ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

無処理

希望・楽観主義・寛容

5ct size Kashimir Sapphire Ring







2月17日(日)米ワシントンポストは社説で民主党オバマ氏のことを以下のように伝えました。
「オバマ氏が民主党大統領候補の争いで先頭に立ったのは、米国の問題を希望楽観主義、そして寛容の言葉で語ったからだ」
簡潔にオバマ氏優勢の理由をまとめたことに感心しました。 

この社説の言葉を反対の言葉に置き換えると、「問題を絶望、悲観主義、偏狭な言葉で語る」になり、比較しやすくなります。

例えば、宝石の処理の情報開示と無処理の宝石について、販売する人が以下のように話すと希望も何もなくなります。
「今まで特に説明していなかったのに、処理されていることが分かったら売れなくなる。過去に売ったものはどうするのか。」
「処理されているものと無処理のものを一緒に売れば、処理されたものが売れなくなる。」
「お客さんには、教えすぎると商売がしづらくなる。」

これを、オバマ氏風に話すとこんな具合でしょうか。
「過去は過去として、今出来ることから始めましょう。」
「お客様に産地や処理の有無に関して十分な説明と表示をしていきましょう。」
「もし処理の説明をしたことでお客様が処理した宝石の購入を望まない場合は、処理を必要としない宝石をお勧めすることが出来ます。」
「何故なら、宝石の半分以上は処理を必要としません。更に売り上げの多くを占めるダイヤモンドの殆どは処理されていません。」

私も問題を抱えたときにはオバマ氏のように前向きに話すよう心がけたいと思います。

写真は、5カラットサイズのカシミール産サファイア(無処理)のリングです。

Making 3カラットサイズ ルビー ダイヤモンドリング

3ct size Ruby Oval (UT) Diamond Ring Design








構想は、指いっぱいに広がる白い花びらの中に真っ赤なルビー。
良く見ると天地左右に四つ葉のクローバーのようにハートシェイプが配置されています。
ハートシェイプとペアシェイプは段差をつけて立体的に仕上げます。
ルビーは赤色を引き立てるイエローゴールドの爪でプロングセッティング(爪留め)します。
ダイヤモンドは、無色を冴えるプラチナの爪でプロングセッティング(爪留め)します。
肩の部分にはメレーダイヤモンドをビーズセッティング(彫留め)して華やかさを演出します。



3ct size Ruby Oval (UT) Diamond Ring 石合わせ







ハートシェイプとペアーシェイプを並べて大きさのバランスを見て、ダイヤモンドの膨らみや大きさを決定してきます。
ハートシェイプ大小2組、ペアーシェイプは4つ、大きさと品質を揃えるのは至難の業です。

これから先は直接、職人さんにディレクションをしていきます。
同時に職人さんからの意見も聞いて微調整しながら進めます。

次は、空枠が上がったときに角度や位置の調整をしますので時間がかります。


Making 3カラットサイズ ルビー ダイヤモンドリング


Making 3カラットサイズ ルビー ダイヤモンドリング

3ct size Burmese Ruby Oval (UT)







写真の3カラットサイズのルビーをリングに仕立てことにしました。
裸石から装身具になるまでを何回かに分けてアップします。

このルビーは、ビルマ(ミヤンマー)モゴック鉱山産の無処理のルビーです。
透明度が高く、程よい明度の優しい赤色です。
グベリンのレポートには、この手の色は市場で「ピジョンブラッド」と呼ばれていますと言うコメントがありますが、本来のピジョンブラッドの概念に照らし合わせると、少し明るめです。
少し暗いところでも綺麗な赤色を発しますので、「ピジョンブラッド」に拘らなければ、このサイズのルビーとして最もお勧めの明度です。
尚、見た目の大きさがほぼ3カラットなので3カラットサイズと表現しています。


3ct size Burmese Ruby Oval (UT) Inclusion









無処理の特徴であるシルクインクルージョンが程よく存在するために透明度が高いうえに優しさも兼ね備えています。
写真:全国宝石学協会 検査結果報告書より

ラウンドのダイヤモンドやテーパーバケットシェイプのダイヤモンドで取り巻かずに、SUWAらしく少し大粒のファンシーシェイプのダイヤモンドを組み合わせて装身具に仕立てようと思います。



