ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

ジュエリーオークション

あなた知らないオークションの世界

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 今回はオークションの心理戦について言及しよう。オークション会社で一番重要な仕事は集荷に尽きる。もちろん買い手を集めることも大切だが、魅力的な物が無ければ勝負にならない。また魅力的な物も魅力的な価格でなければ落札されないので意味がない。オークション会社は落札率を高めるために、出来るだけ低いリザーブ価格(最低落札価格)での出品をお願いする。反対に出品者側は安く落札されるリスクを避けるために出来るだけ高いリザーブ価格にしたい。経験から言えば売却することを優先するならばオークション会社のアドバイスに従うことをお勧めする。彼らは相場をよく知っているので幾らのリザーブ価格なら買い手の手が挙がるかを高い確率で分かっている。出品者の意向をある程度汲んだリザーブ価格で始めても不落札になるかリザーブ価格ギリギリで落札されて競り上がる確率は低くなる。

 オークション会社は出品者から価格を全面的に任された時に相場を無視して極端に低いリザーブ価格を設定することがある。たいていの場合は花の蜜に集まる蜂のように安値を求めて買い手が多く集まるので会場は熱くなり通常のリザーブ価格を大きく超えた価格で落札されることも多い。いつもは冷静なプロも興奮して我を失って追いかけてしまう場面に何度も遭遇した。もちろん想定外に安く落札されることも無いことはないが、その多くは元々の魅了に乏しいものがほとんどだ。

 オークションのカタログにはEstimate Price(見積もり価格)が下限と上限の幅で表示されている。一般的にはEstimate Priceの下限がリザーブ価格の事が多い。買い手としてはリザーブ価格の極端に低い物は結果として高くなることが多いので、敢えてリザーブ価格で落札できる物を狙うのも一考だ。他に競る人がいなくてリザーブ価格で落札できれば結果として成功と言うことになる。オークションの相場は全体として十分にリーズナブルなので相場より極端に安い価格で落札出来ることは少ないと割り切ることが大切だ。状況によってはオークション会社が自らの手数料を削ってリザーブ価格以下でハンマーを打つことがある。リザーブ価格で買うと言う割り切りをすれば、このような幸運も飛び込んでくる。

ブランドジュエリー2017WINTER-2018SPRINGの記事より


あなたの知らないオークションの世界
あなたの知らないオークションの世界

あなた知らないオークションの世界

Chrisitie's Auction

 「縁がない世界!」「素人には無理!」「何か怖い!」どれもライブオークション(注)に対する大方の反応。
ネットオークションに慣れている若い人もライブオークションには二の足を踏む。

 オークションを理解するうえで大切なのはリザーブ価格だ。
リザーブ価格は最低落札価格の事でその金額未満では落札できない金額である。
本来オークションはノーリザーブであるべきだが、出品を促進するための保険として設定される。
オークションでのリザーブ価格は宝石が持つ本来の価値が主な構成要素で様々な費用やマージンが加わる卸価格とは異なる。当然店頭価格の数分の一と言うものも出てくる。リザーブ価格は工賃やブランドの人気も殆ど考慮しない。
ブランドや手の込んだ細工の物も人気があれば自然と競り上がるので市場にまかせるのがオークションだ。
反対に人気がなければ思わぬ安値で落札されることもある。
実績から人気の乏しい物やリザーブ価格が低すぎるものは幾らでも落札できるノーリザーブとして出品される。
日本語では「成り行き」と表示されるので理解しやすい。

 ネットオークションとの一番の違いはリザーブ価格の設定を出品者ではなくオークション会社が行うことだ。
リザーブ価格からどのぐらいがまでが適当か範囲を示す見積価格も表示される。
専門家が真贋も含めて査定をするので、金額に安心感がある。
見積価格の範囲内で落札できればもしかして高い買い物をしたのではと言った猜疑心を持つこともない。
もちろんオークションなので、どうしても落札したい人が2人以上いた場合は思いがけない金額まで跳ね上がる事はたまに起きる。
良い点としてはオークションで買ったものは殆どのケースで再度オークションに出品できるので、飽きたら売ってしまおうと考えれば気楽に考える事が出来る。
販売手数料は必要だが、客観情勢に変化がなければリザーブ価格は変わらない。

 欧米ではオークションが生活に根付いている。例えばパリには公営のオークションHotel Drouot(オテル・ドルーオー)があり、家具、道具、雑貨等殆ど全てのアイテムが日々オークションにかけられる。
フリーマーケット同様に買い物の一つの手段として気軽に利用されている。
もちろんジュエリーもある。
オークションの世界ではジュエリーは絵画に次いで人気だ。
気軽に着けられるものから資産性の高いものまでオークション会社の格に応じて品揃えされる。

 オークション会社は国際オークションとローカルオークションの大きく2つに分類される。
国際オークションは世界の大都市でオークションや下見会を開催し世界中の富裕層が主な顧客だ。
中でも200年以上の伝統のあるChristie’sとSotheby’sが有名だ。
国際オークションは輸送費や関税等の費用がかかるので結果として高額品が多くなり価格帯は500万円以上がメインで落札上位は2億円以上と桁が違う。
ローカルオークションは各国に複数のオークション会社があり国内で開催されるため費用の面では有利で手数料も国際オークションに比べれば低く設定されている。
価格帯も数万円から数千万円と幅広い需要に応えている。
(注) 会場で競る古典的なオークション。ネットオークションと区別するための呼称。
次回は国際オークション開催地に於ける商品の特色等について解説します。(2017年7月発売予定)
以上、ブランドジュエリー2016 WINTER-2017 SPRINGに掲載された記事です。



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