ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

ダイヤモンド

プロットのないグレーディングレポートとは?

Plotting


























上に記したのは、ダイヤモンドのプロットです。
ダイヤモンドをグレーディングしたときの内部と外部の特徴を図示したものです。
GIAのDiamond Grading Report(ダイヤモンド グレーディング レポート)に必ず記されています。
ダイヤモンドの美しさは、実際に見てみないと分かりませんが、その特徴はこのプロットを見ればある程度分かります。
内部の特徴は赤、外部は緑で記されてその種類も注記にあります。
例えば、内部の結晶インクルージョンで天然の特徴として問題がないものか、内部から表面に達している亀裂で欠点になるものなのかの判断がつきます。
また、購入した後に欠けが見つかったときには、それが初めからあったものなのか、後からできたものなのかがはっきりします。
プロットのついていないグレーディングレポートを見ますが、それは本来の機能を失ったものです。
メインストンにならない1カラット未満のようなサイズのダイヤモンドにグレーディングレポートは必要ありませんが、大粒のダイヤモンドにはプロット付きが必要です。
力のあるお店は自社でグレーディングして、保証書に簡単なデータだけ載せている場合があります。
内部の資料でプロットやその他のデータを記録していますので、プロットなしのレポートの類ではありません。
宝石は、お店を選ぶことが一番ですが、大粒のダイヤモンドを購入する際はプロットの有無を確認することも大切です。






人工カラーダイヤモンド

Gemesis Polish and Rough






米国フロリダ州のRenaissance Diamonds Inc.が製造した人工のカラーダイヤモンドを拝見する機会に恵まれました。

サイズは、1カラットから2カラット

シェイプは、特許をとっているRenaissance Cut(上の写真左)と名づけられたラディアントカット様式のカットを中心にラウンド、ハートシェイプ等がありました。

カラーは、天然ダイヤモンドのグレーディングで表すと
Fancy Intense Yellow
Fancy Deep Yellow
Fancy Vivid Yellow
Fancy Orangish Yellow
Fancy Brounish Yellow
まで、濃いものを中心に幅があります。

肉眼で色を見て、天然か人工か判断はつきません。
天然でも十分にありえる色です。
但し、ルーペで覗くとキュレット付近に色の抜けているところがあるものもあります。
色むらは天然でもありますが、スポット的な抜け方が特徴的で、ルーペで観察する場合一つの判断材料になります。

クラリティーは、VVSからSIクラスまで様々です。
SIクラスのものは、テーブルから垂直方向に伸びる亀裂が特徴的に見られますが、天然でも十分にありえますので判断材料にはなりません。
これは、作る釜の構造の問題のようなので、量を見ることによって特徴的なパターンをつかむことが出来るかも知れません。

同じ機械(釜)で作るために原石の形はほぼ同じです。
写真の右側が原石です。


Gemesis  Rough






アップするとこんな具合です。


現在、最大で4カラットの原石まで作ることが出来るそうです。
4カラットまで成長させるのに既に4日間しかかからないとの事でした。
この原石の形からは、ラディアントカットのような隅切りの四角型が最も歩留まりが良く適しています。
価格は、天然の4分の1に設定しています。
機械が1機、数千万円と高額で一つ作るのに3日から4日かかるので、現在はこの価格とのことです。
但し、機械で作るものの恒として、最初に設備投資してしまえば、作れば作るほど安くなるので人工ダイヤモンドも既にそのレールにのったと言う印象でした。

一つだけ意外だったののは、亀裂の有無と黄色の色味を完全には制御できていないことでした。
色はその時の窒素の量が微妙で、上記のような幅が出来てしまうとこことでした。
亀裂に関しても同様です。
しかし、これらの問題も技術の進歩が解決することでしょう。

イエローの他にブルーとピンクのサンプルも見せていただきました。
どちらも、0.2〜0.3カラットサイズのラウンドでした。
ブルーは、このサイズではあり得ないほどの濃さ(Fancy Insense Blue)なので、バイヤーでしたら疑問か違和感を感じるでしょう。
ホウ素を入れてブルーにするといっていたので、Typebであることは確かです。
ピンクは、アーガイル鉱山のようなパープリッシュピンクで、肉眼では殆ど天然との差は分かりません。
ルーペで見て、あまりにも内包物がないので、疑問を感じるかも知れません。

以上、天然との差を肉眼とルーペで判断できるかと言う点で見てきましたが、機械さえあれば鑑別はそれ程難しくありませんので、ご心配なく。

この会社の人工ダイヤモンドには、ガードルにRenaissanceの刻印がされています。

最後に、自然が作った宝石と全く同じものを作るには自然と同じだけの長い年月と一つ一つ異なる環境の変化を作らないと出来ませんので、実際は非現実的です。
人工の宝石は、何れ大量生産されるので稀少性は殆どありませんが、美しいアクセサリーの材料としては歓迎されます。




D-Screen

D-Screen本体








今年の6月13日のブログでHPHT処理(高温高圧処理)が発見されたと報告しました。
結果、今日までに同様の処理のダイヤモンドが更に一つ発見されています。
半年で2つとは少ないようですが、以前には1つも出ていなかったので深刻に受け止めています。