タイ産ルビー

古くからルビーは、ビルマのモゴック鉱山のものが代名詞でしたが、1963年に政変と宝石鉱山の国有化によってモゴック産ルビーが激減したため、1970年代からタイ産のルビーが主役になりました。
私が業界に入った頃は、タイ産がメインでした。
タイ産のルビーの特徴は、全体に黒味がかっていています。
色味はオレンジに近い赤から、パープルまで広く見られます。
その後、1990年代初めにビルマでモンスー鉱山が発見されました。
この鉱山のルビーは、本来黒味(青味)が内包されていてますが、高温加熱することで除去できるために、処理後はタイ産に比べて明るい赤色に仕上がります。
このモンスー産のルビーが市場に出始めると黒味の強いタイ産は敬遠されて、瞬くうちにモンスー産に席巻されてしまいました。
現在、皆さんが目にする殆どがこのモンスー産(加熱)ルビーです。

タイ産のルビーとビルマ産のルビーの大きな違いは、ビルマ産のルビーが紫外線に強く反応するのに対しタイ産はあまり反応しません。
この違いが明度が淡くなるとビルマ産の色味はピンクになっていくのに対し、タイ産は元の色味は殆ど変わらないことに現れています。

ビルマ産(加熱)のクオリティスケールタイ産(加熱)のクオリティスケールを比較すると良く分かります。

ここでよく見るとクオリティスケールの「6」の明度を比較するとビルマ産もタイ産も違いが分からなくなっています。
ビルマ産の一番美しい「6S」は、無処理でしたら「ピジョンブラッド」と呼ばれているものです。
では、タイ産の「6S」とどのように見分けたらよいのでしょうか。
答えは、自然光で見ることです。
部屋の中の明かりでは、同じように見えますが、自然光が入る窓辺で比較すると一目瞭然です。
ビルマ産は、内側から燃えるような美しい赤が湧き上がってきます。
タイ産は、殆ど変わりません。

これが、モゴック産の無処理の「6S」でしたら、更に透明度も高くなり、色に優しさも加わります。
これが、正に「ピジョンブラッド」です。
残念ながら、モゴック産(無処理)のクオリティースケールの写真がよくないので、美しさがお伝えできません。

モゴック産(無処理)の濃くて美しいものを「ピジョンブラッド」、タイ産(加熱)の濃いものを「オックスブラッド」と表現するのは、やはり欧米人は肉食だからでしょうか。
日本人が価値観を作っていたら、「生きている鯵の血」や「死んだ鯨の血」なんて表現になっていたかも知れませんね。





続 バンコク買い付け

バンコクでは、無処理のルビー、サファイアを買い付けます。

主にビルマ(ミヤンマー)モゴック鉱山の無処理を買い付けます。
殆どが加熱を施すことで宝石として流通している同じくビルマのモンスー鉱山産の中にも無処理のルビーはありますが、透明度と色味が異なるので、私は買いません。
最近、ビルマ産無処理のルビーとしてGRSのレポートがついて出回っているものの多くがモンスー鉱山産です。
サファイアはスリランカ産やマダガスカル産のサファイアの無処理で美しいものがもありますが、モゴック鉱山の良いものがあれば、優先します。


モゴック産無処理Top lot and 2nd lot face down







これは、モゴック産処理のルビーのロットです。
どちらもトップロットです。
左が少し淡い赤で、右が濃い赤です。
右が「ピジョンブラッド」と言われているものが含まれているロットです。
サイズは1カラットから3カラットサイズです。
実際に選んだのは、右のロットから2つ程度です。
一つ一つが異なるので、トップロットと言えども満足できるものは僅かです。

モゴック産無処理Top lot and 2nd lot face up







フェイスアップで比較すると更に良く分かります。


今回、買ったものの中からルビーを一つご紹介します。

モゴック産無処理3カラットサイズMQ仮枠







サイズが分かり易いように、鉄の仮枠に留めて私の小指に載せました。
因みにサイズは11番です。
素人の写真では、色味の再現に限界がありますが、透明度が高いのが十分に分かると思います。
我々が「ピジョンブラッド」と表現しているルビーです。
3カラットサイズで、しかもより大きく見えるマーキスなので、濃くても内側からモザイク模様が湧き出てきます。
無色のファンシーシェイプのダイヤモンドと組み合わせて魅力的なリングにしたてようと思います。


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