Untreated Burmese Ruby

最近、非加熱のルビー、サファイアと言う表示を目にすることが多くなりました。
これは正確な表現ではありません。
処理と産地鑑別のパイオニアであるスイスのグベリン研究所では以下の表現になります。
No indication of heating
日本語に訳すと「加熱の痕跡なし」になります。
この表現と非加熱は大きく異なります。
「加熱の痕跡なし」とは現在の鑑別技術では加熱した痕が見つからないと言う意味です。
加熱していないという意味ではありません。
山火事や火山活動等の自然界で起こりえる温度の加熱まで区別されることに意味があるとは思えませんが、いつか鑑別技術が向上して現在よりも加熱の程度が細分化されるかもしれません。
弊社では非加熱と言う言葉を使わない代わりに英語のUntreatedにあたる「無処理」と言う言葉を使っています。
カット以外の人為的な処理が施されていないと言う意味で用いています。
また、直訳の「加熱の痕跡なし」は長すぎて使い辛いと言う現実的な理由もあります。
私が宝石を買うときは、どんなレポートがついていても自分の目で見て納得がいかないものは買いません。
無処理の宝石を買う場合は透明度の高さや色の優しさ等の特徴を備えているものだけに限ります。
レポートには無処理でも、目で見て処理されたものと差が分からないものにプレミアムを払うのはプロではありません。
何事も鵜呑みは禁物です。