4カラットサイズエメラルドカット





最近、ダイヤモンドの処女性を強調している広告や販促物を見ることがあります。
原石から研磨されて初めてジュエリーに使われたことをアピールしています。
氏素性がはっきりすると言うTRACEABILITY(追跡可能性)としては大変意味があります。
産出した鉱山がはっきりしていて研磨以外手が加わっていないことがはっきりしているので鑑別する必要がありません。
では、宝石とって処女性は本当に重要なのでしょうか。
原石がたくさん採れるメレーのような小粒のダイヤモンドは、殆どが新産の原石から研磨されたものですが、大粒になればなるほど還流品の可能性が高くなります。
例えば、アントワープやニューヨークで高品質の5カラットのダイヤモンドをリクエストして10個集まったとしたら、その多くは還流品の可能性が高くなります。
実は商品を見るだけでは、このダイヤモンドが新産であるか還流であるかは私にも分かりません。
また、新産であることを意識したこともありません。
もし新産のものだけでしたら、幾つも見ることは出来なくなります。
稀少性が高くなればなるほど、還流品が多くなります。
宝石の定義が、「美しく稀少なもの」とすれば、宝石の本流は還流品です。

何度も繰り返し同じことを書きますが、宝石に中古と言う感覚はありません。
宝石を留めている貴金属の枠は傷んで中古になりますが、宝石自体はもし傷んだとしても再研磨すると殆ど元に戻ります。
中古住宅と言っても、土地に中古がないのに似ています。

宝石に前の所有者の怨念がついているから中古の宝石は嫌だという方がいらっしゃいますが、稀少性の高い宝石ではナンセンスです。
限りある大自然の創造物に敬意を払って、大切に受け継ぎたいものです。