前回ダイヤモンドグレードかさ上げ騒動における問題の本質を書きましたが、世界のグレーディングレポートはどうなっているのか見てみましょう。
どの国にもその国の鑑別会社(ラボ)が数多く存在します。
日本にも景気の良いときは大小100を超えるラボが存在したとされているぐらいです。
国際的に拠点を構えてグレーディングレポートを発行している会社は、ダイヤモンドグレーディングシステムを開発したGIA(Gemological Institute of America)を筆頭にIGI(International Gemological Institute)、EGL(European Gemological Laboratory)と言ったところがあります。
それにアントワープのラボでヨーロッパでのシェアの高いHRDを加えた4社が国際的に有名です。
世界のダイヤモンド販売の過半を占める米国ではローカルと言えどもAGS、EGL USA(EGLとは別資本)等の規模の大きい業者も存在します。
では、それらのラボはグレード基準を統一して標準化された作業を行っているのでしょうか。
答えは、「NO」です。
グレーディングシステムを作ったGIAの4Cの概念に準拠して行っていますが、それぞれが独自のグレーディングを行っているのが現状です。
用語が一緒でも基準はそれぞれです。
分析する要素も同じではありません。
*Diamond Grading Comparison Matrix
また、同じラボでも常に一定ではなく、人間の見るものですので時期により若干の幅があります。
ラボによって異なり、同じラボでも一定ではないと言うことです。
それぞれが独立した営利団体でお互いに競争しているので基準を統一すること自体無意味です。
アントワープ、ムンバイ、テルアビブ、ニューヨークと言ったダイヤモンドセンターでは、これらの何れかのグレーディングレポートがついたダイヤモンドが取引されます。
プロのバイヤーは、各ラボの現在のグレーディングの範囲と特徴を熟知しています。
表記がどうであれ、ダイヤモンドの品質は価格相応です。
世の常として、「安くてよいもの」はありません。
極端に安く見える宝石は要注意です。
もしレポートがついていても、何よりも自分の目で美しいと感じたものを購入することが大切です。
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