天然モルガナイト原石

代表的な宝石の処理はルビー、サファイアに代表される高温加熱処理とエメラルドに顕著な含侵処理などがありますが、鑑別技術の進歩で有無と程度を判断できるものが多くなりました。
反対に自然界にも存在するために人工的に施されたか分からないのが放射線照射処理です。
中性子線や電子線の照射後に加熱処理して結晶構造に歪みを与えると特定の色が吸収され、結果吸収されなかった色が見えてきます。
代表的な宝石はブルートパーズ、ピンクトルマリン、最近ではモルガナイトも加わりました。
ダイヤモンドでも照射によって殆どのファンシーカラーが作られますが、グリーン系以外の色は天然か照射によるものか判断可能です。
問題はやはりカラーストンを処理したものです。
ひとたび照射処理のものが出回ると天然で同じような色があったとしても見分けがつかないので価格は照射処理の価格に収斂します。
「悪貨が良貨を駆逐する」のグレシャムの法則の通りになります。
原子力発電所の事故以来、人類が手に入れてしまった放射線と向き合う日々が続いていますが、宝石の放射線照射処理も罪深い「禁断の処理」といえるものです。

上の画像は天然のモルガナイトの原石です。
モルガナイトはピンク色のベリルです。
ベリルの仲間には鉄が加わることでブルーになるアクアマリン、クロムやバナジウム等が加わることでグリーンになるエメラルドが知られています。
モルガナイトは画像のようにインクルージョンが多いため従来は研磨石として出回ることが少ない宝石でした。
しかし、ここ数年良く整った色味のモルガナイトの裸石が大量に出回りました。
宝石の世界では急に同じような色が大量に現れたらまず処理を疑います。
案の定、やはりこれは照射処理によるものでした。

照射処理は大量に産出される無色のベリルの原石を研磨して行います。
処理する費用が重量がベースになるため原石段階では行いません。
研磨済み又はプリフォーミング(ファセットをつける前の段階)で処理します。
無色ベリル原石
無色天然トパーズ原石

照射処理モルガナイトプリフォーミング
プリフォーミング照射処理モルガナイト

照射処理モルガナイト
研磨済み照射処理モルガナイト


同様にブルートパーズもご覧ください。
無色トパーズ原石
無色天然トパーズ原石
無色トパーズ プリフォーミング
プリフォーミング無色天然トパーズ
研磨済み照射ブルートパーズ
研磨済み照射処理ブルートパーズ
左の濃いものは中性子線照射、右2個は電子線照射

ブルートパーズ天然と処理比較アクアマリン付
天然のブルートパーズと照射処理ブルートパーズとアクアマリンを比較しました。
天然のブルートパーズはごく淡く一目で照射のものと区別がつきますが、鑑別は出来ません。