Diamond Rough

真のサステナブルとは

Rough Diamonds Production 1871-2021 社名入り


 上のグラフは1870年から2021年までのダイヤモンド(原石)の生産量推移です。2005年に177百万カラットでピークを記録し、その後徐々に減少していきました。2017年、152百万カラットまで盛り返し、2020年には新型コロナウイルスのパンデミックによる影響で一時108百万カラットに激減しましたが、2021年には前年にアーガイルへ鉱山(オーストラリア)の閉山があったにもかかわらず、137百万カラットに回復しました。米ロの新冷戦で流通は不透明ですが、世界最大級のダイヤモンド鉱床を持つロシアの生産に関しては安定的と予想され、ボツワナ、カナダで幾つかの新規のパイプが見込まれており、今後数年は120〜130万カラットで推移すると予想されています。
 国連によると世界の人口は現在の77億人から2050年の97億人へと今後30年で20億人増の予測があり、少なくとも需要面での減少は考えづらく需給の逼迫が想像できます。価格に関してもインフレで値上がりは避けられそうもありません。
 ここまで読むとこれからダイヤモンドは不足しそうに思えますが、宝石の特性の一つ「宝石は捨てられない」ことを忘れてなりません。使わなくなったからと言って宝石を捨てる人は少ないと思います。ましてダイヤモンドのように稀少性が高い宝石は尚更です。ダイヤモンドは紀元前から採掘されていますが、20世紀はかつて無いほどダイヤモンドが採掘されました。このグラフの50年間だけでも産出されたダイヤモンドの総量は6,000百万カラット(1,200トン)を超えています。
 工業用が半分、残りの宝石用*3,000百万カラットのうち研磨上がりの歩留まりが仮に平均30%だとすると一度はジュエリーにセッティングされたものが900百万カラットもどこかに眠っています。この内何分の一でもリサイクル出来れば新産のダイヤモンドの必要性は低くなります。
 鉱山開発には大量のエネルギーを必要とし、環境にも影響します。もし多くの需要をリサイクルで賄えれば究極のエコロジーになります。ジュエリーの解体技術の向上によって最近では完成度の低い昔のカットのメレーダイヤモンドを最新のカットにリカット(再研磨)して流通されることが増えてきました。メレーサイズでもこの傾向ですから、大きいサイズのリカットは言わずもがなです。
 また、大粒で高品質な宝石ほど優先的に何度も流通を繰り返します。ダイヤモンドだけでなくルビー、サファイア、エメラルドのようなカラーストンの稀少性の高いものの履歴をたどれば還流が多いのは一般的には知られていません。
 更に構想がしっかりしたジュエリーは時代を超えてジュエリーのままで再流通しますので加工賃も無駄にならず、更にエコロジーになります。
 ジュエリーにおける真のサステナブルとは既に人の手元にある宝石を還流させることです。21世紀は過去をリサイクルする時代でもあります。

グラフ単位:百万キャラット

*採掘された半分がニアジェムを含む宝石用と大雑把に分類、ジェムクオリティ(高品質)は全体の約20%と言われています。


グラフデータの出典:
1870-2004年はGIA Gems & Gemology 2007 Summer GLOBAL ROUGH DIAMOND PRODUCTION SINCE 1870からトレース
2005-2019年はRough Diamonds Production 2005-2019 by BizVibe
2020-2021年はGlobal Diamond Industry 2021-2022 by BAIN & COMPANY