ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

ヒストリックリング

Historic Ring

スカラベリング







「宝石3」にも掲載されていて、以前より見たいと思っていた橋本コレクションのスカラベリングを、先日、手にとって見ることが出来ました。
このリングはおよそ3,800年前に作られ、副葬品としてピラミッドの棺に納められていました。
scarabée(スカラベ)とは、コガネムシ(フンコロガシ)のことです。「生まれ出てくる」「創られる」等の意味に解釈され、「再生」のシンボルとしてミイラの指につけられたと考えられています。

リングを見て最初の一言は、「大きい!」。
想像していたよりも、かなり大きいことに驚きました。
皆さんに分かりやすいように、実際に私の手に着けてみました。
手につけたスカラベリング






私の中指は19番なのですが、まだかなり余裕があります。
橋本さんによるとこのリングは23番とのこと。楕円なのでもう少し大きいかも知れません。
そばで見ていた方から「ミイラの呪いがある」と脅かされましたが、時既に遅く、指にはめた後でした。思わず「仏教徒だから大丈夫」と訳の分からぬ反応をしてしまいました。



スカラベリングクローズアップスカラベリング上からクローズアップ





クローズアップすると表面が磨耗しているのが分かります。
これは使われて傷んだのではなく、気の遠くなるような長い間に、埃に含まれている石英粉が作用した結果と考えられます。

それにしても、何と美しいのアメジストでしょう。
グレー味がない明るい紫に昔の人もさぞかし感動したことでしょう。


スカラベリング横からスカラベリング裏側







スカラベリングサイド


角度を変えると色むらがあるのも自然の証です。
装身具として作られたものではないのですが、不思議な事に指に着けると色むらはなくなります。








スカラベリング裏側クローズアップ





拡大してみると、内部に穴を開けて金線を通しているのが分かります。
中心の部分で若干すれ違っている部分があることから、左右それぞれから開けていったと思われます。
その当時はダイヤモンドパウダーなど存在しないので、作業は砂とキリを使って少しずつ何ヶ月も要したはずです。

何千年も昔のジュエリーを、この手にとって見ることが出来た幸運な瞬間でした。





ヒストリックリング

ピラミッドダイヤモンドのポージーリング








世界的なリングのコレクターである橋本さんのヒストリックコレクションを手に取る機会に恵まれました。

コレクションの一つをご紹介します。
上の写真のリングは、ダイヤモンドの原石と金で15世紀に作られたものです。
ピラミッドダイヤモンドのposy ring(ポージーリング)では現存する2個のうちの1つです。

写真で拝見したときは、普通のリングサイズを想像していましたが、実際はサイズ2番というピンキーリング程度です。

私の小指には爪の部分までしか入らないほど小さなものです。
ピラミッドダイヤモンドのポージーリング サイズ






Posy Ringとは歌やメッセージを刻んだ指輪のことです。
このリングのメッセージは、ノルマンフランス語で“QUA(ND) VOUS NE ME VOER DE MOY PENSER”「一緒でないときには、私のことを思ってください」と何ともロマンティックであります。
ポージー










サイズとメッセージから男性から女性に贈られたと考えるのが一般的ですが、別な意見もあります。
その当時、女性から贈られた指輪を帽子につけることが流行したそうです。
その装飾用の指輪ではないかと言うものです。
実際に沢山の指輪がついた帽子をかぶった男性の肖像画が残っています。
但し、何れも定かではありません。
でも、想像するのは楽しいものです。

ピラミッドダイヤモンドのポージーリング先端








原石がそのまま使われているのは、ダイヤモンドの研磨技術が確立していなかったことに加えて、ダイヤモンドの原石を傷つけると石の持っている力(パワー)が無くなると信じられていたこともあるようです。

幽閉された時にダイヤモンド原石の尖った部分でガラスや塀ににメッセージを彫って想いを伝えたとも聞いています。

見て分かるように、ダイヤモンドの裏側は地金で塞がれています。
橋本さんによると現在のように地金の裏側を開けて光が入るようにしたオープンセットが出てきたのは19世紀初めとの事です。
それまでは、このリングのように宝石は埋め込んで留めるだけだったそうです。
意外に知らないことですね。


橋本さんのコレクションはHistoric Rings: Four Thousand Years of Craftsmanship に収録されています。
私も持っていますが、世界的なアンティークジュエリーの研究者であるダイアナ・スカリスブリックさんの解説も魅力的です。
但し、英文のみです。





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