ジュエリーコンシェルジュ原田信之

諏訪貿易が提供しているジュエリーの相続資産の査定・仲介のサイト「宝石ドットコム」の責任者:原田信之のブログ

ピジョンブラッド

金メダル剥奪!?

モゴック産ルビー無処理ルビー

国際オリンピック委員会(IOC)は25日、2008年北京五輪のドーピング再検査の結果、陸上男子短距離のネスタ・カーター(ジャマイカ)が禁止薬物に陽性反応を示したため、失格処分にしたと発表した。(金メダル剥奪)
当時の検体を最新の技術で再検査した結果禁止薬物が検出されたとするニュースが流れました

このニュースを聞いて宝石も同じだと思いました。
宝石の鑑別も現在行える最新の検査での結果です。
殆どの鑑別書はその旨が注意書きで記されています。
宝石の種類が変わる事はめったにありませんが、処理と産地の判断はその時の最新の技術で判断された結果です。
将来鑑別技術の進歩で変わる事もあります。
また処理や産地の鑑別結果はそれぞれのラボの意見なのでラボによって異なる結果が出ることも珍しくありません。

では買い手は何を信じれば良いのかとなります。
その答えは「誰から買うか」です。
本物のプロは、産地や処理の鑑別結果の前に美しいかどうか、産地の特色が出ているかを判断します。
幾ら無処理で稀少性の高い産地のものでも美しさに欠けていたら本末転倒です。
美しさを見極めた上で産地や処理の情報が自分の基準に合っているかも確認します。
決してレポートの鵜呑みはしません。
そのように見極められた宝石は鑑別技術が進歩しても異なる結果が出る可能性が低くなります。
やはり宝石は「幾らで買うか」ではなく「誰から買うか」が大切です。

同様にレポートに「ピジョンブラッド」とか「ロイヤルブルー」と記されていても美しくなければ意味がありません。
反対に「ピジョンブラッド」とか「ロイヤルブルー」とレポートに記されていなくても美しいものもあります。
くれぐれも「鵜呑み」は禁物です。

画像は透明度が高く美しいモゴック産のルビーのリングです。


Making 3カラットサイズ ルビー ダイヤモンドリング

3ct size Ruby Oval (UT) Diamond Ring Design








構想は、指いっぱいに広がる白い花びらの中に真っ赤なルビー。
良く見ると天地左右に四つ葉のクローバーのようにハートシェイプが配置されています。
ハートシェイプとペアシェイプは段差をつけて立体的に仕上げます。
ルビーは赤色を引き立てるイエローゴールドの爪でプロングセッティング(爪留め)します。
ダイヤモンドは、無色を冴えるプラチナの爪でプロングセッティング(爪留め)します。
肩の部分にはメレーダイヤモンドをビーズセッティング(彫留め)して華やかさを演出します。



3ct size Ruby Oval (UT) Diamond Ring 石合わせ







ハートシェイプとペアーシェイプを並べて大きさのバランスを見て、ダイヤモンドの膨らみや大きさを決定してきます。
ハートシェイプ大小2組、ペアーシェイプは4つ、大きさと品質を揃えるのは至難の業です。

これから先は直接、職人さんにディレクションをしていきます。
同時に職人さんからの意見も聞いて微調整しながら進めます。

次は、空枠が上がったときに角度や位置の調整をしますので時間がかります。


Making 3カラットサイズ ルビー ダイヤモンドリング


Making 3カラットサイズ ルビー ダイヤモンドリング

3ct size Burmese Ruby Oval (UT)







写真の3カラットサイズのルビーをリングに仕立てことにしました。
裸石から装身具になるまでを何回かに分けてアップします。

このルビーは、ビルマ(ミヤンマー)モゴック鉱山産の無処理のルビーです。
透明度が高く、程よい明度の優しい赤色です。
グベリンのレポートには、この手の色は市場で「ピジョンブラッド」と呼ばれていますと言うコメントがありますが、本来のピジョンブラッドの概念に照らし合わせると、少し明るめです。
少し暗いところでも綺麗な赤色を発しますので、「ピジョンブラッド」に拘らなければ、このサイズのルビーとして最もお勧めの明度です。
尚、見た目の大きさがほぼ3カラットなので3カラットサイズと表現しています。


