装身具の仕分け前画像

 ジュエリーの整理の相談は様々ですが、一番多いのは相続です。お母様、お婆様が亡くなって残されたジュエリーをどうするかの相談です。通常はご主人又はご兄弟、お子さんが相談に来られます。まずは、ご相談者がどのようにされたいかご要望をお聞きします。売却をご希望でも出来るだけ価値のあるものは受け継いでお使いになった方が良いとお勧めします。相続出来る家族関係をお伺いし、実際に使っていただけそうな方向けのジュエリーを選んだり、価値が同じようになるように分けたりします。
 ご家族で相続を争っているケースは仲に入った弁護士や会計士や税理士の方が相談に来られます。資産家の場合は結構な割合で争っているケースが多く利害関係は複雑ですが私の所に来る時には既に相続の割合の決着がついているので、基本的に殆どを売却して現金化し、それを合意した割合で分けます。出来れば売却よりジュエリーのままで受け継いでもらいたいところですが係争中であれば致し方ありません。大きな相続では争っている双方の弁護団の間に入って査定を行うこともあります。まるで小説やテレビドラマの一場面のような光景に出くわすこともあります。売却方法としては透明性が高くそのときの相場で売却できるオークションが向いています。
 相続以外で多いのは「終活」です。お持ちの方ご本人が着ける機会も少なくなったのでそろそろ整理したいと相談に来られます。娘さんが居られずお嫁さんしかいない方に以前多かったのは「嫁にあげるぐらいなら全部売りたい」と言うそれこそドラマ並みの相談でした。最近は少し変わって、お嫁さんに聞いたが要らないと言われてしまったと言うケースが半分ぐらいを占めます。装身具の簡素化とでも言いましょうか、残念ながら近年、若い方たちは本格的なジュエリーを避ける傾向にあります。終活のご相談の残り半分は差し上げても喜ばれないと思い込んで聞くことすら遠慮されてしまいます。この中には自分の買い物の履歴をお嫁さんに知られたくないと言う気持ちも含まれます。ややこしいのはお嬢さんとお嫁さん両方いるケースで本当はお嬢さんに差し上げたいのに、持っているジュエリーをお嫁さんもよく知っていると言ったケースです。このようなときはお嬢さんとお嫁さんの関係にヒビが入ることを避けて、どちらにも差し上げずに処分すると言う選択をする方も少なくありません。そのようなときでも私はアドバイザーなのでご家族にジュエリーを活用してもらえる解決策をご提案します。それぞれのジュエリーの価値を査定してお嬢さんとお嫁さんに同額ぐらいになるように選んでもらうことが1つです。また形見分けとして同額ぐらいの品を1つずつ選んでいただき残ったものは処分してご本人の老後の資金とする方法もあります。メインとなる宝石自体は価値が高くても、デザインが古くて使いづらい時にはご家族に作り替えも提案します。ただし大粒のアメシストに20万円かけるような作り替え費用が見合わない宝石にはお勧めしておりません。故人を偲んで身につけるセンチメンタルバリューのあるような場合を除いて何が何でも作り替えるのはプロとして失格です。
雑誌Jewel掲載記事