パリの高級宝飾店「ハリー・ウィンストン」に強盗、17億円相当のジュエリー盗む

【10月8日 AFP】高級ジュエリーブランド、ハリー・ウィンストン(Harry Winston)のパリ(Paris)支店に強盗が押し入り、約1000万ユーロ(約17億円)相当のジュエリーなどを奪って逃走した。

 警察によると、事件が起きたのは6日午前10時ごろ。シャンゼリゼ(Champs-Elysees)通りから少し入ったところにある同店に、覆面をした3、4人の集団が押し入り、店員を脅して金庫を開けさせ、宝石やジュエリー、高級腕時計などを盗み出した。店員はショック状態にあるが、けがなどはないという。警察は計画的な犯行とみて調べている。AFP

先週、上記のような盗難のニュースがありました。

ニュースの最後にプロのコメントが以下のようにありました。

「しかしAFPが取材した専門家の話では、盗んだジュエリーを売る場合は盗品であることを隠さなければならず、額面通りの金額で売り渡すことはまず不可能。ダイヤモンドも闇市場では実勢価格よりはるかに低い値段でしか売買できないという。」

このようにコメントするのは、犯罪を未然に防ぐ意味で、プロとして正しい姿でしょう。

でも、実際は少しリカットすれば、石目方が変わるので特定するのは困難です。

かつて、私が扱ったダイヤモンドで石目方が違ったのに履歴を特定できたものが1点だけありました。
何故、出来たかと言うと、100カラットを超える大きさで、10年以上前のオークションのカタログに大写しの写真が掲載されていて、特徴のある形のインクルージョンが同じ位置にあったからです。
このようなケースは稀です。
VVSやIFのようなクラリティーグレードでしたら、不可能でした。
断っておきますが、これは盗品ではありません。


では、盗難にあって、後から石目方が少し異なる疑わしいダイヤモンドが出てきた場合に証明することは出来ないのでしょうか。

実は、あります。

あまり、紹介されていませんが、日本には一つ一つのダイヤモンドが持つ特徴を記すレポートのサービスがあります。
このサービスは、全国宝石学協会さんがカソードルミネッセンス写真を用いて提供している「ダイヤモンド・フィンガープリント (Diamond Fingerprint)」です。
サービスの名前通り、「ダイヤモンドの指紋」の採取です。
石目方を少し変えるだけのリカットをしても、このレポートを取っておけば同一性の証明は可能です。

盗難に備えるということではなく、私はこのサービスに、以前から注目していました。
合成ダイヤモンドは、一定の条件で成長しますので、フィンガープリントも構造的になりますが、天然のものは不規則で同じものがありません。
まさに不完全性です。
ダイヤモンドも他の宝石と同様に同じものは2つとなく不完全性であることが良く分かります。
ダイヤモンドの成長の履歴を見ることが出来ますので、指紋ではなく「ダイヤモンドの年輪」と言うのが正しいかも知れません。

盗難に遭わないことに越したことはないので、皆さんはまずは盗まれないように大切な宝石は貸金庫等に保管することが肝心です。