。特にキュレットが中心にあるかどうかは、美しさにも影響します。
最も難しいのは、白く見える部分と黒く見える部分のバランスです。私たちは、モザイク模様のバランスと言います。パビリオンとクラウンのバランスにもよりますが、深すぎると左右から中心にかけての蝶ネクタイ状の部分が黒くなりすぎます。また、あとで出てきますが、全体の深さが程よくても、裏の形状が悪いとぼやけます。この写真ぐらいのバランスが私は好きです。
横から見たところです。キュレットが程よく短いために左右からキュレットにかけての絞り込まれているのが分かります。私は、「お尻が引き締まった」と言う表現をします。
もう一つ注意しなくてはならないのが、贅肉です。ほとんどのエメラルドカットはガードルからキュレットが直線ではありません。3段の折れ線を描きながらすぼまっていきます。この折れ線の角度がつきすぎていると最悪です。輝きを悪くすると同時にジュエリーに仕立てるときの自由度を奪います。つまり、石座を絞り込もうと思っても、この部分が邪魔をして綺麗に出来ません。更に見た目の大きさが変わらないのに重さが重くなるので、単価が同じなら価格が高くなります。写真のように贅肉がなくお尻の引き締まったものは、多くありません。なぜなら、研磨職人は原石から出来るだけ目減りを少なく研磨するのが腕の見せ所と教育されているからです。これは、原石も形や場面の大きさで取引されるのではなく、重さで取引されているからです。
最後に逆さまにしてお尻の状態を見てください。
この石は、若干クラウンが薄いのですが、パビリオンの角度(お尻の引き締まり方)が良いのでバランス良い輝きを得ています。もちろんテーブルの大きさもクラウンやパビリオンの比率に応じて、適切なものがあります。
全てを説明することは出来ませんが、ファンシーカットの買い付けは難しいものです。ラウンドと比較になりません。バイヤーの腕の見せ所です。
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。