カラーレスのダイヤモンドの場合は、Type兇離瀬ぅ筌皀鵐匹HPHT処理(高温高圧処理)して、ブラウン味を抜いてより無色に近づけるような色の改善を行います。
殆どのダイヤモンドは微量の窒素を含むType気任垢、窒素を殆ど含まないType兇離瀬ぅ筌皀鵐匹篭呂です。
諸説ありますが、実感では3〜10%未満です。
幅があるのは、美しさを見極めて買い付けされたダイヤモンドを調べているので、オリジナル状態ではないことと、Type気鉢兇龍界はデジタルではなく、帯状のアナログ的なものであるためです。

諏訪貿易では原石の出所から研磨業者までTraceability(追跡可能性)が取れているもの以外のダイヤモンドの鑑別をラボにお願いしています。
そこで、鑑別代金の節約に、自社でType気鉢兇鯤けられないかと思っていたところに、アントワープのHRDでD-Screenと言う機械を販売していましたので、早速買って試してみました。

一番上の写真がD-Screenです。
ステプラー(ホチキス)のような姿かたちです。

D-Screen 本体







機械を開けところです。

D-Screen 本体オープン クローズアップ







的状になっている中心に対象のダイヤモンドを置きます。
マニュアルには0.20ct〜10.00ctでカラーがD〜Jのダイヤモンドのタイプの判別が可能とあります。


D-Screen シグナルD-Screen シグナル オン







側面に緑、赤、黄色のシグナルがあります。
スイッチを入れるとシグナルが断続的に点灯し、点灯が終わったら判別可能です。
緑色は、Type気撚色はtype兇任后
赤色は、機器の故障です。

D-Screen Type誼屬D-Screen Type吉縦







試しに所有の4カラットサイズのエメラルド(D VVS1)を載せると、緑色のシグナルが点灯しました。
これは、Type気任靴拭

D-Screen Type驚屬







次はブログの表紙にもある「ゴルコンダ ダイヤモンド」を試してみました。
「ゴルコンダ ダイヤモンド」は、典型的なType兇箸靴突名です。


D-Screen Type業縦







結果は、黄色のシグナルが点灯しました。
看板に偽りはありませんでした。

因みにラボでType兇犯獣任気譴燭發里盪邯海靴泙靴燭、結果は同じでした。
見た目は、シンプルな機械ですが、実力はなかなかです。




D-Screen ケースD-Screen 収納状態








ヨーロッパの商品らしく、このようにケースに収納されています。
充電池が内蔵されていますので、電源が無いところでも暫くは使用可能です。
但し、アダプターはヨーロッパ仕様なので、電源には変圧器が必要です。
価格は、2,475ユーロ(約40万円)です。
「安心」が買えるなら、決して高くはありません。

D-Screen



アントワープ市況 

DTCのサイトのあり方が変わってきています。ナショナリズムの興隆によりアフリカ各国の政府が資源の主導権を握り始めました。
既に南アフリカ16社、ボツワナ16社、ナミビア11社のサイトホルダーを政府と一緒に決めています。
ヨーロピアンコミッティの裁定により2009年よりはロシア産の原石も入手が不可能なので、ロンドンのサイトも何れアフリカ3カ国に集約されるのではないかとの憶測もあります。
DTCはそのほかにカナダにSnap LakeとVictorの鉱山を持っています。
合計すると世界の原石の金額で40%〜45%を占めていると思われています。

続くロシアは約25%、オーストラリアのArgyle鉱山とカナダのDiavic鉱山の他、ジンバブエにも鉱山を持っている「Rio Tinto Zinc」は約15%、カナダのEkati鉱山の「BHP Billiton」は約8%を占めていると考えられています。

鉱山会社の管理下になく、金額で約15%を占めるアンゴラは重要です。
以前は、「Lev Leviev」氏率いるグループが優勢でしたが、かつての勢いはありません。
原石をめぐって各業者は公式、非公式に激しい競争をしています。

 独占から寡占、サイトから入札、鉱山会社から国家管理と原石をめぐる環境は変わっていますが、美しさを楽しむというジュエリーの本質を忘れないようにしようと思います。




アントワープ市況 

インドが消費地とて注目されています。
今年の初めに研磨済みのダイヤモンドの輸入関税の撤廃が行われた結果、堰を切ったように各国からの輸出が始まりました。
もともとインドは、ジュエリーの伝統があり、身につける習慣がありましたのでマーケットの広がりは確実視されています。
現在起きている需要はバンガロールを中心とした南部の新しいミドル階級のものです。
インターネット等の情報によって欧米化した彼らが品質の理解を始めた結果、インドで研磨されていない、高品質のダイヤモンドの輸入が始まりました。
インドのダイヤモンドと言うと低品質なものを思い浮かべる業界の方が多いと思いますが、もともと国内向けには、インドで研磨される上澄みの品質を使っていました。
低品質は、主に米国や日本向けです。
もちろん、米国や日本は高品質なものも輸入しています。
私もインドで買い付けをしているときに、高品質のものは常にインド国内価格の壁に当たって買えないことが良くありました。
国内でしか買えない彼らと争う事は出来ませんでした。
輸入の制限がなくなったことで、素材の良い原石から研磨されている海外の研磨済みダイヤモンドの需要は伸びるでしょう。
高学歴労働者の多さと既に資本主義であることを考えると中国よりも有望なマーケットになるのではないでしょうか。



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