ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

含侵

ジュエリーの大衆化と宝石の処理

ルビー、サファイア、エメラルドのように伝統的な宝石はそもそも綺麗なものは少なく高価です。
だからこそ「宝石」です。
それが、ジュエリーの大衆化でその需要に応えるために本来価値の低い低品質なものに加熱含侵をして供給を増やしたのが宝石の処理の歴史です。
処理されたものはもともと宝石品質ではないのです。
反対に言うと、宝石品質でしたら処理は必要ありません。

今までは、情報が足りないため、処理と無処理の価値の差がはっきりしていませんでした。
処理の技術が進んだ結果、供給が飛躍的に増え、無処理のものとの価格差が広がり始めています。
この差は更に広がり、処理する前の品質に見合った価値にいずれ収斂すると思います。

20年前は、そこそこの品質でも3カラットを超えるルビーはなかなか見ることが出来ませんでしたが、今はかなり安い価格で巷に溢れています。
加熱等の処理技術が進み、出現率を圧倒的に上げています。

エメラルドは10年以上前から含侵処理が著しくなり、ルビー、サファイアよりも前に価格が既に下がっています。

正直なもので、オークション等の再流通市場では既に大きな価格差がついています。

無処理で美しいものは限られているので、現実的には処理されたものが商品の中心になります。
処理されたものを購入されるときには、価値に見合った価格であるか注意する必要があります。
もちろん正確な情報開示がされていることが前提です。

エメラルドの含浸処理の程度

殆どのエメラルドにオイルや樹脂が含侵されていることは、既にご存知だと思います。

日本では一般的でありませんが、含侵の程度は、主な鑑別業者で統一されつつあります。


今日は、産地と処理の鑑別では世界的に有名なスイスのGUBELINとSSEFの表記をご紹介したいと思います。

GUBELIN

1.Indications of insignificant clarity enhancement (僅かな)
2.Indications of minor clarity enhancement (少し)
3.Indications of moderate clarity enhancement (中位な)
4.Indications of prominent clarity enhancement (著しい)

SSEF

1. Minor amount of filler in fissures
2. Moderate amount of filler in fissures
3. Significant amount of filler in fissures
4. Filler in cavties: C1
5. Filler in cavties: C2
6. Filler in cavties: C3

「無処理」と呼ばれている透明度の改良を目的とする含侵が見られないものは、表現の差は多少ありますが、No indications(evidence) of clarity enhancement等の表現が一般的です。
 

以上の2社に米国のGIAと日本の全宝協(全国宝石学協会)も加わっているグループでは、
最も軽度な含侵に関しては、Mionrを使う合意が出来たようです。
ただし、伝統的にInsignificantの表現を使っているGUBELINは、引き続き使用するようです。
考え方としては、他社のMionrの範囲の中で更に軽度のものをInsignificantとしているようです。

エメラルドの結晶の性質から考えると無処理は、殆どありませんので、一流のジュエラーでもMinorまでは取り扱うと言うのが合言葉になりつつあります。
私も美しさを肉眼で見分けた上で、Minorまでは取り扱います。

残念ながら、日本の業界では含侵の程度について言及することに否定的なようです。
技術的には、世界のトップクラスの実力を持っている全宝協さんに期待したいものです。




Profile

原田信之

Archives
ギャラリー
  • 「アヒマディ博士の宝石学」−宝石を科学的に解説ー
  • あなたの知らないオークションの世界
  • 「令和」記念ブログ-Diamond Pipeline 2017
  • 「令和」記念ブログ-Diamond Pipeline 2017
  • 「令和」記念ブログ-Diamond Pipeline 2017
  • 「令和」記念ブログ-Diamond Pipeline 2017
  • ライブドアブログ