3ct size Burmese Ruby Oval (UT) Inclusion









無処理の特徴であるシルクインクルージョンが程よく存在するために透明度が高いうえに優しさも兼ね備えています。
写真:全国宝石学協会 検査結果報告書より

ラウンドのダイヤモンドやテーパーバケットシェイプのダイヤモンドで取り巻かずに、SUWAらしく少し大粒のファンシーシェイプのダイヤモンドを組み合わせて装身具に仕立てようと思います。



ピジョンブラッドと蛍光性

3カラットサイズ ルビー ピジョンブラッド









ルビーはサファイアと同じコランダムと言う鉱物です。
主成分は、アルミニウムと酸素です。(酸化アルミニウム)
純粋なコランダムは無色ですが、クロムを含んで赤くなったものがルビーです。
クロムの量は、1%程度がルビーとしては最適とされています。
増えすぎるとグレーになり、宝石にはなりません。
一方、サファイアの青は鉄とチタンによってもたらされます。
正に、奇跡のような偶然が宝石を生みます。

ビルマ産のルビーは紫外線を当てると強い蛍光を発します。
これは、ルビーに含まれているクロムによります。
同じルビーでもタイ産のものは、蛍光性が少ないのは、鉄分のためです。
鉄分が多いと蛍光性を減少させます。

ルビーのピジョンブラッドとは、我々は以下のように定義しています。
‥租的な概念なので、ビルマのモゴック鉱山産のもの
¬欺萢で透明度が高いこと
G擦だ屬任△襪海
ぅ瓮ぅ鵐好肇鵐汽ぅ困梁舂海任△襪海

○何故ビルマ産なのでしょう。
□それは、伝統的であると言うこととに加えて強い蛍光を発することも理由の一つだと思います。
タイ産にも同じような濃い赤が存在します。
しかし、同じように見える2つの産地のルビーを部屋の中から昼間の窓辺に移動しながら見ますと、ビルマ産のルビーは見る見る内側からメラメラとした炎のような赤が湧き上がってきます。
一方、タイ産のものには変化が見られません。

○何故無処理なのでしょうか。
□稀少性は比べようが無いのは、当たり前ですが、高品質な無処理のルビーの透明度は加熱のもののを遥かに凌ぎます。
また優しさも加わるのが不思議です。
ビルマのモゴック鉱山のルビーの一部には加熱をしなくても美しいものがあります。
タイ産や同じビルマでもモンスー鉱山のものの殆どは加熱をしないと宝石になりません。
このことからもモゴック産であることが分かります。

○何故大粒なのでしょうか
□ピジョンブラッドは、想像以上に濃い赤です。
1カラット以下のような小さいサイズで濃い赤の場合は、真っ黒になり美しくありません。
このサイズでは、むしろ明るめな明度のルビーをお勧めします。
同じ濃い赤でも3カラットサイズ以上の場合は、光を多く取り込むので内側からモザイク模様が浮かび上がってきます。
これは、欧米でメインストン(主石)には3カラットサイズ以上が好まれることに関係があるように思います。
存在感が出て、見栄えがするサイズがこのくらいからなのでしょう。
メインストンサイズのルビーで赤が美しく見えたのが、ピジョンブラッドの概念だと思います。
それより小さいサイズは対象でなかったのだと思います。
因みに3カラットサイズとは、3カラットの宝石として十分な大きさ(場面)があることを差します。
深さが浅い場合は、2カラットでも3カラットサイズと言えます。


3カラットサイズ ビルマ モゴック産 無処理ルビー

3ct size Burma Ruby UT プロ撮影









8月3日のブログでご紹介した3カラットサイズ ビルマ モゴック産 無処理ルビーのプロの写真が上がってきましたのでご紹介します。

市場で「ピジョンブラッド」と称されているルビーです。

部屋の中では、濃い赤ですが、自然光の下で見ると燃えるような赤になります。
この瞬間は、何度経験してもわくわくします。

前回のカシミール産サファイアも現物には及びませんでしたが、ルビーは更に厳しく感じます。
8月3日のブログの画像と比較して、ご想像ください。

8月3日ブログ





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