ジュエリーコンシェルジュ原田信之

原田信之 所有されているジュエリーの活用方法をアドバイスする株式会社ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー JAAG(ジャーグ)の代表のブログ。オークションの査定や百数十回に及ぶ宝石の海外買い付け、ジュエリーのプロデューサーとしての経験を生かして、相続や売却、資産性のある宝石の購入のアドバイスをします。

BHP

BHPビリトン、リオ・ティントに買収提案

ダイヤモンドの原石








大きなニュースが入ってきました。
本日の日経新聞に「BHPビリトン、リオ・ティントに買収提案」の記事が載りました。

以下、日経新聞原文

 英豪資源最大手BHPビリトンは8日、英豪資源大手リオ・ティントに対し、買収を提案したことを明らかにした。実現すれば鉄鉱石や銅、ウランなど資源・エネルギー分野で群を抜いた世界的な巨大企業が誕生する。リオは同日、申し入れを拒否すると発表した。

 両社によると、今回の提案にはリオ株式1株をBHP株式3株に交換する内容が含まれているという。豪メディアは買収総額は1200億ドル(約13兆6000億円)を超えると報じた。

 BHPはリオに対して申し入れ内容の協議を求めているが、リオはTOB(株式公開買い付け)手続き中のカナダのアルミ大手アルキャンの買収作業を優先したいとしている。



両者は、一つ前のブログで説明しましたが、ダイヤモンド鉱山の大手でもあります。
もしこれが実現するとDTC(De Beers)、ロシアについで大きな勢力になります。
アンゴラを加えれば、世界は4つのグループがダイヤモンドの原石供給の殆どを押さえるということになります。
DTC(De Beers)の独占が崩壊して、6〜7のグループが形成されて、また集約に向かっています。
世界は以前のようなカルテルの出現を許さないので、より力の拮抗している勢力間の競争が本来の稀少性を更に炙りだすでしょう。
これからは更に品質の高いものと低いものとの価格差が広がっていくと思います。
品質の大きな要素は、美しさとサイズです。



BHP ダイヤモンド原石

Antwerp Daiamond Exchange ADC







アントワープにある3つのダイヤモンド取引所の1つが入っているADCビルの入り口です。
沢山のバイヤーがこのドアーをくぐります。
この先は、パスがないとゲートを通ることが出来ません。
パスが無い人は、アポイントの確認が必要です。
プロの世界です。

BHP ROUGH Makable 22,000ctBHP ROUGH Makable close up







本日、運よくカナダのBHP社のEkati鉱山の原石に出会いました。
原石は、通常は入荷から1週間以内には全て完売されます。
入りたての原石に出会うにはタイミングが全てです。
これは、マイナス7 メイカブルです。
インド向けの主にメレー用の原石です。
マイナス7とは、7番の篩いにかけて落ちるサイズと言う意味です。
直径2ミリ未満で、40分の1カラット以下のサイズになります。


重さは、22,000カラットです。
約4.4キログラムです。
砂糖でもこんなに買いませんよね。
万年筆の大きさでお分かりになると思います。
クローズアップでみると様々なのが良く分かります。
原石のプロは、この状態ですと産地が分かるようです。
研磨すると難しくなりますが。

今日は、原石に出会えて幸運でした。



資源メジャーとダイヤモンド

本日の日本経済新聞によると、

英豪資源大手リオ・ティントは12日、カナダのアルミ大手、アルキャンを買収することで合意したと発表した。
買収額は381億ドル(4兆6500億円)。
両社のアルミ地金生産量は合計で420万トン強に達し、統合後は世界首位に躍り出る。これを機に世界の資源大手の再編が加速する可能性もある。
現在、資源メジャーと言われているのは、英豪系の「リオ・ティント」、同じく英豪系の「BHP Billiton」、英「アングロ・アメリカ」の3社に加えて、ブラジルの「CVRD」、スイスの「エクストラータ」。
また、リオ・ティント自身もアルキャンを買わなければ、BHPの標的になったとの見方出ている。

アルミ業界の再編に関する記事ですが、ダイヤモンドの世界にも無縁ではありません。
ダイヤモンド原石の将来の主導権を誰が握るかを左右することですらあります。

上記の記事のように資源メジャーと言われている会社の中で、現在ダイヤモンドの原石で高いシェアを持っているのは、DTC(De Beers)の親会社の「Anglo American plc」、オーストラリアのArgyle鉱山とカナダのDiavic鉱山の他ジンバブエにも鉱山を持っている「Rio Tinto Zinc」、カナダのEkati鉱山の「BHP Billiton」の3社です。
その他は、会社ではありませんが、「Russia」に加えてイスラエル人の「Lev Leviev」氏率いるグループがあります。
正確にはわかりませんが、シェアはDTCが40〜45%、Russiaが20%前後、残りをRio Tinto Zinc、BHP Billiton、Lev Levievが分け合ってその他は10%未満と思われます。

もし、新聞記事のようにBHPがLio Tintoを買うようにことになっていたら、DTC、Russiaに続く勢力が生まれて、構図がすっかり変わっていました。

ダイヤモンドの価格は、長いことDe Beers(DTC)1社が制御してきましたが、
1995年 ロシア産原石の独占販売終了
1996年 Argyle鉱山(Rio Tinto Zinc)カルテル離脱
1998年 3 grainer(0.75ct)以下の原石(研磨済み0.2ct)の価格調整放棄
1998年 カナダEkati鉱山(BHP Billiton)ダイヤモンド原石をDe Beersに供給(2002年終了)
2000年 De Beers原石価格調整全面的放棄
2001年 カナダDiavic鉱山(Rio Tinto Zinc)本格稼動
と独占が崩れてきました。

最近では、各グループの原石販売が入札制に変わり、需給を反映したものになってきました。
入札制と世界的な所得の格差によって生まれた高額品の需要が重なった結果、大粒で稀少性の高いダイヤモンドの価格の高騰が生まれています。

これからも、川上の動きに目が離せません。




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