パーセル

−アンチ使い捨て文化−

○パーセル(Parcel paper)

宝石を包む紙です。
英語では正式には「parcel paper」と呼びますが、通称「パーセル」です。
日本語では「畳紙」(タトウ紙)です。
和服を包む紙と同じです。

三層構造のパーセル
一般的なサイズは折りたたんだ状態で約4.5×8センチで、広げると約19×15.5センチと縦長になります。
基本は、3枚構造です。
一番外側の紙は一般的なコピー用紙の半分以下の厚みです。
この紙にメーカーの透かしが入っているものもあります。
内側の2枚はグラシン紙とかパラフィン紙と言われている光沢のある薄手の紙で、伝統的なタイプのパーセルでは、内側に少し濃い青色、真ん中に少し淡い青色が使われています。
何故、こんな構造になっているのか、誰にも訊ねたことはありません。
商品のすべりと耐久性が良いことに加えて、薄くて強く跳ね返らないのでダイヤモンドが飛ぶのを防ぐことも考慮されているのでは、と私は推測しています。

パーセルの色も宝石によって異なります。
ダイヤモンドには、この淡いブルーかもう少し白いものが使われ、カラーストンには黄色のパーセルが使われますが、基本の構造は同じです。

パーセルに鉛筆で書かれた情報
たたんだパーセルの最後の折りたたんだ部分に中身の情報を書き込みます。
書き込みは鉛筆(日本ではシャープペンシル)が基本です。
決してボールペン等で書き込むことはしません。
何故なら、入っているダイヤモンドの個数や量(カラット)に変更があれば、消しゴムで消して書き換えて使うからです。
何度も何度も書き換えて、多少汚れても使い続けます。
中には、折り目が擦り切れているものも珍しくありません。
恐らく、ユダヤ系の人たちの物を大切に使う習慣が根強く残っているためだと思われます。
ダイヤモンドの入ったパーセル
二つに折った紙の中には、このようにダイヤモンドのルースをむき出しのまま入れます。
これを両端を内側に折って、縦に二度巻き込むように畳むと出来上がりです。
両端を折るときにダイヤモンドが内側にきちんと入っていれば、直径2ミリに満たないメレーダイヤが大量に入っていても漏れることはありません。
パーセルを開けたり、畳んだりする時の手つきで年季が分かります。
パーセルを主に使っているのは、アントワープやテルアビブの集荷地とそこから輸入している卸の業者までが殆どです。
その先は、ボールペンで文字の書けるビニール袋に入れて管理されることが好まれます。

パーセルの束とフルート
これは、良く使われているRubin社のパーセル一束です。
脇にあるのは、フルート(Flutes)と呼ばれている小分け用のパーセルです。
パーセルのダイヤモンドを分類して保管します。

パーセルの中のソート
買い付けの場面では、上の写真のように段階的に分けたものを3枚の紙の間に一時的に入れて交渉することもあります。


ケースに入ったパーセル
このように専用のケースに並べられて保管されます。
かなり歴史を感じるものも見えます。

パーセルは決して安くはありません。
ビニール袋とは比較しようがないくらいの差があります。
但し、ビニール袋は直ぐにすすけてしまうので、使い捨てに近くなります。
その点、パーセルは繰り返し使うことが出来ます。
世の中にはこんな風に、頑なに紙の包みを使い続ける人たちがいます。
我々の使い捨て文化を反省させられます。


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